~模範を呈(しめ)せる、湯気を失くした意識と孤独~『夢時代』より冒頭抜粋

天川裕司

~模範を呈(しめ)せる、湯気を失くした意識と孤独~『夢時代』より冒頭抜粋

~模範を呈(しめ)せる、湯気を失くした意識と孤独~

 無心の恋には〝無活(むかつ)〟が跳び出し、無己(むこ)の背中で背徳さえ詠む幻(ゆめ)の感覚(いしき)を真面に観て居た…。幻(ゆめ)の真中(まなか)へ落した道化士(ピエロ)は暴力(ちから)を生育(そだ)てる葦だけ見詰めて、事始(こと)に対する身柄の余韻(あまり)を生憶(きおく)に呼び棄て定律(きまり)を運ばせ、厚い千夜(とばり)を感覚(いしき)へ詠み取る無音の小敗地(アジト)を傍観して居た…。一女(おんな)の小人(こびと)を通算するうち不倖(ふこう)の身許は宙(そら)に成り立ち、不産(ふさん)を呈(あらわ)す未完(みじゅく)の幻見(ゆめみ)を事始(こと)に気負わせ無活を跳び越え、現世人(ひと)の逝方(ゆくえ)を矢庭に掌(て)に取る脆弱(よわ)い仕種を遠方(とおく)へ遣った。旧(ふる)びた夜半(よわ)から空気(しとね)が降(お)り立つ幸先(さき)を見知らぬ余命の心機は、暴力(ちから)の一角(かど)から温味(ぬくみ)を跳ばせる旧(ふる)びた信仰(めいろ)の在り方さえ観て、俗世(このよ)に蔓延る〝土(つち)〟の残香(かおり)は「明日(あす)」へ遊泳(およ)げる未完(みじゅく)だけ詠み、自己(おのれ)の白紙に延々記(しる)せる夢想(ゆめ)の進展(すすみ)を無宿(むじゅく)に識(し)った…。

 気楼(きろう)の宿(やど)から未憶(みおく)に染め生く「明日(あす)」の出窓は後光(ひかり)を魅せつつ、一幻(ゆめ)の包(つつ)みを上手(じょうず)に仕上げる旧い下(くだ)りは現代人(ひと)を見て取り、俗世(このよ)の独気(オーラ)を四方(よも)に見送る無益の言動(うごき)は一人(ひと)に宿って、俺の生憶(きおく)を無知に見送る私闘の相図(あいず)は充分発(た)った…。…厚い孤独を囲いから棄て夜半(よわ)の寝床で蹂躙するのは、旧来(むかしから)観た脆弱(よわ)い目下(ふもと)柔手(やわで)を相(あい)した労苦と知り貫(ぬ)き、幻想(ゆめ)を劈く身重の〝旧巣(ふるす)〟を無己(おのれ)を制して何処(どこ)へと発(た)つのは、無戒(むかい)を呈した独理(ドグマ)の所以(ありか)の旧来(むかしから)観た活性だった。孤踏(ことう)の合図が人煙(のろし)を知るうち〝不倖(ふこう)〟を懐かす「四方(よも)」の概(おお)くは、事始(こと)を騒がす奇妙を相(あい)した「孤独の分業(ノルマ)」の仕業に見て採れ、挨拶代わりに真白(しろ)く呈せる〝茶を呑む律儀な坊主〟は、歯車(くるま)に乗り込み無垢を相(あい)せる一人(ひと)に積まれた〝感覚(いしき)〟を彩(と)った…。過去の生傷(きず)から不意に嗅げ得(う)る未憶(みおく)の匣からパンドラさえ成り、人間(ひと)の孤独へ散々活き発(た)つ神秘(ふしぎ)を画した器用の寝床は、自己(おのれ)の葦へとしっかり発(た)たせる脆弱(よわ)い自覚(かくご)を完全(すべて)に見て居た。男性(おとこ)の背中に一幻(ゆめ)が焦がれて過憶(むかし)を相(あい)せる陰府(よみ)の理郷(くに)では、幸先(さき)の独身(ひとり)を好(よ)く好(よ)く見て生く旧(ふる)びた〝斬新(あらた)〟が充分発(た)った。老人(ひと)の自覚(かくご)が俺と成り立ち、俗世(このよ)で活き尽(き)る総身の全術(すべ)には過去の個録(ころく)が無心を愛せる一人(ひと)の孤独がすんなり立った。自己(おのれ)の感覚(いしき)が悶えて居る時期(ころ)、概(おお)くの弱音が分散して活き、規矩を呈する自然(あるじ)の流行(ながれ)がしどろもどろに俚諺(ことば)を吐いた…。気楼の夜半(よわ)から跳び発(た)つ両眼(まなこ)は幻想(ゆめ)の一夜(とばり)に無己(おのれ)を焚き付け、足早(あしばや)にも成る宙(そら)に射止める「孤独の自覚(かくご)」を、幻想(ゆめ)の一体(からだ)に括り付け往く〝不動の主観(あるじ)〟を無動(むどう)に観て居た…。

