【幕間】幼女のチート考察
寒さが厳しくなってきました。
コタツに丸まってコタツムリになってしまいそうです。
でも竹林参りは、私がこの世界に来てから1日も欠かした事がありません。
いつもの時間になるとお爺さんと私は竹林へと行くのです。
まあ、これが現在の生活の糧なので文句も言わずにお勤めしています。
雨の日も風の日も雪の日も。
ホントにちゃんちゃんこ作って良かった……。
「娘よ。今日はどの竹が光りそうじゃな?」
「やってみる」
光の玉を出して、適当な竹を目掛けてふよふよと光の玉を移動させます。
その竹に光の玉が吸い込まれると、その竹の一節間だけが眩く光ります。
その節間には金の粒が入っているので、お爺さんがその竹を切り取って帰ります。
前々から不思議に思っていたのですが……、
私の出す光の玉に
それとも実はこの竹林のあちこちに金が仕込まれていて、光の玉がその場所を指し示すのか?
一体どちらなんでしょう?
私の出す光の玉には人の病気や怪我、荒ぶっている
だから
私は今まで人の持っている治癒能力を高めるイメージで傷を癒してきました。
でももし金を生み出す能力が私にあるとしたら、私は
そしたら私は千切れた腕や足をニョキニョキと再生する事が可能かも知れません。
それどころか腕を生やしてリアル阿修羅を作る事も可能かも知れません。
でも錬金術って等価交換が基本じゃ無かったかしら?
金と等価交換って……
考えても答えがなさそうなので、実際に試してみましょう。
「ちち様、少し待って」
「どうしたのじゃ?」
「試してみたい事」
私は光の玉を浮かべて
『金になれー、金になれー、金になれー』と心の中で唱えて竹林の中の筍目掛けて飛ばしました。
(ちゅどーん!)
光の玉が命中した筍は爆発して四散してしまいました。
そして次の瞬間、目の前が真っ暗になりました。
◇◇◇◇◇
目が覚めた時、私は屋敷に居ました。
心配そうな顔をしたお爺さんとお婆さんが私を覗き込んでいました。
「おぉ、娘よ!大丈夫か?」
「大丈夫かい?身体は何ともないかい?」
お婆さんは涙を流して心配していました。
お爺さんも何処か思い詰めている様子です。
自分のせいかと思っているのかしら?
「変な事をやって失敗したみたい
心配かけてごめんなさい。」
「おおぉ、娘よ。身体は何ともないんじゃな」
「大丈夫、だと思う」
とりあえず起き上がってみましょう。
「よい……しょ」
……何と言うか、生命力みたいなものが削られて一気に老け込んでしまったかの様な
「多分、大丈夫。
少し休めば元通り、だと思う」
「ゆっくり休みなさい
後でお食事を持ってくるから」
「お、おおう。休むがええ」
お爺さんとお婆さんは、私の睡眠の邪魔にならない様にと部屋を後にしました。
お布団に横たわり、私は一人考えます。
多分、私は
つまり物質の創造は出来ないという事です。
おそらく、竹から金が出るのは月詠様(仮)の
改めて感謝しなければなりませんね。
同意も無くこの世界に私を放り込んだのも月詠様(仮)ですが。
なむなむなむなむ……。
無理に金を生み出そうと、物質創造をしようとしたから私の中の何かを削って、私は倒れてしまったのだと思います。
……腎臓は二つともあるかしら?
今回の事で私が生粋の
もしそれをやったらきっと今日の二の前でしょう。
何はともあれ、好奇心に任せた
今の私にはこんなに心配してくれる人がいるのだから。
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