1436 眞子の感動と、喫茶ミノルちゃん

 一応の所、話は解決したのだが。

倉津君には、どうしても眞子に言って置きたい事があるらしく。

その話をする為に、待ち合わせ場所であった喫茶ミノルちゃんに入っていく2人だったが……その前に。


***


 ―――サイド眞子。


これはもぉ、奇跡なんてチープなモノじゃない。


そんな生易しいレベルの低い話じゃない。


だって、奇跡ってモノは、神様にしか出来無い様な事態が目の前で起こって、初めて『奇跡』って言う言葉が成立しているんだけど。

この事態は明らかに、神様が起こす奇跡同様に人には考えられない様な事態では有るんだけど、どこまでいってもこれは人為的なもの。

いや……寧ろ、真琴ちゃん自身が考えに考えた上でが『こうしよう』と思ってくれたからこそ、起こった事象。


だからこれは、決して、神様が気紛れを起して、偶発的にしか起こらない『奇跡』なんてチャチなモノじゃない。


真琴ちゃんの心、そのもの表れだ。


この行為には感動すら覚える。

いや、もぉこの真琴ちゃんの寛大さ寛容さには感動するしかなかった。


・・・・・・


……それにしても、あれですね。

こう言っちゃあ、なんなんですが。

元自分の事だから、余りこう言う事は恥ずかしくて言いたくはないんだけど。


真琴ちゃんって……本当に良い男ですよね。


あの状況下で、なにも聞かずに全てを許すなんて、人間業じゃないよ。

もし今の私が、この今の真琴ちゃんの立場に置かれたら、絶対に、あんな慈悲深い解答は出て来なかった筈。


いや、寧ろ、そんな考える暇もなく。

きっと相手をトコトンまで追い詰めて追い詰めて、自殺に追い込んでも尚、狂った様に嫉妬しそうな勢いだもんね。


本当に人間変われば変わっちゃうもんだね。

もぉ、根底の部分からして、真琴ちゃんとは別人に成っちゃったみたい。


だから、その分、真琴ちゃんの良さが身に沁みて、自分が悲しくなってきた。


でもさぁ。

身に沁みる序に言っちゃうんだけど。

私って、昔は、あんな真似が平然と出来てたんだね。


第三者の視点で見ると、こう言う部分が良く解るんだけど。

知り合いや、身内に対して優しいのは勿論の事、意外と気遣いが出来てたりする。


まぁ……この辺は、天然なのかも知れないけど。


それでも、凄い感心しちゃったのは否めない事実。

この件に関しては、真琴ちゃんには一切合切頭が上がらない感じですよ。


***


 ……っとまぁ、そんな事を色々考えながら、店の中に入って行くんだけど。


そこでまず感じた事は……


この店、煙草の煙が充満してて煙たい。

それに、無造作に空き瓶が転がってるからアルコール臭い。


最悪の環境だよ。


まぁ、そうはいっても。

此処って昔から、不良の溜まり場になってる様な哀れな店だから。

寧ろ、この状態がデフォルトなので、しょうがないと言えば、それまでの話なんだけどね。


それにしたって、このニコチンと、アルコールの消費量がハンパじゃないよ。


灰皿の灰や吸殻は山盛りの満タン状態だし、空いた瓶やグラスは、そのままテーブルの上に放置。


ミノルママの相変わらずズサンな営業体制が、そうさせてるんだろうけどね。



「オィ~スッ!!」


そんな中、先に店の中に入った真琴ちゃんが、ミノルママに挨拶をした。



「あぁ、いらっしゃ~~い。……って、あら?あらあらあら、これはまた珍しい顔が現れたものね」

「いやいや、久しぶりで悪ぃな。元気してっか、ジジィババァ?」

「元気元気。お陰様で、夜の方もバリバリ元気よ」


うん……ママの夜の事情は、絶対に想像したくないから、その口を堅く閉じて。


ママ……どう見ても、ただの振袖を着たオッサンだし。


現に女装したオッサンだけど。



「聞いてねぇから。つぅか、そんな話は聞きたくもねぇから」

「あらあら、またそんな風に照れちゃって。想像して勃起しちゃった?」

「すっ、するか!!んなもんで勃起なんぞするかぁ!!うぇ~~~~、気持ち悪い!!もぉ一丁うぇ~~~~~!!」


うん、本当に気持ち悪いから辞めて。


こんな話をされたんじゃあ、折角の真琴ちゃんに対する感動が薄れて行っちゃうし。


……でも、あれだよね。

夜のママって、男役なの?女役なの?


興味がないから、その答えは言って欲しくは無いんけど。

不覚にも、つい、そんな余計な事を考えちゃったよ。



「失礼ね!!これでも肛門の締まりは抜群に良い方なのよ。尻マ〇コ試してみる?」


……女役でしたか。


うぷっ!!

辞めて……

あれ程、心の中で言わなくても良いって言ったのに……



「うえぇ~~~~!!もうマジでキモォ~~~イにも程があるわ!!限界だ限界!!冗談じゃねぇぞ!!店変えるぞ眞子」

「うっ、うん。そう……だね。そうした方が良さそうだね」

「なに言っちゃってるの。ほんの冗談、可愛いミノルママジョークじゃない。って言うか、久しぶりに来たって言うのに、そんな理由で帰っちゃやぁ~~よ。此処で帰ったら、クーさんにキスの嵐を吹かしちゃうんだから」


相変わらずだ。

相変わらず、この店は、本当に下品極まりない店だ。


ホント、どこまで行っても最悪だよ。


……処で真琴ちゃんさぁ。

なんでこの店を、敢えて、あんな重要な話をする場にしようと思ったの?


此処を選択するなんて、場違いも良い所じゃない?


こう言っちゃなんだけど、意味が解らないんだけど???


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

今回も最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


奇跡を超えた感動に包まれた眞子でしたが。

あまりのミノルママの下品さに、その感動さえも少し薄れてしまったみたいですね(笑)


まぁでも、この後、話し合いをする上で、少し位なら和らいだ気持ちに成った方が良いのかもしれませんので、これはこれでアリなのかもしれませんがね。


そんな訳でして。

もう少し和らいだ雰囲気にしたい所なので。

次回も、そんなミノルママとの会話にお付き合い下さい。


いりませんね。


はい、すみません<(_ _)>


でもやります(笑)٩( ''ω'' )و


あっ、あと、これは余談なのですが。

倉津君が、このカオスな店を選んだ理由はですね。

雑多な店だけに、他にお客さんが居ても、重要な話をしてても誰も気にも止めないから選んだ感じですので、あしからず。


うん……完全に失敗ですね(笑)

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