第4話
「ごめん、無理」
「何がだ?」
「…色々と。他行ってくんない?怖いから」
顔はイケメン。
それは認める。
だけど、“関わっちゃいけないヤツ”だっていうことはわかった。
言ってることがやばいって気づいてないんだろうか?
ヨシキ!
あんた担任ならなんとかしなさいよ!
そんなところで突っ立ってないで!
「三神君。彼の言う通り、もう少し前に寄れないか?」
「はああ!?」
「いや、いい。席を変えよう。赤城君。キミは空いた席のところに移ってくれないか?」
私の列のいちばん先頭にいる男子生徒に指示を出し、机の移動が始まった。
…ちょっとちょっと
なんで大移動が始まってんのよ!
ヨシキ?
ちゃんと聞いてる!?
「ちょっと先生!なんでこんな奴の言うこと聞いてんの!?」
「三神君。そんなことよりその服装はなんとかならないのか」
「私の服装の話はどうでもいいの!今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
「すまんが、言うとおりにしてくれないか?事情は後から説明する」
「事情…?何事情って」
「さ、1限目が始まるぞ。早く終わらせよう」
何さっと済ませようとしてるんだ。
何…?
私がおかしい?
…そんなことないよね?
「ちょっと凛。どうなってんのこれ」
「…私に聞かないでよ」
「赤城の奴移動しちゃったよ…。どうしよう、前空いたけど」
「移動するしかなくない?」
「えええええ」
なんでなんで?
みんな顔を合わせてざわついてた。
隣の由香子は、口を開けたままポカンとしている。
そしてそれは、私もだ。
「みんな、感謝する。この礼はあとできっちり払おう」
…は?
なにドヤってんのコイツ。
なんであんたの言うことなんて聞かなきゃいけないのよ。
転校生の身分の分際で、何クラスのみんなをかき乱しちゃってんの?
「もう少しでチャイムが鳴るのだから、早くした方がいいと思うが」
「“いいと思うが”じゃないのよ。あんた何様!?」
「席を移動しただけだろう。何をそんなに騒いでいるんだ」
ピクッ
こめかみに血管が浮き上がる。
なんだろう。
…殺意が湧いてきちゃったかな?
絶対移動してやるもんかと思った。
オハイオのどこからきたのか知らないが、でかい顔されてたまるかっての。
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