シーン2勇者なの?
私は目覚める。
寝かされていた私は意識を戻すと目を開けていく。
目を開けるとそこはボロボロの瓦礫まみれの荒廃した街の中。
そして先に立っていたのは…見るからに屈強そうなドワーフ。
もう一人は頭がきれそうな眼鏡をかけているヒューマン男性……そして長髪ロングの美しく優しそうなエルフの女性が私を見ていたの。
すると。
「あなたは我々の希望の勇者様……お目覚めくださり……ありがとうございます!!」
そう言ったのは長い耳を持つ美しい女性…そう…精霊族のエルフ族だったの。
そして次の人物は屈強な筋肉マッチョ体型の大男……その男はドワーフ族だった。
「良かった……なんとか魔王から逃げおうせたみたいだ………。」
「まあまて……まだ油断はしない事だな……この街を潰したとは思ってるだろうが……相手はあの魔王だ。」
そう冷静に語ったのはどうやらヒューマン族の男らしい。
ここにいるのは世界の三種族のうち二種族の者達……三人は語る。
この地の三種族間の争いが魔族の手により開始された事。
それにより二種族は魔族の力により虐げられる世界へと帰られてしまった事。
「そんな世界が…でもさ………私という存在はこの世界で何をしなきゃいけないの?」
するとエルフ族…そしてドワーフ王がそれぞれ口を開く。
「あなたは我々精霊族……そしてヒューマン族間の力の推移を集めこの地に召喚した勇者なのです……これより我々の力となって……………」
エルフ族の女王の話を遮りクンクンとならす勇者。
「クンクン…クンクンクンクン……………………。」
何かの匂いを感じそちらに興味を向ける私。
甘い香りとフルーツのいい香りが混ざりあったなんとも言えない…つい涎が垂れてしまいそうな程の甘美な香り。
それが私の興味を激しくくすぐってくる。
「勇者様!?どうかなされましたか?」
「なんだあ……このとてもいい匂いは!?」
エルフ族の女王は勇者のその行為に好感を示す。
「あれは我がエルフ族のとっておきの食事で『エルフィ料理』と言います…ご所望ですか?」
そう問いかけてくれる優しくて美しき女性。
「うむっ!!」
私が元気よく返事を返すと着いてくるよう指示される。
その時……取り残された二人は語っていたのだ。
「あれが…………………勇者!?なのか?」
「ああ……そうらしいが……見た目と行動は……どこにでもいる普通のヒューマン族の……女子………よなあ。」
こうして私はエルフ族の棲む森へと……着いていったのだ………。
◇
◇
◇
「お!?おおーーーーーーーーーっ!?これは!?」
私の目の前に並べられた豪華な料理の数々…… これは自分の食事という点ではこれまでで最も豪華で煌びやかな料理出会ったことは言うまでもない…私は目の前の食事をこれでもかという程食べまくっていく。
「むしゃむしゃ……んぐんぐ……うんうん、美味しい美味しい♡」
私の食べっぷりに唖然としながら私を見ている三人。
そしてここには沢山のエルフ達が私への料理を次から次へと運んでくる。
すると…エルフの女王様は声をかけてくる。
「うんうん……そういえばあなたの名前はなんて言うのかしら?」
私は食べながら答えようとする。
「んぐんぐ……はむはむ………………。」
私は咀嚼しながら頭を捻る。
実際私はさっき目覚めたのだが……それまでの記憶がトンと無くなっているのだ。
私は天井を見上げる。
そして考える。
「うーーーーーーーーーーーーーーん………。」
◇
◇
◇
「勇者は………どうだ?『ロイズ』よ?」
ドワーフ王は質問する。
それに応えようとし口を開くヒューマン族の男。
知的なヒューマン族の男……名は『ロイズ』といった。
「ふむ……これから彼女の勇者としての資質を見抜いて行かなければならないのだが……ドワーフ王『ドワフロス』よ……彼女を試してはみないか?」
「試す?やはりヒューマン族というのは色々な事を考える事が得意なようだな?で?それはどのようにして?」
するとロイズは、とある提案をする。
「なっ!?試練の塔へ……あの勇者を!?」
「ああ…だが…あそこには最近何者かが棲みついたという話をきく…………魔族の魔力が塔から発すると聞いている……上手く行けばその実力は試せるのかと…だが…。」
二人はむしゃむしゃと無垢な表情で食事を楽しむ勇者を見て不安に駆られるのだった。
その時。
このエルフの神樹内に警報が鳴り響く。
『緊急事態発生!緊急事態発生!神樹外部に何らかの力が近づいています!至急対応に当たってください……繰り返します…………………』
ドワフロスとロイズは顔を見合わせ現場へと走る。
そして辿り着いた先には巨大なモンスターがエルフ女王『エルフィーナ』をとらえていたんだ。
「くっ!?」
「まさかこんな……………!?」
そこで見たのは大小様々な緑色の体躯の魔物の群れだった。
そう……ゴブリンの群れの襲撃が開始されたのだ。
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました。
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