王国に嫌われている幼馴染5人、才能と努力で王国を支配する。

諛言

第1話 水晶を壊した5人

アルムード王国王都中央教会


アルムード王国は6歳になると子供がもつ能力を教会で見る儀式がある、中でも

王中央教会は特別で貴族や王族などの権力者だけが利用できる。

その為、貴族の子供たちが初めての交流の場としての側面もあり大人への第一歩

とされていて儀式の歴史は長く、この国で活躍した者のほとんどはこの教会で

儀式を行っている、由緒正しい教会である。


そんな教会を目指して馬車から有名貴族がぞろぞろと向かう。

もともと交流があった者と喋りながら歩く貴族や少しおびえた様子で道の端っこを歩く貴族、皆少し浮足立ってるのが共通していた。


しかし、黒龍が家紋となっている馬車が教会前に止まるとさっきまでの空気が変わり

馬車から降りてくる5人の子供に多くの目線がくぎ付けになっていた。


「あの子きれいだね」

指をさした先には透き通った銀髪をした美少女と目が隠れるほど前髪が長い少女が居た。


「横の男の子たちもかっこよくない?」

6歳でも乙女は乙女なのだ、彼女の目線の先には黒髪と茶髪珍しい赤髪のタイプの違う3人の美少年が歩いていた。


しかし、大人たちの反応は子供たちとは大きく


「なんだあの、化け物の群れは」

王家の近衛騎士である男がボソッと言った。

少しでも魔法が使えればわかる彼らから放たれる魔力の異常な『質』に、隣で

何が起きたか分からない我が子が裾を引っ張り早く教会に向かおうと催促してくる。


「いいか、あれには近づくな」

不思議そうにしている自分の子に耳打ちをする。


周りの親たちも同じように感じたのだろう、さっきよりも少し静かになった道を歩き教会に向かうのだった。


________

side:馬車の中の5人


時は少し遡り、黒龍の家紋がついている馬車に乗っている5人は、全員緊張していた


「いや~みんなどんな能力かな楽しみだね」

意識して5人の空気を和らげようとしている馬車の持ち主である

公爵ダリオウス・ラザーンだが。

それに反応する声はない。


「「「…」」」

「「ㇵァㇵァ」」


「緊張しすぎだよみんな、戦場に行くわけでもないのにほら深呼吸して

吸って~吐いて~大丈夫だって君たちは才能あるんだから!」

笑顔を作り声をかける父親に息子であるセトス・ラザーンが苦笑いしながら伝える


「父上みんなはそんな些細なこと気にしてないのですよ。」


「ふむ、というと?」

では何に緊張しているのかとダリオウスが聞くと。


「フラットな関係なんてみんな初めてだから緊張しているんですよ。」

その言葉に他の4人が無言で頭を縦振る。


「僕たち全員親とかがせいでヤバいやつ見る目でしか見られてこなかったんですよ。」


5人全員が死んだ目をしている様子を見て「それは大変だね~」とダリオウスが

言うと、「僕の場合は父上のせいでもあるんですよ」とセトスが返した。


馬車が止まり

「着いたよみんな」

その言葉が死刑宣告みたいに5人の顔が固まる。


「・・・」 「「ウッ」」 「ハゥ」 「ちょっと待ってくださぃ」


「うーん、あと10秒で開けるよ~」

ダリオウスが覚悟をきめろと暗に言うと


セトスが覚悟を決める

「みんな貴族は舐められたらダメだ」


「おう」「はい」「「うん」」


「魔力練って、舐められないようにして行くぞ!」


「「「「おう!!」」」」


それ逆効果とダリオウスが伝え前に5人は降りてしまった

「大丈夫かな~、まっ俺の息子のセトスも居るし何とかなるか」

ダリオウスは結構な親ばかである。


________________

side:セトス・ゼラーン


儀式が始まる前ギリギリに広間に入る、5人固まっているから目立つのだが

それにしても誰も近寄ってこないというか誰とも目が合わさんない。

これはヤバいと感じ5人の中で一番頼りにしているホルスを見るも同じ感じだ。


(ねえ、これ僕たちなんかはぶられてない?)


