1433 待ち合わせ場所に向かいながら考える
話し合いの結果、眞子単体で倉津君との交渉に行く事を許した崇秀。
それ故に、とうとう此処に来て当事者同士が話し合う事に成ったのだが……その頃、倉津君は?っと言うと。
***
―――サイド真琴。
簡潔に眞子に電話で話した後、俺は、ゆっくりと自転車を走らせ。
待ち合わせ場所である『喫茶ミノルちゃん』に、のんびりとしたスピードで向って行った。
これは、いつもにのスピードに比べても、かなり遅いスピードでだ。
だが何故、この後に及んで、チャリを、ゆっくり漕いで行く必要性が有るのかと言うとだな。
この件を電話で眞子に振った以上『どう対応すべきか?』で、必ずと言っていいほど崇秀と眞子の2人が揉めてる筈だからだ。
話し合いをするにしても、どう話を進めるかを考慮しなきゃいけないだろうからな。
だから此処で俺が変に気焦りを起し、慌てて待ち合わせの場所に行った所で、待ち惚けを喰らう可能性は飛躍的に高いし。
なにより、それが原因になり。
仮にアイツ等が待ち合わせ場所に遅刻でもし様ものなら、コチラも立場上、怒ってこの話自体を御破算にしなきゃいけなくなるからだ。
これじゃあ、あまりにも本末転倒。
なにも進展性がない。
なので結論を言うと。
俺は、この問題の早期解決を望んでる訳であって、決して揉め事の継続を望んでいる訳ではないのだから、慌てて待ち合わせ場所に行ってはいけない訳に成る訳だ。
兎に角、気持ちに余裕が有る側の人間が、相手の話し易い環境も整えてやらねぇといけねぇ訳だ。
そんな理由もあって俺は、いつも以上にチンタラチンタラと自転車で移動をする。
大体、スピードとしては通常の3倍ぐらいの遅さだな。
***
そうやって、待ち合わせ場所である『喫茶ミノルちゃん』の前に到着したのは、午前の1時を回った位。
地元じゃあ不良の溜まり場として、密かに有名なこの薄汚い店は、深夜帯に成っても、店の前には不良共のチャリンコが沢山停まっている。
まだ町のゴロツキ共が、余裕でタムロしてる時間帯だからな。
そんな無駄に多くのチャリが停まっている店の前で、俺が自転車を停める姿を申し訳なさそうに見詰ている1人の女の子が立っていた。
眞子だ。
けど、これはまた意外な展開が来たもんだな。
まさか眞子が、此処に1人で来るとは……思いも拠らなかった。
俺はテッキリ、キッチリと話を付ける為に、崇秀の馬鹿が一人で乗り込んで来てるものだと想像していたからな。
これは、少々予想外の展開だ。
勿論、それに伴って、非常に悪い予感がしないでもない。
何故なら眞子を、此処に1人で来させると言う事は。
それ=『私のせい』だと言ったあの言葉に、責任があると言う証拠にもなってしまう訳だし。
崇秀が『それを眞子に言う事を許した』と言う事にも成りかねないからなぁ。
どうやら、これは思った以上に面倒な事に成りそうだ。
「おぅ、眞子」
「あっ……」
「なんだよ?オマエ一人か?俺は『2人で来い』って、ちゃんと言った筈なんだがな」
「ごめんなさい。……でも、真琴ちゃんは、崇秀さんの事を当事者だと思ってるかも知れないけど、本当は当事者でもなんでもないから。だから、本当の意味で責任を負わなきゃいけない私だけが1人で来たの」
「オイオイ、あんな事を仕出かして置いて、今更関係なくはねぇだろうに?人の彼女に手を出しておいて、無関係ってのは、あまりにも、話に無理があるんじゃねぇか?」
「そうだね。あの状況じゃあ、そう言う見解に成っても、おかしくはないよね。……でも、でもね。これは、本当に私1人の責任で生じた事なの。崇秀さんは、なに1つとして悪くなんてないんだよ」
矢張りだ。
幾ら崇秀の馬鹿が性欲を持て余してるからと言っても。
奈緒さんに手を出すなんて、どうにも、おかしいとは思ったんだが、これで確定してしまったな。
これだけ推理し易い状況下にあって、自ら口で『自分の責任』だって、こう何度も言うなら。
今回の件に関しては、間違いなく『眞子単体の責任』で生じた問題だと思わざるを得ない。
マジでコイツが事の発端の様だ。
・・・・・・
はぁ……しかし、まいったなぁ。
いつ何時であっても、こう言った悪い予想と言う奴だけは、必ずと言っていい程、高確率で当たるもんなんだよなぁ。
此処だけは外れた記憶すらないわ。
「あぁそうかよ。じゃあ、中に入って、その辺の話をジックリ聞かせて貰うわ。オマエが、そうまで言って、自分の責任だって言う理由って奴をな」
「うん、そうして貰えると有り難い。……それで、私の話を聞いて、真琴ちゃんが気分を害したのなら、私を死ぬまでブン殴ってくれても構わない」
「はぁ?」
「勿論、手を汚すのが嫌なら、自分で死んでも構わないとも思ってる。私は、それだけの事を真琴ちゃんにも、奈緒ネェにも、崇秀さんにもしてしまったんだから……」
うわぁ……これは更にヤバそうだな。
眞子が様子じゃあ、俺が想像していた以上に事態は酷く、最悪な状況を呈してる様だな。
けどな。
その時点で、なにが有ったかは知らないが。
仮になにが有ったとしても『気安く死ぬ』とか言う言葉だけは使ってくれるなよな。
そんな風に死ぬ程の気概が有るなら、一生掛けてでも、それを償う位の気概を見せるのが筋ってもんじゃねぇのか?
大体にして俺は、どんな事が有ったとしても、オマエが死ぬ事なんて、これっぽっちも望んじゃいねぇよ。
このバカタレが。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
倉津君、今自分が出来る限り最大の環境を整えて交渉に臨んだのにも関わらず。
『眞子が単独で話し合いに来る』っと言う、少々予想外の展開が目の前で起こり、かなり動揺してるみたいですね。
まぁですが、そんな中にあっても。
まだ冷静さを失わずに分析をし続けてる訳ですから、動揺してても、まだ気持ち的に余裕があるのかもしれませんが。
うん……この辺は、実に良い成長を遂げてるようです♪
さてさて、そんな中。
眞子が死ぬほどの気概を見せたのが、倉津君にとっては不本意な様で。
なにやら、そんな眞子に対して言いたい事がある様子。
この状況下で倉津君は、一体、何を言い始めるのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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