第3話怪しい執事と被害者の弟子

  「僕に何か御用ですか。」

 「処理前のゴミは、どこにあるかご存知ですか?。」

 「確か別館の倉庫に一か月分貯めて、一か月ごとに処理しているはずです。」

 「瑞姫別館に急ぐよ。」

 「へ?。

 

 別館の倉庫には、大量のゴミが貯めてあった。最初の方は、種類別になっいたが。終盤にかけてどんどん雑になってきている。

 「やっぱりゴミは、捨てられてなかったね。多分廻さんは、犯人か犯人とグルだ。私たちがゴミが証拠になるかもしれないと話していたのを聞いて噓をついたんだろうね。さっそく手紙を探そうか。」

 「このゴミの山からどう探すっていうんですか?。金属とかならまだしも手紙なんて、そう簡単に見つかりませんよ。」

 「根気よくやるのが探偵の仕事だよ。」

 山のゴミ袋から、手紙を探すなんて何日必要なんだろうか。様々な紙を探し手紙らしきものはあるが事件に関係ありそうなものは見当たらない。

 レシートが一枚でも見つかれば、手がかりになるのにこう言うときに限ってそんな手がかりは見つからない。

 「どうしようか、見つからないものをいつまで探していても捜査は進まないね。私は、ここで手がかりを探しておくから瑞姫は、聞き込み捜査を続けてきてよ。」

 「一人で大丈夫ですか?。」

 「大丈夫大丈夫これでも若手名探偵だからね。」


      〇

 私は、凛華さんに倉庫での作業を任せ中野夫妻に話を聞くことにした。

 「手がかりになりそうなことですか。そうですねえ、私たちが散歩していた時は、お兄様の弦音と爺や廻傑さんが別館にゴミを持って行ったのを見かけましたわ。」

 「確かに僕も見ました。いつも落ち着いているのにあの時は焦っていたようにも見えました。ただ単に急いでいたようにも見えなかったですね。」

 この夫妻の言っていることが本当だとするなら、剛さんのアリバイも本当だろう。

 私は、今までの仕事の中で人々の話には矛盾が生まれるのが大概だと思っていたが。今回は、全員が本当にも噓にも感じれることばかりだ。

 「その日に特に気になったことは他にありませんか?。お母様の事とか長男さんの様子とか。」

 「優お兄様でしたらその日は、多分お部屋から出てきていません。その何日か前にお父様から、書いてる途中の小説を受け取っていましたからお部屋にこもっていました。お母様は、特に変わった様子はなかったですけど強いて言えばお父様が殺される何日も前から爺やと散歩をすることが増えてました。」 

 「そうですか。わかりましたありがとうございました。」

 「お力になれたのなら光栄です。」

  兄二人も白の可能性が高いだろう。でも優さんが部屋にいたかなんて誰にもわからないあと母親もなにか怪しい。

 優さんか母親かどちらから行くべきか。 

 「どうかしたか?。」

 「うわぁ!。」

 いきなり低めの声で後ろから話しかけられて、我ながら女らしい悲鳴が出た。

 「驚かせるつもりはなかった、すまなかった。」

 後ろを振り向くと袴姿の剛さんだった。弓を引いてきたのだろうか。

 「弓道をなさっていたのですか?。」

 「そうなんだが弁当を忘れて取りに来たんだ。良ければついてこい、どうせ聞き込みだろう優兄さんや母さんの前に俺から聞いておいた方がいいだろうしな。」

 ジャストタイミングだった、剛さんが一番安全そうな気がしていたので、今一番話を聞きたかった。

 「是非。」

 

  館から十分ほど歩いた林の中に、綺麗でいかにもという弓道場があった。古さを感じることもできるが中は、すごく広かった。

 「的は、五つつけれるのですね。」

 「父さんが昔は、弓道仲間と練習をしたりしていたし俺もここで、父さんに勝負を挑んでいたが勝つことなく父さんが殺された。」 

 「霞的にどれほどの的中率なんですか?。」

 「俺は、七割で父さんは、九割だった。九割なんてどんだけ練習しても無理だと思って

いたのに父さんは、簡単に皆中しやがる。ていうかあんた弓道してたのか?やけに弓道のことを知っているが。」

 「中高弓道部でしたから。」

 「そうか今度道具を持ってもう一度来い勝負するから。あとそこの座布団を出して座っていろ、茶を入れてくる。兄さんと母さんの話をしてやるから。」

 「ありがとうございます。失礼します。」

 人は見かけによらないなこの人は、話やすくてとても優しい。

 

 「ほら茶だ。早速だがまず兄さんについてだ。兄さんは、今回の父さんんを殺した犯人について何か知っているだろう。母さんが悲鳴を上げたとき兄さんは、自分の部屋ではなく爺と一緒に来た。そしてその前に爺は、母さんと何かを真剣に話し合っていたからな。爺もなにか知っているだろうしな。母さんは、信じたくないが一番犯人の可能性があると俺は思っている。父さんは、武術の達人でもあったからそれなりに懐には入り込めて父さん以上の武術の達人は、母さんだけだ。俺から話せるのはこれだけだ。」

 この人は、物事を深く考えて自分のことだけじゃなく人のことも考えている。この人探偵になれるんじゃないか。

 「ただ優兄さんに話を聞くのは明日にしておけ、明日は母さんと爺が出かけるはずだ。」

 「わかりました。何かとありがとうございます。」

 「家族であろうが父さんを殺されたのは悔しいからな。」

 これが仕事じゃなければ、私はこの人に惚れている。

 「それでは失礼します。」

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