第2話 決意
「ど、どういうこと? もしかして、この紙に書かれている内容は嘘なの? 」
裕斗は真実を確かめるために狼狽えながらも疑問を投げ掛ける。
「そうだよ。バ〜カ。瀬川もこんな地味で陰キャな奴のことなんて好きじゃないよな?」
「そりゃあね。逆に嫌いな部類に入るし。本気で告白されると思っていたのが痛すぎる。そういうところ本当に陰キャよね」
堂本と瀬川は完全に裕斗を見下した態度で悪態をつく。2人の遠慮のない言動が裕斗の心を傷つけ追い込む。
「聞いてくれよ。瀬川。俺こいつとアルバイト先が一緒なんだけど。まじで仕事できないんだぜ。仕事がまじで遅い。毎回オーダー溜めて他のメンバーに迷惑かけてんだぜ」
「なにそれ! ウケる。本当に何にも出来ないんだ。そんな奴には嘘告白を受けて騙されることがお似合いかも!! 」
「あはは!! 確かにそうかもな!! 」
堂本と瀬川は上機嫌に高笑いを上げる。特に堂本の笑い声が屋上内に響き渡る。
「そ…そんな…」
心に深い傷を負うような大きなショックを受けた裕斗は倒れ込むように膝から崩れ落ちる。
上から落下するように両膝を屋上の床にぶつけるが、精神的なショックのせいか、大きな痛みを感じない裕斗。
「ははっ。こいつショックで力が抜けてるぜ? もう抜け殻じゃねぇか。だっせ。瀬川もそう思うだろ? 」
堂本はショックを受けて放心状態の裕斗をバカにしつつ、瀬川に共感を求める。
「それはそう。堂本君の言う通り。本当に男としてみっともなくてダサい」
瀬川は堂本の言い分に共感しつつ、プラスアルファで裕斗を貶す。まるでプライドを粉々に破壊するように。
「っ!? 」
精神的に限界に達した裕斗は、この場からいち早く離れるために反射的に立ち上がる。そして、踵を返して屋上の出口に向けて駆け足で移動する。
「ギャハハハッ!! 今度は逃げだしたぜ!! 」
「本当にダサい!! 負け犬だわ。その姿がよく似合う」
「ギャハハッ。瀬川、上手いこと言うなよ!! 」
裕斗の背後に堂本と瀬川の笑い声が嫌なほど届く。
(クソ。クソ!! クソ〜〜)
裕斗は自身を責めるように胸中で悔しさを爆発させる。
目から涙を流し、胸中で同じ言葉を叫び続けながら、ひたすら両腕を上下に振って走り続ける。
(悔しい! 悔しい!! 悔しい!! 絶対に絶対にこんな理不尽はおかしい。そうだ! おかしいに決まってる!! これは何かしらやり返さないと気が済まない!! この考えはおかしい? いや絶対におかしくないに決まってる!! )
裕斗は目的地を定めずに一目散に進める方向に走り続けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます