過去の積み重ね

とあるネット掲示板にて。

『やべえ作家が戻って来やがったwww』


という、タイトル。


「なあなあ、この作品見たか?」


「ああ、【なっちゃお】で日間1位になってるやつだろ?まだ読んでないんだが?」


「ばっか、読んでないならはよ読め!」


「そんなに面白いのか?」


「作者知らんの?」


「【ハル】って人?有名なのか?」


「2年前に『ミッション』って作品があっただろ?」


「知ってる!めちゃくちゃ人気になってた作品だよな」


「あれの作者。マジで読め。今回はそれ以上の神作品だ」


「さっき読んできたわwwwやばいな、この作品」


「だろだろ、投稿されて3時間しか経ってないけど、1位になる理由が分かっただろ」


「ああ、マジでやばいwww」


「早く続きが気になるわ」


とある作家と作品について、語り合っていた。


ーーーーーーーー

「えぇ、なにこの感想の数!!??」


【なっちゃお】の作者ページを開くと、『感想が着きました』という赤文字が目に入った。


そして感想欄をみると、100件近くの感想が書かれてあった。


「PVが1時間で5万!??高評価も3万以上もついてるし、日間1位!?」


普通、初作品を出すとしても良くて100人が限界だ。

でも、予想を遥かに超える閲覧数だ。


「ま、まあ、とりあえず感想欄でも見てみよう」


『面白いです!』


『『ミッション』の頃からファンです!』


『神作品きちゃ!!』


「前の作品を読んでくれてた人達なんだ。でも、それでもこの閲覧数は異常じゃない??前の作品もそこまで閲覧されてなかったと思うけど……」


僕が【なっちゃお】に初作品を投稿したのが、中学生の頃だ。


初めての作品で、誤字とか文がおかしいとことかあったと思うけど、完結まで投稿できたことが嬉しくて、ずっと残していた。


そうだった。ミッションのアクセス数は完結してからは見たことなかったなぁ。


「って、ブックマーク40万!?評価も100万近いし」


2年くらいでここまで人気になっていたんだ……知らなかった。


「びっくりしたけど、嬉しいな」


これだけファンがいてくれたことに。

そして、期間があったけど、こうしてみんなに見てもらえてることがとても嬉しかった。


「ん、運営から何か来てる」


書籍化の打診についてだった。

それも、何社からも。


「ええええ!?」


早くない?

まだ1話だけなんだけど!?


「大手の出版社からも来てる」


有名出版社からも書籍化についての打診メールが届いていた。


「って、『ミッション』も書籍化の打診メールが来てたんだ!」


2年前に放置していた(らしい)メールがあった。


「全然開かなかったから、分からなかった」


とはいえ、悪い印象を与えたと思うのに、こうして新たにメールが来ていたことが嬉しかった。

しかも、大手の出版社。


「返信しよう。えっと、『メールありがとうございます。書籍化の件承ります』と。これでいいかな?」


送信。


3分後

『ピコン!』


「返信はやっ!?」


もう返信が返ってきた。


『お返事ありがとうございます。つきましては、後日改めて書籍化について、メールさせていただきます』


書籍化されるんだなって、やっと実感できる。


「メールよりも直接向かった方がいいかも」


『あの、僕の方からそちらに出向いてもいいですか?幸い、僕の家から遠い距離ではないです』


両親は現在海外に出張中のため、家には僕しかいない。

気分転換にもなると思うし。


おっと、柊さんのことは考えるな考えるな。


『ありがとうございます。お時間が良い時にお越しください』


おお、要は何時でも大丈夫ってことか。

じゃあ、早速明日にでも行こうかな。


「よし、明日の予定は決まったし……Twitterでも開設しようかな」


書籍化されるんだったら、やっぱりTwitterのアカウントは作っておきたい。


有名人が日常を呟くのを見てるのがとても羨ましいと思った。


「よし、よし、これでいいかな」


名前はなっちゃおと同じく【ハル】で、プロフィールは『【小説家になっちゃお】に小説を投稿してます。』でいいか。

リンク先は僕の小説の方に飛ぶようにして……


「アイコンは後でいいか。とりあえず、最初のつぶやきはどうしよう」


数分悩んだ後、『Twitter始めました。よろしくお願いします』とだけ、呟いた。


「よし、あとは予約投稿のあとがきにもTwitter始めましたって、書いて……」


リンク先もしっかり書いて、予約投稿を行った。

数十分単位で投稿ができるのは、すごく便利だと思う。


昨日が2時に投稿していたから、夜の12時でいいか。


投稿が完了し、またTwitterを開くと、数十件の通知が来ていた。


『嘘乙www』


『初期アイコンとか初心者かよwww』


『もう飽きたわ。通報した』


「えぇ、なにこれ」


アンチコメントみたいなのが、リプに書いてあった。


「アイコンが初期だったのがダメなのかぁ。でも、まだいいか。最初だしね」


それに、顔も知らない人達から悪口を書かれたところで、僕は怖くない。


柊さんと同じことじゃないか。

顔が見えないから、好き勝手にメッセージが送れるんだ。


「それだ。柊さんは、メッセージ上だから告白みたいなことができたんだ。そうだ。きっとそうだ」


嫌なことを思い出してはいけないと、勝手な自己解釈で、予約ツイートに『第2話公開しました』と打って予約し、スマホはベッドに投げた。


「ご飯食べよ」


ぐぅ、とお腹の音が鳴ったため、昼食を摂ることにした。


ピコン、ピコンと震えるスマホに気づかないまま……

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