(セトスもそう思うよな、誰とも目が合わないなんてことあるか?)


((うーわ、なんでだぁ))


圧倒的に間違った方向に覚悟を決めたのが悪いのだが、何が悪いのか

わかる人は残念ながらこの5人も中にいない。


女子組を見るとアイリスとユースは裾を掴みあってる。

残った赤髪のレイシオ馬鹿は広間のシャンデリアを見るために上を向いていた。


半ばやけくそ状態のセトスだったが、背中のほうに視線が集まっていたことを

感じ取った。

絶望的な状況に一筋の光が差し込みすぐに5人に情報共有をする。


(みんな、朗報だ僕たちに対する好奇心はあるみたいだ)


(つまり、この儀式ですごい魔力量や強そうな固有スキルを手に入れたら話しかけてくれるんじゃね)


((((おおぉ、なるほど))))


(つまり、全力でこの儀式を受けるぞ!)


「「「「おう」」」」


謎の体育会系の返事だが、それほどに本気でこの儀式で新たな友達を作ろうと

躍起になっているため自然と返事も本気となってくるのだ。


儀式が始まり列がいくつか作られたので5人別々に受けれるようにばらけた。


「次、アルト・リカウ」


80代近いおばあちゃんが名前を呼ぶと金髪の男の子がガチガチになりながら前に出てきた、初めて儀式を見るので自分の時に慌てないように観察してみる。

どっかの占い師が使いそうな水晶の玉に魔力を流して、魔力を測るらしい。

次に、渡される紙に自分の名前を書き血を垂らしてその紙を火であぶると文字が

現れるそれに能力や固有スキルがあれば書かれているらしい。


「アルト・リカウ 魔力量:451

         固有スキル:なし

         能力:騎士適正 中  」


さっきのおばあちゃんがそう宣言すると拍手がパラパラと送られた、

魔力量は6歳にしては多いし騎士適正なんてかっこいい能力でいいなと思う。


魔力量は大人の魔法騎士が800もあれば良いところに就職できるので、6歳にしては誇って良い結果だ。


列がざわざわし始め、何が起きたと周りを見ると

「あの人ユートドイシ男爵の嫡男らしいわ」

「えーかっこいい、どうにかこの後お話しできないかしら」


列の前にいる女の子に情報提供感謝しながら結果に耳を澄ます


「オレア・ユートドイシ 魔力量:711

            固有スキル:電脚

            能力:雷魔法適正 高  」


四方八方からの拍手にまんざらでもなさそうにしているのが少し憎たらしいが実際に固有スキルを持っているので、僕も少しだけ拍手をした。


「次、セトス・ゼラーン」

名前を呼ばれただけでザワザワし始めた、やはり公爵の嫡男とゼラーン家という

特別な地位はやはり貴族は無視できないのだろう。


「全力で行けよ、約束だろ」


「任せろ、ホルス」


まずは魔力を測るんだったな

「ここに手を置きなさいね」おばあちゃんに進められて手を置く


水晶に手を置くと、魔力を吸われる感覚が少し面白い、どんどん魔力を流す量を上げていく。

自分の魔力の総量など気にしたことがないが、ここにいる中では幼馴染の4人以外に負けるわけがない、という自信がある。


ピキッ


「ん?」

なんかえっ、水晶にひび入ってない? 