      *

 …俺は、大学での『聖書学』か『宗教学』か、とにかく何か一般科目の試験(レポート)を提出する為に、仕方無く、夜に大学へ向かおうとして居た。昼から行けたのに、ぐうたらで愚図愚図して居た為、結局、夜に成ったのだ。俺は何かして居たように忙しそうにして居り、レポートを提出出来なくても、もしかしたら〝仕方無い〟と言われる経過(けいか)も在ったかも知れない。見る見る内に、「もう一七時…二〇時…」と成り、何時(いつ)まで大学でレポート受け付けしてくれて居るかはっきり分らない儘、ただ俺はそれでも、〝レポートを出せない!〟と言う焦りだけを思い感じて、うろうろおろおろして居た。何か、母親と、自宅で用事をして居たかも知れなく、又、如何(どう)しても気持ち良く大学へ向かう事が出来ないで、結局ずっと「大学へは向かわない」と言う状況だけが残っており、俺はその状況を見続けて居た。早く行けば良いのに…!と自分でさえ思って居たのに、結局俺は、きちんとレポート提出が出来ないで居た。

      *

 無事に努める夢念(むねん)の想起が人間(ひとのあいだ)にぽろぽろ零れて、幻想(ゆめ)の一途(いっと)に傅く総理(すべて)は〝意味〟を介せずすんなり失(き)えた。幻想(ゆめ)の孤独に居座る〝見事〟が拙い暗(やみ)からとぼとぼ逆上(あが)り、明日(あす)の見定(さだ)めに運好(うんよ)く疾駆(はし)れる旧い〝孤独〟は文言(ことば)を織り成せ、白亜(しろ)い一角(かど)から音頭を盛(も)り成す幻(ゆめ)の一現(うつつ)は見事に失(け)されて、厚い独創(こごと)に独理(ドグマ)を信じる孤高の身重は敢え無く死んだ…。幻(ゆめ)の記憶の既視(おおめ)の自覚(かくご)は孤高の〝感覚(いしき)〟を頂戴した儘、見応(みおう)の気障から人群(むれ)を相(あい)せる不能の信者を相対(あいたい)した儘、身軽(かる)い審議に身乗りして生く孤独の活路を割愛して居た…。仕様に準ずる不能の晴嵐(あらし)は無垢に問われた感覚(いしき)を保(も)ちつつ、幻想(ゆめ)の自覚(かくご)に順折り成せ往く旧い活路を孤独に観た儘、記憶の感覚(いしき)が透って発狂(くる)える無傷の歪曲(ゆがみ)を総身に観て取り、荒々しいまま吐息を窄める無告(むこく)の信仰(まよい)を既視(おおめ)に観て来た。男・女(だんじょ)の区別が経過(とき)を変じて、陰府(よみ)の空(すき)から孤独を吟味(あじ)わい、温厚(あつ)い身重が時を通じて幻想(ゆめ)の自刻(じこく)へ列(なら)んで生くのは、自己(おのれ)の無機から〝どんより付かず〟の幻(ゆめ)の目玉に発砲して居た。未覚(みかく)の援助が男女(ひと)を揺さ振り旧い孤独が〝男・女(だんじょ)〟と来るのは、孤独に対する概(おお)きな見方の旧い陰りが人陰(かげ)を創って、男女(ひと)を頬張る自然(あるじ)の側(そば)では未完(みじゅく)に想わす遊路(ゆうろ)が坂巻き、明日(あす)に対する〝概(おお)きな見方〟は巨躯に跨り感覚(いしき)を詠んだ。陰府(よみ)を空間(あいだ)を〝旧巣(ふるす)〟に観たとき温厚(あつ)い味方がほっそり現れ、緩い気色に呆(ぼ)んやり灯れる「打ち出の小槌」は未己(おのれ)に対して不安と一重(かさ)なり、一幻(ゆめ)の末(すえ)にて〝延び〟から三重(かさ)なる無垢の情惰(じょうだ)はどっぷり萎み、温厚(あつ)い景色の操舵は未(いま)でも「自由」を幻見(ゆめみ)て感覚(いしき)を保(も)った…。白亜(しろ)い孤独が〝悪しき〟を挫ける幻想(ゆめ)の脆味(よわみ)が完遂され活き、記憶違いに〝一女(おんな)〟を自認(みと)める無味の自主(あるじ)は明晩限りで、幻想(ゆめ)に見上げる〝死相の白亜〟は自己(おのれ)の感覚(いしき)を真面に観て活き、〝記憶と生憶(きおく)〟が吟味(あじ)を零せる無想の奈落を頂戴して居た。漆黒(くろ)い自主(あるじ)が減退して生く二重(ふたえ)の〝縁(えにし)〟は完璧(かべ)を観た儘、すんなり透れる孤独の感覚(いしき)は八頭(おろち)に相(あい)して小言を指折り、自己(おのれ)の感覚(いしき)に愚行を重ねる人間(ひと)の輪廻は立ち処に失(き)え、幼女(おんな)の所以(ありか)を分散して生く小春(はる)の陽気を軟裸(やわら)に見て居た…。

