2025年1月1日。にゃんこ支離滅裂5

さあさあ、すでに家を失って食べ物も確保出来なくなったがこれで本来の野生の猫の姿であるのかもしれないが、今は真冬だからすぐに住居を確保しなければ間違いなく凍死してしまうだろう。いくべき場所はどこなのか。僕は線路を渡る。やがて電車が来た。駅のホームからは一人しか乗らなかった。線路からホームに猫ジャンプで上がった僕は、開いた電車の扉に乗り込んだ。よし、侵入成功だ。僕はこの町から出る事にした。生活を変えるのならば環境を変えなければならない。環境を変えるのに手っ取り早い手段としては別の街に行くというのもあるだろう。やがて電車の窓の景色が霧に包まれた。おいおい勘弁してくれよ。僕は少しうんざりした。新たなる地へ向かう電車の車窓からの景色は実は楽しみにしていたのだ。そう何度も電車に乗る機会はないだろうから。『次の駅は格闘技駅……格闘技駅。終点です』終点らしかったので僕は降りた。駅は薄暗く、僕と一緒に乗っていた人間もそこで降りた。まあ終点だから当然である。「おやおや、猫がここに紛れ込んでしまうとはな。珍しい」その男は筋肉マッチョで頭にバンダナを巻いていて、いかにも格闘技をやっているタイプだった。「着いてこい。案内する」「にゃあ」僕は素直に男に着いていくことにした。なにやら不思議な魅力を醸し出していたし、それがフェロモンなのかは分からないけど、とりあえず霧がまだ晴れないし、このままだと路頭に迷ってしまうと思ったからだ。「聞き分けがいいな。というかお前人間の言葉が分かりそうだな」「にゃあ」「やはりな。お前はただの猫ではないという事か。ここはこの駅は普通の駅ではない。普通の人間や動物では入る事が出来ない不思議な電車なんだ」と男は言った。僕は、よく分からにゃかった。

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