定期報告・宵宮夕子
──今日も今日とて報告文。
地球にきてから、高校というものに入学した。
今の所、実験は順調である。
しかし初日はやらかしてしまった。
わたしを謎の部活動というものに勧誘してきた地球人が、気に食わなかったから思わず肉塊にしてしまった。
使える貴重な駒を一つ減らしてしまった。
反省。
……だが同時に、面白い人物にも出会えた。
彼もまた、そこらへんの地球人とあまり変わらない男子高校生。
前述した事故を、奴に見られてしまい、尋問をする羽目になった。
最初は催眠術にかかっておらず、無理やり催眠術をかけることになったのだが問題はその後だ。
とある一言がわたしを驚かせた。
使命を全うしろ、と。
奴はわたしの実験、および任務のことを知っているような素振りだった。
喋っている時の彼は、正直何を言ってるのか分からないが、どの発言も意味深に聞こえる。
まさか、わたしのことを見透かしているのか?
だとしたら消さねば。
……とも思ったが、やめることにした。
正直、奴のことが気になってきたからだ。
わたし自身の言葉を理解しているのか、実験も兼ねて、なるべく奴の近くにいるようにしている。
しかし相変わらず、奴の言っている言葉は理解に苦しむ。
同時に、面白いとも思えた。
そんなことをしていると、わたしの友人として催眠をかけた女子高生から声をかけられる。
『それってもしかして、恋なのでは!?』なんてことを言われた。
わたしが奴に恋をしているなど、あり得ない。
……ただ、気になっているだけだ。
断じて違うのだ、うん。
しかし本当に催眠術にかかっているのかどうか、まだ様子を見ることにしよう。
いつでもやれる。
いつでも肉塊にできる。
だがなるべく、貴重な実験材料である地球人を潰さないようにしたい。
だからこそ、奴の隣にいることにしよう。
できれば卒業するまでには、奴の実態を明かさなければならない。
定期報告終了。
……でも、もしこれが本当に恋だとしたらどうしよう。
困っちゃう。
だがそれはそれで、面白いかもしれない。
ふふふ……。
宵宮夕子の声を聴け──宇宙人な彼女の催眠が効かない僕、バレたら消されそうだから厨二病のふざけたノリで誤魔化す日常。怖い。 夜缶 @himagawa
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