天童家での殺人事件
@kawasimamomo
第1話事件発生とアリバイ調査
私の名前は「家吉 瑞姫」。坂本探偵事務所の坂本さんの下でサポート役として働いている。うちの探偵事務所は、浮気調査などの依頼だけでなく殺人事件などの調査もしている。
今日も夜中だというのに電話がかかってきた。今回は、ある館の主人が何者かに殺されたらしい。
「これはひどいですね。顔がぐちゃぐちゃにされてる。」
「そうなんですよ。しかも左手の人差し指が切り取られてるんですよ。警察の調査では、犯人まで辿りつかなくて坂本探偵事務所さんに連絡したんですけど。」
「ほんとすみません。あの人夜中に起こされた来るの遅いんです。ですから私がこの館のこと先に聞いときますよ。」
その後警察官の話を聞く限りこの館は、木造の和風の館、少し離れたところに別館と弓道場があるようだ。そしてこの館の主人「天童 忠」さんは、酒豪で一日中酒を飲み続けるような人だったが、小説家としても有名で書斎に籠り続けることがあり厳しさと優しさを持つ方だったらしい。
「すみません!遅れました。電話がかかってきてから二度寝してしまって。」
「はぁ遅いですよ、凛華さん。」
彼女が私の上司「坂本 凛華」さん。二十代にして名探偵と呼ばれる彼女だが、時間にはルーズで事務所に資料を散らかしたまま寝るタイプの人だ。
「とりあえず被害者はこっちです。今回は、なかなか残酷な殺人ですよ。凛華さんにも難事件かもしれませんよ。」
私は、警察官から聞いたことを全て凛華さんに教えた。
「なるほど、確かに難事件になるかもね。じゃあさっそく瑞姫に問題。一番最初にするべきはなんだと思う?。」
「そうですね、、、。容疑者へのアリバイ調査ですかね。」
「正解!。ということで容疑者全員集めてきて。」
「わかりましたよ。凛華さんはあっちの部屋にいてください。」
容疑者は、七人。館の広さにしては、少し少ない気もした。
「さて、皆さん集まってくれてありがとうございます。今回の事件まだ何もわかっていません、皆さんの中に犯人がいる確率が高いので一人一人事件発生時のアリバイを教えていただけますか?。」
まず1人目、「今田 和哉」専属の料理長
「私ではありません。なぜなら私は、事件発生時料理室にいだのですから。今晩の料理を作り終わり一息ついたところで奥様の悲鳴が聞こえ現場にきたんですから。しかも私は、旦那様に雇われてますからそんなことするはずがありません。」
なるほど確かにアリバイはある。けど、なんか話し方が腹立つ。
次に二人目、「廻 傑」主人の執事
「私は、事件発生時は一階の客人用のお部屋のお掃除をしておりました。私は、数十年前から旦那様に仕えてきました。奥様とのご結婚されるときもお子様方がお生まれになる時も旦那様のお近くにおりました。それなのにこのような形で旦那様が亡くなられるなど考えてもおりませんでした。」
彼は、ほんとうに主人のことを慕っていたようだ。だが慕っているからこそ殺害に及ぶ人を何人か見てきた。
三人目、「天童 優」天童家長男
「僕は、事件発生時は自分の部屋で本を読んでいました。今日部屋を出たのは、朝に一度だけコーヒーを取りに部屋を出たのが最後です。お父さんは、無口な人でお父さんとたくさん話した記憶はないです。でもたまに、自分の書いた小説を僕に試し読みをさせてくれました。お父さんの小説は、ストーリー性がしっかりしててすごく面白かった。今読ませてもらってた小説の感想をまだ伝えてないのに、すごく悲しいです。」
彼は、主人との思い出は少ないようだが主人は、話すことではなく小説と言う共通点で彼のことを大切に思っていたのだろう。
四人目、「天童 剛」天童家次男
「俺は、今日一日山の方にある弓道場で一日中弓を引いてた。携帯は、こっちに置いてたから帰ってきたら父さんが殺された後だった。親父は、俺にとって親であって弓道の師匠であって一番の敵だった。俺に弓道、兄貴に小説って言う自分が語り合える分かち合えるものを息子にやってもらえて嬉しかったとは思うぜ。でも俺は、まだ一度も親父に弓道で勝ってねえのに、親父のバカ殺されやがって。」
彼は、一番アリバイを持ってる。そして弓引きとして父親を尊敬していたのだろう。あと私の異性のタイプにピッタリだ。
五人目、「天童 聖美」主人の奥さん、第一発見者
「私は、外でガーデニングをしておりました。そこで綺麗なお花が咲いていたので忠さんに見てもらいたくて呼びにきたら発見したと言うわけです。私は、忠さんともう四十年近く付き添ってきました。彼のことを心の底から愛し、彼からも大きな愛を受けておりました。子供達が生まれてから本当に幸せな成果を送り、安定した老後でしたのに忠さんが殺されて。犯人のことは、死んでも許せません。」
主人のことを本当に愛していたのだろうが。重い愛は、時に人を変える。犯人としてはあり得るかもしれない。
六人目、「中野 心 旧姓(天童)」天童家長女
「私は、葵君と庭の薔薇庭園を散歩していたわ。電話がかかってきて急いで帰ってきたらお父様が殺されていたと言うことです。私は、兄様たちに比べてお父様との共通点もなく、一度も褒められたことがなかった。でもたまに見せてくれる優しい顔が大好きでした。頼りになるお父様の大きな手を今でも覚えています。」
彼女は、お兄さんたちと比べて父親と関わりが少なかった。でも小さな頃の思い出が強く残っているようだ。
最後七人目、「中野 葵」心さんの旦那
「僕は、心ちゃんと一緒にいました。お父さんと関わりは少なかったけど結婚のご挨拶の時笑って歓迎してくださったのは嬉しかったです。あ、あとお父さんの小説の大ファンでした。」
彼は、今までの誰よりも内容が薄い。疑うのも可哀想なぐらい薄い。でも尊敬の言葉が多い。
私は、容疑者の話を聞き思った、今までの犯人たちは、「遺産の話」や「喧嘩別れをした」などの話をしていたが。今回の七人は、そんな話を一人もしなかった。
「なるほど、話を聞く限り皆さん主人のことがお好きだったのですね。ですが、この中に犯人がいると私は考えています。犯人さん、今なら罪はまだ軽いです出てきてください。」
「、、、。」
「って言っても出てきませんよね(笑)。」
この状況で冗談を言うなんてこの人は、本当にすごい。今の話を聞いただけで、なんで犯人がいると言い切れるのだろう。全員がこの人大丈夫か?と言わんばかりに呆然としている、当然だろう。
「そうですね。皆さんのお部屋を少し見させて欲しいのですが、今日は夜も遅いので明日にしましょう。皆さんのことは一度警察に任せます。瑞姫は、私ともう一度犯行現場を見に行くよ。」
「わかりました。」
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