第6話 幼馴染と夜這いガール(2)
お泊まり勉強会
「いや〜すみません先生わざわざ」
「ほんとだよ、次からは気をつけるように」
「はい、失礼しました」
家を出てからは、走って学校へ向かって、今は職員室で無くしたプリントを先生から受け取ったとこだ。
ほんと予備のプリントがあって良かった、テスト近いのに大事なプリント無くしてめっちゃ焦ったし。
「あら優、早かったわね」
「お前も早いな由乃…」
プリントを受け取って、少し上機嫌で教室に向かうと由乃が机に肘を着いて待っていた、しかもなんの偶然か俺の席。
「何しに行ってたのよ」
「実はテスト範囲のプリントを無くしてな」
「もっと、プリントの管理はしっかりしなさいよ」
「いや〜不甲斐ない」
とゆうか、なぜ由乃がここに?もしかして、下品な俺の下を去勢しに…俺は何もしてないのに。
「もしくは、私を頼るとか…」
「なんか言った?」
「な、なんでもないわよ!」
何か由乃がぼそっと言ってたな、もしや去勢ではなく俺と言う人間を殺す方法を!?
「そんなことより!朝、あれなに?」
「そ、その事についてはじっくりお話をしたいと思っておりまして」
言葉を敬語にして、三下のように下手に出て、由乃と話す。
「へ〜じゃあできるだけの言い訳を
最後のどうぞに、とてつもない怒りを込められてる気もするけど、そんなの言ってらんない。
「そうですね、まずは僕と刈谷さんの関係についてなんですけど、何度も言ってますが、全くそう言ったものではございません」
「じゃあ朝のはどう説明すんの?」
「そう言われると、言いにくいと言いますか、刈谷さん個人のことでもあるので、僕が勝手に言ってしまうのは…」
「言って」
「はい」
刈谷さんには申し訳ないけど、夜這いのことについて話してしまおう。まあ、刈谷さんも好きな人が死ぬのは嫌だろうし。
「刈谷さんはですね、単純に俺に対して夜這いをしに来てるだけです」
「へー夜這い…夜這い!?」
まあ、そりゃそんな反応にもなるよな信じられないだろうし。
「今、あんた夜這いって…」
「はい言いました」
「嘘でしょ…」
「いえ、ほんとです。僕の魂にかけて、言えますほんとです」
何度ほんとと言っても、由乃の信じられないと言った顔は全く晴れない。
「わかった、とりあえずそれがほんとだとしよう。でもさ、夜這いされてるってことは…そ、それってあんた刈谷さんと…」
言いにくい言葉だからか、由乃がもじもじし始めた。
「それに関しては、まだ未遂です。今のとこ俺が気づくか、刈谷さんが来ても朝みたいに寝落ちするかでギリ避けてる」
「そ、そう…でも夜這いかー、夜這いなのか、夜這いなんだよね、えー夜這い?」
目の前で一端の若い女子高生が夜這いを連呼し始めた、さすがにやめた方がいい気もする。
「うん!やっぱ信じられんわ。今日優の家に泊まって真実を確かめる!」
夜這いを連呼したかと思えば、元気よく納得した感じの顔をした由乃は、手を叩いてお泊まり会を提案してきた。
「ちょっと、急になにを…」
「別にいいじゃない、昔はよくやってたんだし」
「それは昔で今は違うわけで、それなら俺の部屋にカメラを置くとか」
「それはそれで、あんたか刈谷さんが電源を切るかもしれないじゃない。あと、普通にカメラないし」
電源を切るって、俺そんなに信用ないのかな?まあ、朝のあれ見れば言われてもしょうがないような気もするけど。
「でも、俺たち今テスト期間…」
俺の保身もあるけど、テスト近いからお泊まり会で遊んでる暇は無い。
「あー!でもでもうるさい!じゃあ、勉強会ついでのお泊まり会!それにさ、私いれば仮に刈谷さんが来ても気づけるかもしれないでしょ?」
「そうか?じゃあ、母さんとおばさんが了承したらいいよ」
「やったー!」
条件付きではあるけれど、由乃のお泊まり会の提案を飲むことにした。まあ、母さんはわからんけどおばさんはさすがに、愛娘を2人っきりで男の部屋に置くはずが無いだろうし、多分大丈夫なはず…
「それじゃ私は自分の教室行くから。今日一緒に帰りましょ、マ…お母さんに許可貰うために」
「はい、わかりました…」
今更だけど、なんで由乃はここまで俺とお泊まり会がしたいんだ。まあ、無罪を証明出来れば俺の命が助かるからいいけど。
「優くんなんか、今日も元気ないですね」
「それ、刈谷さんが言う?」
主に刈谷さんのせいでしかないけど、この人わざと言ってんのかよ。
「てゆうか、ほんとに刈谷さんもう来ないでよ」
「え、無理ですよ」
「なんで?」
「だって私は優くんが好きだ…」
「わかったから、大声で言わないで」
俺のことが好きにしても、もっと別の方法があるだろうに、まじなんで夜這いなんかに手を出すんだ。
「とにかく、今日は来ないでよ、今日は都合悪くなるかもだし」
いや、でも俺の無実を証明する、というか刈谷さんが夜這いで不法侵入してるってのを証明するなら、刈谷さんが来た方がいいのでは?
