第2話 鷹狩りのご先祖様
よく来たな。今年も大きさ比べをするか?良いぞ。かかとを揃えてから……お?そろそろ、つま先がじいちゃんに追いつきそうだな。大きくなったもんじゃ。ただ爪が伸びてるから切ったほうが良いな。タカじゃないんだからな。鷹を見たことがない?ほれ、わしの袴に付いておったじゃろ?覚えてない?後でまた見せてやろう。あれはな、家紋と言って我が家だけの『しるし』なんじゃ。カッコいい?そうじゃろ、そうじゃろ。あれはご先祖様のおかげなんだぞ。
むかーし、むかし。あるところにお殿様がおってな。違う違う、残念ながらお殿様はご先祖様じゃない。たいそう鷹狩りが好きのお殿様でな。そこの鷹の世話をしておったのが、我が家のご先祖様じゃ。鷹のつま先には鋭い爪が付いててな、それで獲物を捕まえるのじゃ。そうそう、藤のつま先みたいに強いんじゃ。よく覚えてたな。
狩りに使うから鷹の爪は大事に世話しなきゃいかんが、それに傷つけられてもいかん。とくに腕じゃな。なんでかって?腕を鷹の止まり木代わりにするからじゃよ。痛くない?そりゃ、痛いさ。そのままじゃったらな。鷹の爪でも腕を傷つけられないようにするにはどうしたら良いと思う?……ご先祖様は毛布みたいなもので腕を覆ったんじゃ。なーんだ、そんなことって思うか?聞くと何でもないことを初めてやったのがご先祖様。それじゃったからこその、我が家の家紋に鷹がおるんじゃよ。もう一度見てみたくなっただろう?よしよし。ばあさん、わしの袴はどこかいな?わ
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