第2話被害者と新たな問題

  何度見ても残酷な死体だ、どんな顔だったかわからない。なぜ犯人は、心臓を刺した後顔をぐちゃぐちゃにしたのだろうか。

 「なぜだろうね。」 

 「何がです?。」

 「いやねなぜ主人は、刺されたとき叫ばなかったのだろう。」

 「それは後ろから不意を突かれたからでは?。」

 「気づかないのかい?主人の服が前側と背中側包丁が刺さったであろう裂け目の大きさが違うんだ。前側の方が裂け目が広いということは。」

 「前から刺された、ということですか。」 

 「そういうこと。」

 この人は、いざと言う時になると事件の真相に近づく推理をしだす。死体の服を見ただけでどういう殺し方をされたかに気づいた。

 凛華さんは、死体のあった部屋を見て回り推測を語り始めた。

 「私の今の推測としては、犯人は複数人いると思うね。まず天童剛は、犯人の可能性は極めて低い。次に低いのは、葵さんだろう彼は主人を殺害する必要がないからね。他の人に関しは、まだ何とも言えないね。可能性として言えば今田和孝彼は、一番主人と関係性がなく包丁も持っているだろうからね。明日は彼の所から行こうか。」

 「了解です。」

 

 「私を疑うんですか?。」

 「そういうわけではありません。ただ和孝さんあなたの包丁一本足りないのではありませんか?。」

 「ああそうだ、確か凶器として使われてたんだろ?だからって私が犯人だと?あの包丁は、新人に貸してたんだよ。」

 「なるほど、その新人さんは今どこに?」

 「事件がある二週間前からバカンスに行って休みだった。もう帰ってきてるんじゃないかな。名前は河野だ。」

 「ありがとうございました。」

 凛華さんが話を聞いてる間に私は、料理室を見て回ったが不可解なものはなかった。「瑞姫車を運転してくれ。河野さんのところに行こう。」 

 「なんで私運転なんですか。」

 「私運転苦手なんだもん。」

 「はーわかりましたよ。」


       〇

 その新人は、まあまあいいマンションに住んでいるようだ。

 「したっぱ料理人でもこんなとこに住めるんだね。」

 「物凄く失礼ですよ。確かにそうですけど。」

 私は、凛華さんにインターホンを押して来いと命令されたので、河野さんの住んでいる部屋の前まで来たが、中からバタバタと音がする。

 「すみません。誰かいらっしゃいますか?。」

 「今出まーす。」

 ガッチャとドアが開き出てきたのは、女性だった。

 「何かご用意ですかね。」

 「河野さんのご自宅で間違いないでしょうか。」

 「そうですけど。雄太のこと呼んできますね。」

 そう言って女性は、家の中に戻っていった。同性でもしているのだろうか。私には、彼氏もいないのに。

 「僕に御用ですか。」

 「坂本探偵事務所のものです。天童家当主殺人事件の件についてです。」

 「僕は、休みを取っていたので犯行はできませんよ。」

 「わかっています。犯人と疑っているのではなく犯行に使われた包丁についてです。あなたは、料理長から包丁を借りていましたね?。何か知っていますか?。」

 「とりあえず入ってください。」

 家に上が玄関からすでに広い。

 「包丁は、確かに借りていました。でも旅行に行く前に、料理長に返そうと思ったんです。でも料理長がその日会議に出ていたので、料理室に手紙と共に置いて帰ったんですよ。だから、多分料理長以外の人が盗んだのかもしれませんね。僕が言えるのは、ここまでです。」

 「ありがとうございました。今後何かわかればご連絡ください。」

 

 「やっと帰って来たね。何か聞けたかな瑞姫ちゃん(笑)。」

 「何で凛華さん来なかったんですか!。私一人で気まずかったんですから。」

 「ごめんて。とりあえず犯人に近い人のとこへ行こう。」

 この人は、私のことをなんだと思っているのだろう自分では、容疑者以外の人から聞き込みをしない。ほんと私が来る前は、どうやって仕事を受けていたのだろう。

 

 まず私たちは、料理長の今田和孝さんのもとを訪れた。

 彼は、「包丁も手紙もなかった」と言っていた。

 「やっぱり誰かが包丁を結んで手紙を捨て犯行に及んだということでしょうかね。」 

 「どうだろうね包丁も手紙もなかった。なんて噓かもしれないしねぇ。検証をして、その証言が本当であることを調べないといけないからね。」

 凛華さんは、ここからがすごい推理力を発揮するのだ 。

 「まず最初に調べるのは、この館から出たゴミを調べるよ。」

 「何でゴミなんです?。」

 「今回の犯人は、使ったものをそのまま捨ててると思うんだ。しかも、手紙が置かれたのは数週間前まだゴミは、処理してないはずだからさ。」 

 「話を聞いてい居りましたが。ゴミは、先ほど燃やしてしましました。」

 後ろから声をかけてきたのは、廻傑さんだった。しかも、ゴミを全て処理したとのことだ。

 「そうですかわかりました。ありがとうございます。」

 「どうするんですか?手がかりになるかもしれなかったのに。」

 「じゃあ仕方ないし、優さんのとろこに行こうか。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る