なんかおばあちゃんも何この音って顔してるし、え怖っそんな顔しないでこっちも

不安になるから。


「ちょっ、ちょこれだいじょぶなんでぇ「『バキィ』」・・・」


「・・・」


「・・・測定不能にしとくさね・・・」


割れて灰色になった水晶をなんか貴重物みたいに持ってくのやめてくれ、周りからの視線が痛い。

僕の幼馴染たちは僕のことを信じてくれるよね、あれ~なんかみんなも僕と目を

合わせてくれないんだけど4人中4人天井見てるんだけど。


「っぐ」

自分の右隣の列のホルスが笑いやがった、ひどい


おばあちゃんが戻ってきて経年劣化かもって説明後受けた、まあ年期入ってそうだもんねきっとそうだね。


「まあ、僕はダイジョブです能力の方はできますよね?」

周りの目が最初の好奇心の目から、化け物を見る目に変わってるから大丈夫ではないんだけどね。


「だいじょぶさねこっちは壊れることないさね」

作り笑いで言われると心に刺さるね


「楽しみで「『バキャッ』」・・す」


自分から右隣りを見たらホルス君、手元にあるその灰色の石は何かな。


「ホルスッく」

やべぇ、笑いこらえきれなかった。

めっちゃにらんでくるけどおまえもやってたからね


「『・・ミシッ』」

この音、奥の列で割れたな黒髪のユースちゃんさすが僕たち5人の仲だ


もう水晶全部割れてしまえ。


________

帰りの馬車の中


「さーて皆どうだった?だれが一番魔力量多かったのかな」

ウキウキで感想を聞いてくるダリオウスに


「魔力の話はやめましょう父上」


ちなみに残りの二人も水晶を割った、レイシオは最初から全力で魔力注いで

「『パァン』」って破裂してたし、銀髪美少女ことアイリスは最初は順調だったのに

最後に気を抜いて「『ミシャッ』」だった。

つまり5人全員魔力は測定できなかったし、友達もできなかった。


「それは、しょうがないね固有スキルの紙は見せてもらっても?」

そう言ったダリオウスに5人から紙が渡されていく


「セトス・ゼラーン 魔力量:?

          固有スキル:鬼神

          能力:闇魔法適正 特  」

 

「ホルス・ケリヨル 魔力量:?

          固有スキル:シルフ

          能力:風魔法適正 特  」


「ユース・クルムバッハ 魔力量:?

            固有スキル:創生

            能力:全魔法適正 高  」


「レイシオ・サルディニア 魔力量:?

             固有スキル:神剣

             能力:剣闘士適正 特  」


「アイリス・アイゼナハ 魔力量:?

            固有スキル:追像

            能力:指揮官適正 特  」


「すごいよ皆、全員が固有スキルを持ってるし、能力で『特』なんてすごいじゃないか。」


そうなのか、5人全員水晶壊した化け物としか見られてなかったから知らなかった


「明日からみんなの固有スキルと能力を伸ばす訓練に切り替えるよ。」


父上がこんなに喜んでくれるのなら今日来た甲斐があったなと、セトスは笑顔を

返した。


________

アムルーズ城 王の間


「大変です、陛下」

教会の服を着た見るからに偉そうな老人が、取り乱しながら報告した。


「落ち着け、何事だ」

白いひげを蓄えたアムルーズ王が何事かと聞くと


「中央教会で新たに魔力を測れない者が、現れました」


「落ち着くのだ、何もそんな慌てなくてもよいだろう、余の子たちも魔力が

測れないほど魔力量が多いものも居る。」


「しかし、」


「何を気にしておるのだ?今年だけで3人目とは少し多いがそこまでおかしい

ことか?ふむ、話は聞いたぞ下がれ」


「いえ、そうではなくてですね」

アムルーズ王は話が見えてこないようだった


「1人ではなくてですね、5人です」


「5人?なにがだ」


「魔力が測れなかった、子供の数です」


「なに、5人っ!今すぐ、その者の素性を探してまいれ」

玉座の陰に声をかけると、が即座に動いた。

その様子に満足すると、王は老人を下がれせた。


5人の知らない所で、王に目をつけられたことをセトス達が知るのはもう少し後のことだった。







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初めまして、諛言ゆげんです。

初めて物語を書くので、至らない点も多くあるとは思うのですが楽しんで貰えたら

嬉しいです!

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