第11話 別れ

「なんだよ? 俺、今日停学処分食らって早退させられて気分悪いんだけど」


 学校が終わった後。自宅に訪問して来た彼女の今井に対して不機嫌な態度で応対する堂本。


「停学処分を受けてたんだね。だから早退してたんだ」


 堂本の話を聞いた今井が納得のいった顔で何度か首を縦に振る。


「そうなんだよ。俺の悪行が学校にバレたんだよ。それで停学って感じだぜ。俺は認めてないのに何で停学になるんだよ! そう思うだろ? 」


 堂本は彼女の今井に共感を求めようとする。


「そ、そうだね。それもあるかもね」


「だろう! 」


 今井から共感を得られたことで少し気分が良くなる堂本。


「いきなり話を変えるようで悪いけど。心これって本当なの? 」


 今井は制服のブレザーのポケットからスマートフォンを取り出し、操作してから堂本に見えるように向ける。


「うん? は!? な、なんだよこれ!? 」


 怪訝そうに眼を細めて確認した堂本が自宅外にも関わらず驚愕の声を漏らす。


 それも当然だろう。今井のスマートフォンの画面には裕斗によって撮影された堂本の浮気画像が映っていたのだろう。その画像では堂本は今井以外の女子の背中に仲良さげに腰を回していた。


「その反応。やっぱり…」


 今井は堂本の反応を目にし、悲しそうに瞳を潤ませる。


「い、いや。これはだな。たまたま。たまたまだよ。あ…」


 堂本は自身の墓穴に気が付いたのか、表情が固まる。


「たまたまで腕に抱きついたり、腰に手を回したりしないよね? それに女の方も心の腕に抱きついてるし」


 今井は依然として悲しそうな顔で堂本を見つめる。


「いや。これは何かの間違いなんだ。ちょっと羽目を外したというか。そう若気の至りというか」


 堂本はバタバタと慌てた様子で言い訳を始める。


 パァ~〜ン!!


 空気の弾けるような音が突如、発生する。


「へっ? 」


 堂本が間抜けな声を漏らす。気付いた頃には堂本の片方の頬は赤く染まる。


「最低っ。もう絶交だよ。もちろん別れるから」


 今井は目に涙を浮かべながら、冷たい口調で言い放ち、別れも切り出す。そのままその場から踵を返して駆け足で立ち去ろうと試みる。


「ちょ、ちょっと待てよ!? 別れるなんてやめてくれよ!! 俺が悪かったからよ~」


 堂本は必死に今井に呼び止めようと試みるが、残念ながら叶わない。ただただ堂本の情けない言動が披露される中、今井は距離を作るようにドンドン堂本から離れて行った。


 本日、堂本は不幸にも学校に停学処分を受けただけでなく、彼女から別れも切り出されたのだった。

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