1432 もう責任からは逃れたくない!!
真実を話そうとする眞子。
それに対して、真実を話させたくない崇秀。
故に、話が平行線を辿り続けているのだが……
***
「でも……」
「悪いが、今回に限っては『でも』は無しだ。……それにな。男なら、いずれ汚名を挽回するチャンスもある。それまでは我慢の時だ」
「そんなの、ただの自己犠牲なだけじゃない。納得出来無いよ」
「納得出来なくても、納得しろ。オマエが、向井眞子で有り続ける為なら、俺は喜んで、泥でもなんでも被ってやる。だから今は、大人しく俺の言う事を聞いてくれ」
無理だよ。
それに嫌だ。
そんな解決策じゃ、崇秀さんが1人で嫌な目に合うだけじゃない。
そんなのは、本当の解決策じゃない。
本当の解決策は、真実を言う事。
今が、絶対に、その時だと思うし、今じゃなきゃ、永遠にそれを言う機会なんて訪れないと思う。
なので私も、此処を曲げる事は出来無い。
「兎に角だ。方法については不満かも知れないが、今回の件は、俺に一任しろ。それにだ。謝罪に行くのに、相手より遅れたんじゃ話に成らないからな。これからも、本当に仲良くやって行きたいなら、此処は俺に任せてくれ。……頼む」
・・・・・・
ヤッパリ、こうなったか。
予想に反する事無く崇秀さんは、意地でも、この選択肢を通すつもりだ。
なら、正解だったね。
『本当の待ち合わせ場所』を崇秀さんに言わなかったのは……
「ダメだよ。……そんなの、なんの解決にも成ってないよ。そんなの、ただの一時凌ぎだよ。どう考えても、納得出来る内容じゃない」
「オイ、眞子。言いたい事は解るが、我儘言ってる場合じゃ……」
「これは我儘じゃないよ。幾ら彼氏だからって、私の責任まで持って行くのはおかしい。それに、そんな事をされたら、私は、もぉ向井眞子で居続けられない。今下手に、こんな大きな借りを作っちゃったら、崇秀さんと、もぉ一緒に居続ける事なんて出来なくなる。だから私は、私なりのケリを付けなきゃイケナイんだよ」
「オイ……」
「馬鹿な事を言ってるのかも知れないけど。私だって、もぉ子供じゃないんだよ。アナタに迷惑を掛けるだけの存在だなんて、もぉたくさんなの。これ以上言うなら……私は、アナタと別れる」
自分の責任で起こった事象を、大切な人に泥を被って貰ってまで解決して貰う事なんて、私は望んでいない。
それを望む程、私は愚かな人間でもなければ、馬鹿な人間でもない。
それになにより、そんな卑怯な人間には成りたくない。
だから、どんな代償を払ってでも、これだけは自分自身の力で解決しなきゃいけない。
私の為に誰かが犠牲になるなんて、もぉ真っ平ゴメンだ。
「……眞子」
「だから、なにも言わずで行かせて。責任を、ちゃんと取らせて下さい。……私は、アナタとは別れたくないの。難しい事なのかも知れないけど、どうか私を信用して……お願いします」
此処は人としての最低限のモラルの筈だから、私は強い意思を持って崇秀さんに懇願した。
「……そうか。これじゃあ俺のお節介が過ぎてるか」
「うぅん。それは違うよ。崇秀さんは、馬鹿な私を、いつも護ってくれようとしてるだけ。お節介なんかじゃない。……でもね。自分で解決しなきゃいけない事も有ると思うの。それが、今なんじゃないかなって」
これを聞けば崇秀さんは必ず引き下がる。
その私の心境が解らない程、崇秀さんは空気の読めない人間じゃない筈だからね。
それが解って貰えるなら、どうか、この歪な嘘に終止符を打つ為にも折れて下さい。
「……解ったよ」
「えっ?」
「解ったよ。この件は、オマエに一任するよ」
「ホッ、ホント?」
「あぁ、ただしな。なにか困った事態に陥ったら、必ず、俺を呼べな」
「えっ?」
「待ち合わせ場所の嘘まで付いたんだから。それなりの覚悟を持って、一人で倉津の所に行くつもりなんだろ」
場所の嘘は……バレてたんだ。
この状況下に在って、なんて冷静な人なんだ……
「うん……ごめん」
「ふぅ。だと思ったよ。……まぁ兎に角だ。1人で行くと決意してるなら、もぉ止めはしねぇけどよ。1つだけ助言しとくぞ」
助言ってなんだろう?
「うん。なに?」
「良いか、眞子?覚悟を持って、相手に接したからと言っても、必ずしも、それが良い方向に転がるとは限らない。そこを勘違いするなよ。そこを履き違っちまったら、覚悟した意味すら無くなるからな。全てが無に帰すぞ」
助言と言うより、指摘だね。
でも、これを言うって事は、崇秀さんは、最後の最後まで真実を言う事に反対みたいだ。
「うん。気を付けるよ」
「それとも、もぅ一点。もし、なにかの手違いで、オマエが間違いを起したら。そんな時は、自己判断で良いから、俺に直ぐ連絡しろ。……それがオマエを一人で行かせる条件だ。約束出来るか?」
「うん、約束する。……それと、最後まで気を遣ってくれて、ありがとう」
「おぅ。此処が、この問題の正念場なのかも知れないからな。出来る限りの事を尽くして、誠心誠意頑張れ。……そんで、どんな結末を迎えても、此処に帰って来い。ズッと待っててやるから」
「うん……うん、うん」
注意をしたり、指摘をしたりしてたけど。
最終的には、私を全面的に信用して、私の判断に任せてくれてる。
なら、指摘を無視する様で悪いんだけど、真実を話す事にする。
この人が傍に居てくれるなら……もぉなんの躊躇いもないし、怖いとは感じない。
「よっし。じゃあ行って来い」
「うん。……行って来る」
前に出て護る勇気も有れば、後ろで待っててくれる勇気もある。
今回の崇秀さんは、敢えて後者を選んでくれた。
だから私は、全てを否定される覚悟を持って、真琴ちゃんの指定した『喫茶ミノルちゃん』に向って行った。
もぉ、気持ちの後戻りは出来無い。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
此処は無理を承知で眞子が、自分の意見を貫き通しましたね。
それ故に、此処からは、崇秀の介入が不可能になり。
倉津君との話し合いは、眞子一人で行う事に成りました。
まぁ普段なら、どうやってでも崇秀が責任を持って行ってただけに、ちょっと意外な展開に成ってしまったものですね♪
さてさて、そんな訳でございまして。
此処からは、モロ加害者(眞子)と被害者(倉津君)の話し合いに成る訳なのですが。
決裂させずに眞子は、上手く倉津君に説明する事が出来るのか?
次回からは、それを倉津君サイドで観ていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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