2025年1月1日。にゃんこ支離滅裂4

今の生き方に疑問を持った僕は、そろそろ潮時と考えていた。そりゃあ何もしなくても猫としてその店にいるだけで住居と食事が確保されているのはありがたい。が、このまま一生を終えるのはどうなのだろうか。いや一生を終えられると思っているのは多分間違いだ。それは若い内だけ、年をとった店では働かせてくれないだろう。そしてその先に待っているのはもしかしたら処分という可能性だってある。若さはそれだけで価値になる場合があるというのに僕は気づいたのだ。人間にも定年があるように猫にも定年がある。そしてその先に待っているのはもしかしたら死だ。だとしたらいつ解雇、処分されるか分からないこの状況は果たして正しい猫の在り方といえるのだろうか。いにゃ。言えにゃい。だから僕は今夜出る。このお世話になった猫カフェを。振り返らずに。その夜、僕が住居からそっと出ようとした時、人影がした。「やっぱり出て行くんだね。そんな気がしていたよ」僕をスカウトした性別未だ不明サンタが僕に声を掛けた。僕はうん、と頷いた。「これ最後の食事。私に出来るのはこれぐらい」僕に最後のおやつ、中毒性のあるちゅー、なんとかというおやつくれたサンタは涙を流して僕にバイバイした。僕はそのおやつを食べて美味くて、うまくて一瞬だけど決心が揺らぎそうになったけど、揺らいだのはその一瞬だけで僕はその後振り返らずにありがとうの「にゃお、にゃお」と鳴いてその場を音もなく去ったのであった。

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