飲食店でアルバイトをする俺は一緒に働く同じ学校に通う同僚の陽キャの手によって嘘告白を受けた。その復讐で奴のアルバイト内の悪事の証拠を集め、追い詰める。そして、奴が居ない間に俺はハーレムを形成する

白金豪

第1話 アルバイトでバカにされ&嘘告白

 武本裕斗は、大付属高校に通う高校2年生だ。


 そんな裕斗は、高校生にも関わらず大手の揚げ物チェーン店でアルバイトとして働いている。


 自分の趣味に使う小遣いを貯めるために、週に3日ほど勤務している。


 アルバイトの内容は、主に客に対する接客、調理(とんかつや唐揚げなどの揚げ物を作る)、返却された皿やお椀、コップなどを洗う作業に分かれている。


 こうした業務を、シフトに入ったメンバー4人ほどで分担し、店のオペレーションを回している。


 そんな職場で働く裕斗だが、仕事があまり得意ではない。丁寧さを意識するあまり、すべての作業が遅くなってしまうのだ。


 そのため、本日もアルバイトとして勤務する中で問題に直面することになる。


「おい、武本。相変わらずお前は仕事が遅いな! 亀かよ!」


 一生懸命仕事を頑張っているにも関わらず、そんな裕斗をバカにする人物が厨房に入ってきた。


 彼の名前は堂本心。この職場の同僚であり、同じ学校に通う同級生でもある。


「おいおい。お客さんから券売機で購入したオーダーが大量に溜まってるじゃねぇか? これ、結構やばいぞ」


 堂本は面倒くさそうに、IT技術が使われたオーダーモニターに目を向け、不満そうに呟いた。


「ちょ、ちょっと。オーダーがいきなり大量に入ってきて……」


「ああ、はいはい。醜い言い訳はいいから。このままだと、お客さんや他のメンバーにも多大な迷惑が掛かるからさっさと代われ」


 堂本は返事を待たずに裕斗に強引にタックルし、調理担当の仕事を奪い取った。


「よっしゃ。それじゃあ、のろまで仕事の全くできない武本の代わりに、今から俺が調理するから。武本が溜めた大量のオーダーを消化していくわ」


 堂本は厨房内にいる裕斗以外の2人のメンバーに呼び掛けると、慣れた手つきでフライヤーから揚がったとんかつや唐揚げを皿に盛り付けていく。見る見るうちに蓄積したオーダーの数が減っていき、まるで裕斗を嘲笑うかのようだった。


 そんな堂本の仕事ぶりに嫉妬しながらも、裕斗は黙って佇むことしかできなかった。




☆☆☆




 次の日。


「ねぇ、ちょっといい?」


 黒髪ショートヘアの瀬川夢が、珍しく裕斗に声を掛けた。


「ど、どうしたの?」


 クラスでも陽キャに属する瀬川に初めて声を掛けられ、少なからず動揺する裕斗。


「これ、後で見て欲しい」


 瀬川は素っ気ない態度で裕斗に対し、折り畳まれた1枚の小さな紙を差し出した。


 裕斗は不思議そうに首を傾げながら瀬川から紙を受け取る。


「渡したから。待ってるから」


 瀬川はそれだけ言い残すと、用が済んだとばかりに教室を後にした。


「こ、これってもしかして……」


 裕斗はドキドキしながら紙をゆっくり開いた。


 すると、紙には『前から好きでした。返事が欲しいから、もし良かったら屋上に来てくれませんか? 待ってます』と書かれていた。


 紙には、女の子らしい丸文字で告白と瀬川の待機場所が記載されている。


「これって……もしかして、そのもしかしてだよな?」


 裕斗は抑えきれない興奮と経験したことのない感覚を味わいながら、高速で帰りの支度を済ませた。


 そして普段では絶対にしないであろう駆け足で教室を退出し、屋上へと向かった。




☆☆☆




「これは告白される流れだよな。とうとう俺にも春が来るかもしれない」


 裕斗はドキドキしながら足早に屋上に到着する。


「よし! 行くぞ」


 裕斗は屋上のドアの前で深呼吸をし、心を落ち着かせてから1歩を踏み出した。


 そこには瀬川ともう1人――堂本の姿があった。


「ギャハハハ。やっぱり来やがった!!」


 裕斗の姿を目にした堂本は腹を抱えて大笑いする。一緒にいる瀬川も小バカにしたように軽く鼻を鳴らした。


「どうして……どうして2人がここにいるの?」


 裕斗は身体をブルブルと震わせながら、弱々しく呟いた。


「はぁ? なんでかって? バカじゃねぇの? 嘘告白に決まってるだろ! そんなの少し考えれば分かることだろ!」


「本当に。まさかあんなにあっさり引っかかるなんて。やっぱり陰キャって感じ」


「本当だよな? いや~。やっぱり武本は期待を裏切らないわ~。楽しませてもらったわ! ありがとうな!!」

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