おじいちゃんの昔話

第1話 サッカー部の藤

どれ？どれだけ大きくなった見てやろう。そうそう、こうやって足の裏をくっつけて……まだまだ、じいちゃんのほうが大きいな。足の大きさもそうだけど、強さも大事だぞ。

じいちゃんの友達にフジというやつがおってな。漢字？まだ早いじゃろ？藤原の藤なんじゃが、わからんだろ？大きくなってから辞書を引きなさい。藤はな、サッカー部に入ってたんじゃ。さっきテレビでやってただろう。ボールを足で蹴るやつ。やったことあるか？幼稚園で？そうかそうか。楽しかったか？まあまあ、か。わしもやるのはそれほどでもないから、似たのかもしれんな。

それでな、その藤が試合中につま先を怪我してしまったんじゃよ。ボールを蹴ろうとしたはずが、相手の足に当たってしまってな。そういうこともあるから、それは良い。それからじゃ。藤はつま先を鍛えようと思ったんだろうな。つま先だけでボールを蹴る練習ばかりするようになったらしい。

強くなったのか？もちろんつま先だけは強くなったらしい。じゃが、走る練習をちゃんとせんかったせいで、あまり試合には出してもらえんかったみたいじゃ。ん？足の強さはつま先だけじゃダメということじゃ。わかったかな？まだ難しいかぁ……