■082,『リュウ+夢を見つけてみた』

「リュウお兄ちゃん、将来の夢は?」

 ユナの質問に、リュウは考え込む。

 もう中学生。

 そろそろ、自分の道を決める時期だった。


「パパのように商人になるの?」

「それとも、ママみたいにギルドで働くの?」

 妹の質問は続く。


「実は……」

 リュウは家族に打ち明けることにした。

「先生になりたいんだ」


「先生?」

 アラタが優しく尋ねる。

「うん。孤児院の子たちに、勉強を教えたい」


 リュウの言葉に、家族は驚いた様子。

 でも、すぐに笑顔になる。


「素敵な夢ね」

 エルメスが抱きしめる。

「パパみたいな商人になれなくて、ごめん」

「何言ってるんだ」

 アラタが息子の肩を叩く。


「リュウの夢は、リュウの夢だ。

 商人じゃなきゃいけないなんて、

 そんなことはない」


「でも……」

「先生になって、子供たちを助けたい。

 それは立派な夢だよ」

 アラタの言葉に、リュウは目を潤ませる。


「あちしも応援する!」

 スノーが寄り添う。

「リュウお兄ちゃんは、優しいもん!」

 ユナも飛びついてくる。


 その日から、リュウの生活は変わった。

 学校の勉強はもちろん、

 孤児院でボランティアを始める。


「今日は、この計算の仕方を教えるね」

 黒板の前に立つリュウ。

 子供たちは、真剣に聞いている。


「リュウ君、本当に上手ね」

 シスターが感心する。

「まだまだです」

 でも、リュウの目は輝いていた。


 家に帰ると、ユナが駆け寄ってくる。

「お兄ちゃん、今日も教えて!」

「ユナの宿題? よーし、見せて」


 リュウが教える様子を見て、

 アラタとエルメスは顔を見合わせる。

「本当に成長したわね」

「ああ。もう立派な先生だ」


 ある日、リュウは商業ギルドを訪れた。

「パパ、お願いがあるんだ」

「なんだい?」


「孤児院の子たちに、

 商売の基礎も教えたいんだ。

 そしたら、将来の選択肢が増えるでしょ?」


 アラタは息子の提案に感動した。

「パパの商売の知識と、

 リュウの教える力を組み合わせるんだな」

「うん!」


 エルメスも協力を申し出た。

「商業ギルドで、特別授業をするのはどう?」

「それ、いいアイデアだね!」


 こうして、リュウの夢は

 少しずつ形になっていく。

 教える技術を磨きながら、

 商業の知識も身につけていった。


「パパ、ママ」

「ん?」

「僕の夢を応援してくれて、ありがとう」

「当たり前よ。私たちはいつでもリュウの味方だから」


「そうだぞ。リュウの夢は、

 きっと多くの人を助けることになる」

 アラタの言葉に、リュウは頷く。


 夕暮れ時、家族で夕食を囲む。

 ユナが今日の学校の話をする。

 スノーが尾を振って聞いている。

 エルメスが優しく微笑む。

 アラタが誇らしげに息子を見つめる。


 リュウは思う。

 この家族に育てられて、本当に良かった。

 そして、その恩返しを

 先生という形でしていきたい。


 夢は、きっと叶う。

 家族と共に、一歩一歩前へ進もう。


 夜空には、たくさんの星が輝いていた。

 それは、リュウの未来のように

 眩しく、美しかった。


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