第6章:永遠の約束

 季節は初夏へと移ろい、街路樹の緑が鮮やかさを増していた。


「結さん、おめでとうございます」


 七緒は「シークレット・ペタル」の発売を祝って、特別なディナーを用意してくれた。彼女のアパートのテーブルには、手作りの料理と共に、美しいアレンジメントが飾られていた。


「七緒さん、こんなに素敵な準備をしていただいて……」


「だって、結さんの大切な日だもの。私にできる精一杯のことをしたかったんです」


 ワインを傾けながら、二人は穏やかな時間を過ごした。窓の外では、街の灯りが瞬いている。


「実は、この香水には秘密があるの」


 結は持参した小瓶を取り出した。


「どんな秘密ですか?」


「この香りは、七緒さんがいなければ、決して生まれなかったわ。あなたとの出会い、重ねてきた時間、そして……この想いが、全て詰まっているの」


 七緒の目が潤んだ。


「結さん……」


「だから、この最初の一本は、七緒さんにあげたいの」


 結が差し出した小瓶を、七緒は大切そうに受け取った。


「私の心からの感謝と、そして……愛を込めて」


 その言葉に、七緒の頬から涙が零れた。


「結さん、私……私も結さんのことを、こんなにも愛しているんです」


 二人は強く抱き合った。七緒の小さな体が、結の腕の中で震えている。


「ねえ、これからずっと一緒にいてくれる?」


 結の問いかけに、七緒は顔を上げた。


「はい。永遠に」

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