シーン4勇者の能力。
『うぎゃあああーーーーーーーーーーっ!?』
それは大型のゴブリンの絶叫。
そして塵となりサラサラと消えていく。
するとサラサラと光った何かは吸い込まれるように私の腕輪へと吸収されていく。
「あれは………なんだ。」
「あれが…勇者の…力……なのか?」
◇
実は私の戦闘時に脳内に流れてきた声があった。
私はそれを思い浮かべる。
◇
◇
◇
『勇者ちゃん!僕は腕輪に宿る精霊さ……。』
『精霊………さん?』
『ああ……君はどうやら僕の力を扱える勇者…らしい。』
『そうなんだ……』
『そう…君の力は魔族を倒す事で魔族を封印…封印した魔族はとある物へと姿を変え君の力になってくれるんだ。』
『そうなんだ!?凄い。』
『まずはやってみて覚えていくといいよ。』
『分かった……ありがとう。』
こうして精霊さんとの会話は終わって……私は魔族を倒したという訳だ。
◇
◇
◇
「ん?ふぅ…………よしよし……ん?なんだろこれ?」
私は先程仕留めた魔物を封じたであろう……腕輪を眺めていた。
すると見ていると封じた魔族のステータスが数値化され見えるという優れものの腕輪だった。
先程封じた魔族のパラメータが見える。
【ステータス】
name『ゴブリンロード』
力『…………』
スピード『…………』
防御力『……………』
Etc………特性も書いてある。
魔神具『ゴブリンアクス』
『魔神具……ゴブリンアクス?』
私は最後の魔神具という項目に注目する。
「魔神具………………」
私はその項目の事を考えていると、先程助けたエルフィーナが声をかけてくる。
「助けてくれてありがとう……で……それは?あの魔物はどこへ消えたのかしら?」
「ああ……あれはね……この腕輪に吸収されたみたい。」
私は腕輪を彼女に見せる。
とてもキラキラして美しいその腕輪。
私はすっかり腕輪に惹かれ虜になっていた。
「その…腕輪の中……なんだ?」
そう言ったエルフィーナも興味深々で眺めている。
するとそこへ集まってきたのはヒューマンの男性とドワーフ王だった。
そして…口を開くヒューマン男性。
「本物の勇者様…なの…ですね……僕はヒューマン族考古博士であり魔導士の『ロイズ』といいます!そして僕があげたそれ…扱えるとはやはり…勇者様だったのですね。」
「よく分からないけど……さっきの魔族がこの腕輪に吸収されたんだよね。」
私の言葉に興奮するロイズ。
「おお……本当に興味深い………これは勇者様の能力なのでしょう……魔物を封じる能力……そして僕の推測なのですが魔神を封じた際になにか……」
「うん……精霊さんが声をかけてくれていたんだけどさ?すぐ消えちゃったんだ。」
「そうでしたか………。」
残念そうなロイズ…すると彼は何かを考え初めてしまった。
そこへ巨大な槍をズンっと地につけた大男が口を開く。
「勇者よ………俺はドワーフ王である戦場の覇者『ドワフロス』俺は力なき者には興味が無いのだが……どうやらお前はとても面白そうな力を持っている事を知った……これからよろしくな。」
「うん…よろしく!」
私は返事を返すと美しいエルフの女性……エルファーノが笑顔を浮かべ口を開く。
「そして私の名はエルファーノ……もう知ってるわよね?そしてさっきは助けてくれてありがとうございます…勇者『ラブラ』様。」
「えっ!?それって私の名前?」
「ええそうよ…私は貴女に『深い愛』を感じたわ……そこから名前が思い浮かんだの……『ラブラ』って名前……どう?」
「………ラブ……ラ……………ラブラ………」
何故かその名前が気に入ってしまった私。
嬉しいという感情がこの時生まれた。
「うん!!ありがとう!!」
三人は自己紹介をしてくれた。
そして私は……勇者……『ラブラ』なんだ………。
するとエルファーノが続ける。
「ところで勇者ラブラ様?」
「ん?どうしたんだい?」
「勇者様の戦いの様子などを伺いましたけれど……どこでその戦闘を覚えたのですか?我々は確かにあなたを召喚はしましたがあなたの素性が知りたく存じます。」
私にそう問いかけてくるエルフィーナ。
私は笑顔を向ける。
「じゃ!話の続きはご飯の後でねっ!」
呆れ顔の男二人。
そして私達は食事をとることに。
◇
◇
◇
「ごほんっ…さあ聞かせてもらおうか?」
そう言い放ったのはドワーフ王『ドワフロス』。
「うんうん!美味いっ!地下にもこんなに美味いものがあるのだな?」
「そうか美味いか?我が軍も戦いの最中だったからな…食料は腐るほどあるのだ……食わなければ戦えんからな?」
私にそう言って沢山食べ物を分けてくれるドワーフ王ドワフロス。
すると彼は問いかけてくる。
「ところでお前のその力はなんなのだ?そしてお前はどこの誰なのだ?」
「うーーーーーん………私はねえ……記憶喪失というのみたいだね……目が覚めたら皆の前で起きた………それしか知らない……でも力の使い方とかは何故か分かるという…うーん…どうしてこうなったかって理由は全然思い出せないんだよーーーー。」
私は包み隠さず本心を告げた。
だって本当に何も分からないんだから。
すると。
「まあいい……では今日はここでゆっくりして明日我々ととある場所に一緒に行こうではないか?」
「おおっ!!じゃあーーーーーーーーーっ。」
「おかわりーーーーーーーーーーー!!」
そして私はまたお腹いっぱいの食事を食べまくったんだ。
◇
◇
◇
そして次の日。
私達はとある場所に向かっていた。
行く途中……隣りを歩くエルフィーナが口を開く。
「ラブラ!?そういえば、あなた魔法は使えるの?」
私にそう問いかけてくるエルフィーナ。
「魔法?……うーん……私魔族じゃないからねえ…」
「そうなのね…でもそれならやはりあなたはまず魔法を覚えなければいけないわね。」
「そうなの?でも私は魔法が使えなくても戦えるよ?」
「それは見せてもらったから分かるけど、でも魔法が使えるとね……こうして。」
エルフィーナが私の足に魔法を唱えかける。
「んん?おおっ!!すっごい!!エルフィーナ!すごいねっ!!私の足の疲れがすっかりとれちゃった。」
「そう?これが魔法……ヒールっていう魔法なのよ?」
「へえ!へえ!へえ!」
無邪気な私に笑顔のエルフィーナは優しく教えてくれる。
「ふぅ…やれやれ……あの勇者にはまだまだ実践に使えるとは思えんな?」
「まったくだな…………」
落胆する二人。
そんな中……私達四人の行く先には目指していた塔が見えてきたのだった。
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました。
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