「てゆうか、そもそもの話、優くんがちゃんとお家の戸締りをすればいいだけの話では?」
「それは…」
それはそうだけど、空いてるからって人の家に勝手に入ることないでしょ。
「それでも、とりあえず今日は来ないでよ!」
「善処しますね」
にっこり笑って、返事をする刈谷さんだった。
「ほら!優、早く帰るわよ!」
「別に急がなくたって…」
「私は、お泊まり会の準備しなくちゃいけないの」
まだ、確定した訳でもないのに準備って由乃さんは、なかなか自信があるようで。
「だから早く帰るわよ、実際双方のマ…お母さんに許可貰うわけだし」
「はいはい、一緒に行きますよ〜」
由乃に急かされて、軽い早歩き程度の速度で家に帰る。
「マ、お母さんただいま!」
「なに?由乃いつになく元気ね。あら、優くん久しぶり」
「お久しぶりです」
いつも、由乃が俺の家に来るため。俺がおばさんに会うのはなかなかないから、だいたい2、3ヶ月ぶりくらいだろうか。
「今日は、うちで遊ぶの?」
「あ、いや俺今日遊びに来た訳ではなくて…」
「どうゆうこと?」
実際、おばさんに許可の話だけして帰るつもりだから、玄関だけで俺は大丈夫だろう。
「お母さん、今日優の家泊まってもいい?」
「優くんの家に?お泊まり会ってことだよね…お泊まり会、男の子の家にお泊まり会…」
由乃のお母さんが微妙な顔をして、熟考を始めた。これは、お泊まり会はなしになる予感。
「てか、あんた今テスト期間でしょ?それなのにお泊まり会って」
「その点は大丈夫、勉強会も兼ねてるから」
「そうなの、でも男の子の部屋でしょ?」
「お母さんいいでしょ?だって、幼馴染の優だよ?」
「そうなのよね、優くんだから…でもなー」
このまま由乃のお母さんが微妙な考えのまま続けば、今日のお泊まり会は無し!これで俺の勝ちだ!
「ね、ママお願い!」
「じゃあいいよ、行ってらっしゃい」
「は?」
由乃の推しに負けたのか、考えを放棄したのか由乃のお願いを通したおばさん。
「どんなもんよ!じゃあ私は準備するから、優先に戻っておばさんから許可貰ってきてね」
許可を勝ち取った由乃は、ガッツポーズをしたあと俺に、母さんの許可を任せて、由乃の部屋の方へ登って行った。
「…はい」
まずい、おばさんが了承したらお泊まり会は確定したようなもんだ、母さんが由乃を断るとこなんてそうそうないだろうし、これはもしかして
「ただいま」
「おかえり優どうかした?やつれたような顔して」
「あ、母さん今日由乃が家に泊まりたいって言ってるんだ…」
「いいよ!」
ほらやっぱりだめだった、しかもまだ言いきってないのに即答してきたし。
「てゆうか、今日お母さん達居ないからちょうど良かった」
「なんかあったの?」
「結婚記念日」
いろいろとあって完全に忘れてたけど、今日は母さんと父さんの結婚記念日か。とゆうことは、俺と由乃で俺の部屋に2人っきり…地雷を踏まないことだけ気をつけよう。
「それじゃあ母さん、お父さんと待ち合わせしてるから、由乃ちゃんに何もしないでね」
「しないよ!もう、早く行って」
これ以上母さんに付き合ってられないから、手を払って早く家を出るよう促す。
「もう、反抗期なんだから。じゃあ行ってきます」
るんるんで出ていく母さんを見送って、リビングに行き由乃がこっちに来るのを待つこととなった。
にしても、ほんとに面倒なことになった、まあ俺が何もせず刈谷さんが何もしてこなければ、何事もない勉強お泊まり会になるんだろうけど。
由乃が来るまで、リビングで軽くお茶を飲んで待っていると、リビングにチャイムの音が鳴り響く。
「はいはい、今出ますよ」
「さっきぶり、おばさんから許可貰えた?」
「もらえたよ即答で」
「そう。てか、今あんた1人?」
由乃が玄関に置かれている靴の数で気づいたのか、母さんの所在について聞いてきた。
「今日、母さん達結婚記念日で夜遅くまで居ないみたい」
「じゃあ、そ、それって」
言葉を聞くなり、由乃が軽く赤面してその場に縮こまる。
「別に嫌なら、帰ってもいいけど」
「そうじゃないわよ、とりあえず上がるわよ」
「はい、どうぞ」
由乃が家に上がるということは、本格的なお泊まり会が始まるってことか…気が何となく重い。
「てか、由乃結構準備時間かかったな、そんなに距離遠くない、というかほぼゼロなのに」
「しょうがないじゃない、着替えたりしてたのよ!そ、その…し、下着とか…」
「下、なに?」
「とりあえずいいの!てか、あんた今日夕ご飯どうすんの?おばさんいないんでしょ?」
「母さんがお金置いてったし、コンビニで適当に買ってなんか食べようかなと」
俺は、料理は比較的からっきしだし、コンビニで弁当とかを買って済ませようかと思っていた。由乃に関しては一応客人だし、なにか作らせるのも失礼だと思ってたし。
「それなら、私が作ってあげようか」
「お前が?出来んの?」
「なによ、失礼ね料理くらいできるわよ!ちゃんと練習はしてるし」
「へ〜意外」
「ほんとに失礼ね」
俺はどちらかと言うと、由乃は俺と同じで土壇場でしか料理をしないタイプだと思ってたら、結構意外。
「そうとなったら、早速買い出しに行きましょうか。なんか、リクエストある?」
「逆に何が作れる?」
「だいたいは作れるはず、カレーとかオムライスとか麻婆豆腐とか」
「じゃあ、カレーでもちろんカレー
「あんた少し変わってるわね…」
これは、俺の好みの話だけど俺の舌にカレーと米があまりにもミスマッチに感じて、カレーライスと言う国民的料理はあまり好きではない。
「でも、ナンって売ってんの?」
「まあ、あるだろ。最低カレー
「断固としてカレーライスは、食べたくないのね…」
俺のカレーライス不得意は昔からで、一応母さん達の理解もあって、俺の家の食卓にはほとんどカレーライスは出てこない。
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