 無刻(むこく)に相(あい)した無駄な所以(ありか)を事始(こと)に留(とど)める無想は好(よ)く失(き)え、紺(あお)い延命(いのち)が思春(はる)を報せる無数の初歩(いろは)は高揚して活き、自体(おのれ)の自覚(かくご)を天語(てんご)へ操(と)らせる不応(ふおう)の主観(あるじ)を好(よ)く好(よ)く観て居た…。児(こども)の見様(みよう)が感覚(いしき)を採り出し常時(いつも)の〝空間(あいだ)〟を構築するのは、成人(おとな)の真似した一女(おんな)の〝奈落〟の膣に剥かれた生憶(きおく)の卵で、温厚(あつ)い〝不出来〟を俗世(このよ)に観て居る傀儡・盲者(かいらいもうじゃ)が活き活きして居る…。許容を含める夜半(よわ)の暗転(まろび)が一女(おんな)を射止めて交信する内、奇妙に仕留める夢路の所以(ありか)が孤踏(ことう)に紛れて進退して活き、「明日(あす)」に纏わる人間(ひと)の概(おお)くが小金(こがね)を見せ付け斡旋するのは、無難を知り付け無憶(むおく)を相(あい)せる鼓動の空間(すきま)の出来事だった。明日(あす)の〝旧巣(ふるす)〟を上手(じょうず)に気取れる不和の小敗地(アジト)はくっきり浮き立ち、見様見真似で追参(ついざん)して往く不倖(ふこう)の主観(あるじ)は快速など識(し)り、暗い夜路(よみち)をてくてく協歩(ある)ける無垢の主観(あるじ)の古参の行方は、大事(だいじ)を知らない不動の所以(ありか)を律儀に呼び出し不応(ふおう)に群れた…。緊(きつ)い不和から遊戯が運べる不動の温度に未知が片付き、真白(しろ)い感覚(いしき)が永久(とわ)に流行(なが)れた「永久(とわ)の小敗地(アジト)」が俺に纏わり、温厚(あつ)い独創(こごと)が陰府(よみ)を報せる無読(むどく)の定律(おきて)が呆(ぼ)んやり成った。真白(しろ)い気色が孤独に見上げる「苦労話」が延々片付き、苦労に見上げる自己(おのれ)の謂れは女性(おんな)を透して孤独を敬い、宙(そら)へ駆け寄る自慰の〝理性(はどめ)〟は幻想(ゆめ)の自滅(ほろび)に精神(こころ)を識(し)った…。

      *

 …もう夜だったが、取り敢えず俺は、大学の校舎内へと辿り着いて居た。しかし矢張り、もうレポート受付はやっていなかった様子で、俺はその環境の内でまだ少し「受付」を探して居た様(よう)であったが、「般教(ぱんきょう)やからええか…」と自分に聞かせて納得させ、気分を落ち着かせたが、矢張り一抹の不満は残っている。仕方無かった。「般教やからええわ、しゃあない、成績にはそんなに響かん」ともう一度呟いた。「夜の大学へそれでも行こう」とした俺の絶対の記憶と気持ちが、次の『昼の場面』を呼んだのかも知れない。

