俺を弄び浮気した女に冤罪までかけられたので優しい美少女と幸せになります。〜大晦日番外編〜

アキノリ@pokkey11.1

第?章 笑み

俺と豊島数多

とある日の一片

豊島数多が警察に捕まってから...俺達に彼女との面会の許可が降りた。

俺と柊子は駅前で待ち合わせてから豊島に会いに行く。

それからコンビニに立ち寄った。


「柊子。何か飲むか?」

「あ、うん...」

「...?...どうした?」

「いや。...ごめん。何だか緊張っていうか」

「...」


俺は複雑そうな顔をする柊子を見る。

それから俺は柊子から目を逸らし目の前の飲み物を見る。

そして俺はドアを開けてから飲み物を手に取る。

缶コーヒー。


「柊子」

「...ん?何?あーちゃん」

「俺は...思うんだ。...奴を救う事が出来なかったのかなって」

「...あーちゃんは専門家じゃないでしょ。...無理だったんだよ。...影島が殺されるのは目に見えていたんだよきっと」

「お前は優しいな。本当に」

「私は優しいとかじゃなくて...当たり前の理論を述べているだけだよ」


そして同じ様にドアを開けて炭酸水を取り出す柊子。

俺はその炭酸水を持ちながら「奢るよ」と言う。

だが柊子は「いい。むしろ私に奢らせて」と言ってくる。

その言葉に俺は首を振った。


「...まあ各それぞれで買うか」

「そうだね。それがベストかな」

「...だな」

「うん」


それから俺達はそのまま2人で炭酸水と甘コーヒーを買う。

そしてそれを飲みながら歩く。

施設にやって来た。

そうしてから俺は柊と一緒に収容されてい施設に入る。



アクリル板の奥に奴が座る。

豊島数多。

俺達の存在に大きなダメージを与えた人物。

その姿を見ながら俺はやつれた奴を見る。


「...お前。少し痩せたか」

「別に痩せたわけじゃ無い」

「嘘吐くな。痩けているぞ顔が」

「...そう」


豊島は俺達を一瞥してから「で。何の為に来たの」と聞いてくる。

俺はその言葉に目線を豊島に向ける。

それから「多少は気分が良いのか」と聞いてみる。

豊島はそんな言葉に「まあ」とだけ言う。


「...お前らしく無いな。覇気がない」

「覇気なんか出してどうするの?警察に捕まった今では意味無いでしょう」

「...そうだな。ちょっと言葉が悪かったか」

「...いや。言葉が悪い訳じゃないけど」


そして豊島は俺達を見てから「...」となる。

それから「外の世界はどう」とそのまま聞いてきた。

俺はその言葉に目線だけ動かして彼女を見る。


「...なあ。お前...少し変わったか?」

「何が」

「少し柔らかくなったな。表情が」

「...そう」


豊島は「...変わりないと思うけど。...だけどまあ...その。...多分収容されている施設が良いからかな」と言う。

俺はその言葉に苦笑してから「そうか」と返事をした。


「...別に貴方の事とかを考えた訳じゃない」

「そうか」

「...私はこの施設に来て正解だったと思う」

「...」


俺は静かに豊島を見る。

そして豊島は笑みを浮かべた。

俺達は衝撃を受けてその顔を見る。


「...笑みを浮かべられるんだな。お前」

「...そうね。...段々と回復してきている」

「まあお前の人生だ。勝手にしろと思うけど。...良かったなら良かったんじゃないか」

「そうね」


そして豊島は時間になって退出した。

俺達はその背を見送ってからそのまま立ち上がる。

それから施設から出た。



「少しだけ輝いて見えた感じ」

「...そうだな。...まあこれはこれで良かったんじゃないかな」

「...あーちゃんはそう思う?」

「思う、とかじゃなくて良かったよ」


そう言いながら俺は施設を見上げる。

それから柊子を見る。

柊子は「...」となってから俺を見ていた。


「...じゃあ帰るか」

「そうだね。...どこか寄って行かない?」

「...そうだな。...山田達に何か買っていってやるか」


正直何も無い人生だけど。

豊島の笑みが見れたのだけは良かったかもな。

そう思いながら俺は...柊子と手を繋いで歩く。

それから空を見上げた。


fin

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