第5話

 野球をやめると、親父との会話はなくなり、部活ばかりでクラスで友達もいなかった俺は、誰とも話をしなくなった。そして、そのかわりに、菓子パンを食べまくり、中学に入学する頃にはだいぶポッチャリしてきた。

 夢でも現実でも、野球に固執し続ける親父と、そんな親父に小6にして終わった宣言をされ、そのあとリアルに終わった生活を営んだ自分。わかってる。親父は夢を諦めたクズで、俺に代わりに自分の夢を叶えてほしかっただけの空っぽなおっさんだったってこと。

だけど、子供の俺にはそこまで理解できなかった。親父に見捨てられ、自分を失ったように感じたんだ。それを埋めるために菓子パンを食べまくって不安を埋めたんだ。

 余生。

親父は70近くなってリアルに余生だが、俺は中学から余生だ。野球が大嫌いなことはわかったが、自分が何をしたいのか、何ができるのか、ついぞ知ることはできなかった。

死んだような毎日だ。

もう30年も余生をやってる。そしてあと30年ほど余生が続いたら、ようやく来世に飛び立てる。来世では超美人のお嬢様に生まれるか、そのお嬢様に飼われる猫に生まれるか、生まれない。その三択でお願いします!!

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毎日メチャクチャダルくてウツなおじさんがオバサンになってみた話 猫魔太郎 @nekomatarow

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