■007,『アラタ+家を建ててみた』

 無事、エドガー商会との取引を終えた俺は、商業ギルド・エルフの受付嬢さんのところへ戻っていた。

「先ほどはありがとうございました。無事に商談成立しました」

「シンドウ商会様……、それはおめでとうございます!」

「アラタとおよびください」

「それではアラタ様と。私は、エルメスと申します。よろしくお願いいたします」

>>エルフスキー草

>>それはみんな同じでしょ(笑)

>>エルメスたん


「早速ですがエルメスさん、こちらの商品の技術登録をお願いします」

 リバーシの設計図をアイテムボックスから取り出した。

「アイテムボックス! 失礼しました。ただいま登録いたします」

>>でたアイテムボックス無双

>>やっぱ珍しいんだね

「登録完了いたしました。以後、アラタ様の口座に技術料が振り込まれますので、定期的にギルドカードのご確認をよろしくお願いいたします」

「了解です。それと、土地を購入したいのですが」

「どのような立地をお探しでしょう?」

>>土地?

>>何すんだろ?

「町外れのダンジョン近くに、家を建てたくて。商品用の倉庫なども建てるので、大きな場所がいいです」

「ダンジョンの近くですか? それなら開拓地なので許可はいりません。基本的に開拓者の物になります。家を建てた後、念のため、商業ギルドへ登録していただければよろしいかと」

「わかりました。家を建てたら、登録にまた来ます。ありがとうございました」

「お役に立てたのなら、幸いです」

>>家建てるのね。

>>町の方がよくない?

 コメントに突っ込まれつつ、俺はすぐダンジョン近くへと街から出た。


「そろそろ喋ってもいいか。確かに、町の方が店があっていい。でも俺が欲しいのは、土地だ、それも大きな」

>>そんなでかい土地どうすんの?

「豪邸を作ります! 家だけじゃなく、商品の倉庫や、大浴場とかもな!」

>>異世界に家を持つ、最高だね!

>>金足りるのか?

「いや、今回はなんと、お金はそんなかからない! なぜなら、俺が魔法で建てるから!」

>>無理っしょ草

>>プロに任せときって……。

>>アラタって、元建築関係の人だったり?

「いや、普通のサラリーマン。建築とは無縁。まぁ見てんしゃいって!」

 そう言って俺は、アイテムボックスから無加工の切り倒した木を取り出した。

>>はい、アウト!

>>生木を使うな、素人か! 素人だったな、ごめんよ!

「大丈夫、生木を使えないくらい、俺も知ってる。これ、ダンジョンにいたトレントっていう木の魔物。これを魔法で加工する」


 まず、余分な枝を切り落とす。そして、乾燥させる。その後、2x4/ツーバイフォーというサイズに切りそろえれば……、

「ね、簡単でしょ?」

>>どこの3分クッキングやねんっ! アフロヘアにすっぞ!

>>俺、建築関係、この魔法売ってほしい……。

「こんな感じで魔法を使い、建築材を量産していく。後は、ブロックゲーム感覚で組み合わせる」

>>魔法はイメージ、なのか?

「そうそう、スキル『想像魔法』だからな。魔法で地面をならし、錬金術で金属補強。そこへ土魔法でコンクリートをながす。基本的に、これの繰り返しだ」

>>コンクリート打ちっ放しの壁にするのか?

「いや、さっき作った木材で、内装は木造にする。そっちの方が、落ち着くだろ?」

>>確かに。

>>打ちっ放しも悪くないが、全部の部屋はちょっと……。

>>魔法で簡単にリフォームできるし、あきたら変えればいい。

「確かに。リフォームが手軽にできるって、魔法って凄いよな」


 そうして家となる屋敷の他に、倉庫や、無駄にでかい露天風呂を用意。

「一応、防犯用に『結界魔法』と『鍵魔法』かけといた。例え鍵を持っていても、登録者以外は、屋敷に入れない」

>>超便利。

>>1人だし、寝込み襲われたら恐いしね。

>>盗賊とか出そうだし。

「まぁ、索敵魔法あるから、敵がいたらわかるんだけどね。一応だよ。今後は、ここでの撮影が増えると思うから、みんなよろしくね!」

>>りょ。

>>了解です。

>>リアルより豪邸で楽しみ。


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