第7話 浮気

(よし。証拠は大体、揃ったから今日にでも店長に堂本の悪行の報告に行くか)


 裕斗は機嫌よく校門を抜け、帰路に就く。本日は3時間後にアルバイトに入る必要があるため寄り道はせずに帰る予定である。


 予定通りに自宅に帰宅する。


 手洗いをうがいを済ませた後、階段を介して自身の部屋に移動する。


 裕斗は学生カバンを勉強机の上に置いた後、部屋のカーテンを開き、換気のために窓を開けようとする。


「うん? 」


 窓から外の景色を眺めると、裕斗の目に意外な人物の顔が映る。


「どうして堂本が? それにあの一緒に居る女子。確か彼女じゃないはず」


 裕斗は覚えている範囲での記憶を辿り、堂本が彼女ではない女子と一緒に居ることに違和感を覚える。さらに、カップルのように堂本は女子の背中に腕を回し、女子は女子で堂本の腕に抱きついていた。


(これはこれで有益な証拠になるかもな)


 裕斗は学生カバンから素早くスマートフォンを取り出し、自宅に面する通路を仲良さげに進む堂本と女子をカメラ内に収める。


 2人の顔がしっかりと映るようにズームにする。


「よし! この距離かな」


 裕斗は自身の納得の行く距離感を掴むと、スマートフォンのカメラのシャッターボタンを押す。


 カシャッ。


 無事に堂本と女子との仲良さげな浮気の写真の証拠を手に入れる。


「よし!! これでよし!! これは彼女さんに教えてあげるかな」


 裕斗は独り言を呟くと、ニヤッと意地悪な笑みを浮かべた。

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