第9話 次は堂本の彼女に
「ねぇ。ちょっといいかな? 」
次の日の昼休み。
裕斗は堂本の彼女の今井に廊下に接触する。
「別に構わないけど」
今井は裕斗とほとんど面識が無く、いきなりの接触に怪訝な表情を浮かべる。
「いきなり面識のない人間が接触してごめんね。でもね今井さんにどうしても見せたいものがあるんだ。だから少しだけ時間を貰えないかな? 」
「それはいいけど。どんなことなの? 」
「それは場所を変えて話した方が良いかな。それも今井さんのためになると思うから」
「そう。ならそこの空き教室でいい? 」
「うん。そこが良いかな」
裕斗は今井と共に近くの空き教室に移動する。
先に今井が入室し、後で裕斗が空き教室の戸を閉める。
「いきなりなんだけど。今井さんの彼氏は堂本君だよね? 」
裕斗は空き教室内をブラブラと歩きながら、話を切り出す。
「そうだけど。それがどうしたの? 」
今井は切れ長の目を細める。
「それなんだけどさ。堂本君、浮気してるよ。はい。これが証拠」
裕斗は堂本の浮気を証明するために証拠の写真をスマートフォンの画面に表示し、今井に見えるように向ける。
「そんなわけ。なにをいい加減なこと。え!? 」
今井は裕斗の差し出したスマートフォンの画面を目にし、驚愕した表情を見せる。
「そんなわけ。どうして心が谷村さんと一緒に…」
何秒か表情が固まる今井。
「そんなわけない。そうだ! これは加工した画像でしょ? 心を陥れるためにあなたが作ったものでしょ? 」
今井は現実を信じることが出来ずに、その反動で裕斗を疑う。
「それじゃあ本人に確かめてみなよ。まぁ、信じるも信じないも今井さん次第だけどね」
裕斗は心の余裕から両肩を大袈裟に下げ、リアクションを大きく取る。
「それじゃあ。話は以上かな。俺が伝えたい内容は伝えたから」
裕斗は用が済んだため、今井の返事を待たずに空き教室を後にする。
「ちょ、ちょっと。待って――」
テ~レレレ~ン。
今井の裕斗に対する呼び止めを遮るように校内放送の開始を合図する音声が学校全体に響き渡る。
『堂本君。堂本心君。至急、職員室の隣の会議室に来てください。繰り返します。堂本君。堂本心君。至急、職員室の隣の会議室に来てください』
テ~レレレ~ン。
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