第3話 おぉ!本当に異世界転移だ…

「皆の者!静まりたまえ!」



威厳のある声で場が静まり返る。


そうだ!俺達はすき焼きを楽しく美味しく囲んでる場合じゃないんだ!


声の主の方を見やると

「THE☆異世界の王様!」

みないな人がどっしりと玉座と呼ばれるであろう場所に座って居た。

さぁみんな!自分の想像力を働かせて!…そう…今頭に浮かんだ異世界の王様の姿だよ!



「異世界からお越しくださいました勇者様方。どうぞそのままで。混乱されてるとお思いですが、どうか我々の話に耳を傾けてはくださいませんか?」



凛としていて、それでいて優しさも感じられる声が更に響き渡る。

王様の隣に座る高貴そうな女性…この国の王妃様だろうか。


二人はお互いに目配せして頷き合うと立ち上がり此方へと歩みを進めて行く。

そして自分達の前まで来ると膝を付いた。



「何とっ!」



「王よ!王妃よ!何をなさる!」



周りの人々の一斉のざわめきを見るところ、この行為がどんなものかが想像つく。




「我らの勝手な都合で貴方様方をこの場に召喚したことをまずは人間領の代表として深くお詫び致します。

此処は貴方様方が居た世界とは違う世界…所謂異界となります。

この世界の名を『デアドーム』と我々は呼んでおります。貴方様方を召喚したこの場所は人間領『アバンダイド』に位置する王宮になります故、ご理解頂けると嬉しいです。

そしてこの態勢は我々人間にとっての最敬礼の意味を表す態勢になっております。

貴方様方の世界とは違う作法で無礼に感じてしまったならお詫び申し上げます。」



そう言って深々と頭を下げる王と王妃。


国の頂点であろう二人の行動に周りでざわついていた群衆も口を閉ざす。

辺りに静寂が包まれた。



俺は家族全員の顔を見やり全員が同じ意思である事を確認した上で一つ頷き、箸を置いて静かに椅子から立ち上がった。


王と王妃の前まで行き、正座をし腰を折り三つ指で礼をした。


「頭をお上げください。国の頂点であろうお方がそう頭を下げてはなりません。皆様方も驚かれていらっしゃいます。

確かに突然の事で今も動揺と混乱でいっぱいいっぱいです。

ですが貴方様方は異界では一般市民である初対面の我々にこうして最大限の敬意と誠意を示してくださったと我々は思っております。」



一気にしゃべってから一息つく。

息を深く吸い込み、次の一言を紡ぐ。

家族全員の意思を。


「貴方様方のお話を聞かせてください。」



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