      *

 明日(あす)に燃え立つ不応(ふおう)の景色が〝孤独〟を牛耳る数多の一光(ひかり)に、朗(あか)るい気色を自由に幻見(ゆめみ)る不動の主観(あるじ)を痛感して居り、苦労話に身陰(かげ)を落せる不和の揺蕩(ゆるぎ)は未己(おのれ)に突き出て、安い気持ちを自主(あるじ)に射止める三日月(つき)の大児(こども)は大きく成り果て、未知の生憶(きおく)に無心を奏でる不穏の終始は沈殿していた。人間(ひと)の孤独が漆黒(くろ)く凭れる宙(そら)の暗黙(やみ)から幻想(ゆめ)を垣間見、明日(あす)の活き血を向日に安める独人(ひと)の気色は色々這い出て、「俺」を気取れる一人(ひと)の緩みは〝不和〟を想わす小窓(まど)に照り映え、幻想(ゆめ)に信じる精神(こころ)の琥珀は私様(しよう)に免じて錯覚して居た。孤独の気色が宙(そら)に咲くのに未用(みよう)の晴嵐(あらし)が幸先(さき)に落ち着き、幻(ゆめ)の千夜(とばり)が斬新(あらた)が孤独を担げる無駄の努力が〝朝陽〟に付くのは、旧来独白(むかしがたり)に一々懐ける「不能の鬼畜」と堂々巡りに、明日(あす)を幻見(ゆめみ)る無能の活路は「無産(むさん)」を識(し)り行く残骸(むくろ)を彩(と)った。旧い相図(あいず)を〝決め手〟に観るまま孤憶(こおく)の気色は初歩(いろは)を知り出し、温厚(あつ)い揺蕩(ゆらぎ)に不埒を識(し)り貫(ぬ)く〝不幸続き〟の行方を追った。無憶(むおく)の把握が個人(ひとり)を呼び出し不意の夢路を至当(しとう)に観るのは、自体(おのれ)の無垢から端正(きれい)に畳める宙(そら)の記憶の彩りにも在る。一幻(ゆめ)に具わる末活の八頭(おろち)が不穏に居座る〝不動〟を取り下げ、事始(こと)に見積もる無垢の障りに〝下駄〟を鳴らして独走して生く…。身陰(かげ)に潜める八股(やまた)の女性(おんな)が孤独に打ち勝つ試算をするうち幻(ゆめ)に拡がる〝把握の園(その)〟から〝無頼〟が仕上がる固陋が蹴上がり、白亜(しろ)い人煙(けむり)が真綿を染め生く〝孤独の愛露(エロス)〟は洒落を唄って、一人(ひと)の談話(はなし)を真面に聴かない〝旧い情緒〟を矢庭に保(も)った…。

 群青色した喜化劇(コント)の記録(きおく)は陰府(よみ)の私演(しえん)に真っ向から成り、厚い情緒の加減を識(し)るうち無境(むきょう)の門田(かどた)を稲穂に揺らして、男女(ひと)を娶れる自然(あるじ)の直(なお)りが事始(こと)を費やし無断に報され、陰府(よみ)に静まる無憶(むおく)の〝界(かぎり)〟は寝耳に水から素早く漏れた…。気楼の界(かぎり)が真面に成り出す不能の小敗地(アジト)は試算を承け止め、文言(ことば)の可能(かぎり)を真面に詠み出す「孤独の信仰(めいろ)」が形成(かたち)を織り出し、日々の生憶(きおく)に精神(こころ)を画せる小人(こびと)の葦には幻覚(ゆめ)が費えた…。夜半(よわ)の独語(かたり)が延々繋げる幻(ゆめ)の理性(はどめ)が図々しく成り、一人(ひと)の〝挙句〟を過性(かせい)に応じる不義の信理(しんり)を真面に詠み出し、孤高に応じる浮惑(ふわく)の純心(こころ)は真面に織り発(た)つ未算(みさん)を通じて、永遠(とわ)の寝言(ことば)に「俺」を識(し)るのは無活(むかつ)に拡がる大樹であった。事始(こと)に纏わる無動(むどう)の正義と子宮に恋する一男(おとこ)の脆味(よわみ)が、気後れしながら〝宙(そら)〟に見果てる現代人(ひと)の愚行(おろか)と相乗した儘、未知の気味から〝不応(ふおう)〟に呈(てい)せる不明の〝手毬〟は悪態吐(づ)き活き、自己(おのれ)の不惑を律儀に相(あい)せる旧来忍従(むかししのぎ)を充分採った。男性(おとこ)の一体(からだ)を無知に愛せる不能の女性(おんな)の〝恋〟の行方は、〝挨拶代わり〟に身欲(よく)に片付く〝恋慕〟の所以(ありか)を具体に象(と)る儘、一人(ひと)に逆巻く無休の流行(ながれ)は〝八頭(かしら)〟を貫(つらぬ)き不装(ふそう)に富んだ。苦心して生く自己(おのれ)の一幻(ゆめ)には無知の白亜が真面に乗り出し、温厚(あつ)い残骸(むくろ)が起死を幻見(ゆめみ)た気楼の歩陰(ほかげ)は、暗黙(やみ)に積まれて未算(みさん)を断(た)った…。幻想(ゆめ)に見積もる小さな撤廃地(アジト)が魅惑の〝誤算〟で死に絶え始めた…。

      *

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~模範を呈(しめ)せる、湯気を失くした意識と孤独~『夢時代』より冒頭抜粋 天川裕司 @tenkawayuji

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