1429 まだ考えが纏まってないと言うのに……
今日あった色んな事に対しての愚痴を吐く倉津君。
まぁ、いつもの冒頭の光景ですな(笑)
***
そうこう1人で悩んでる内に、盛大に盛り上がっていたであろう【無名】の打ち上げは、いつの間にか終わってしまい。
打ち上げ場所だったネストを後にして、沙那ちゃんを連れながら家路に着く事に成った。
あぁ……因みになんだがな。
沙那ちゃんをウチに連れて帰ってる理由は、親父さんが、半強制的に【無名】の二次会に連行されてしまったからなんだよ。
まぁ、親父さん自体は、キャンピングカーの中に沙那ちゃんを1人残して行くつもりだったみたいなんだが……流石になぁ。
幾ら沙那ちゃんが、こう言う事には慣れてるとは言え、女の子を一人で、車の中に放ったらかしにするのもなんだし。
それを知ってしまった以上、これを見て見ぬフリをする事なんかは、俺には出来無い。
故に親父さんが二次会に連れて行かれる寸前に『明日、家を見に来て貰うまで沙那ちゃんをウチで預かってましょうか?』って進言してみた所。
親父さんが、なにかを言う前に沙那ちゃんが、俺にピタッとくっ付いてきて、俺に微笑みながら『おにぃちゃんの家にお泊りに行く』って言ってくれた。
まぁその後、親父さん『ご迷惑をお掛けしませんか?』っと散々聞いてきてたのだが、迷惑な筈もなく。
その最終結果が、今の現状に相成ったと言う訳だ。
……けどな。
そんな帰り道を、沙那ちゃんと手を繋ぎながら歩いてたら。
時間が時間なだけに、歩いてる内に沙那ちゃんがウトウトし始め。
それで何度か転びそうに成っていたのでオンブしてやったら、直ぐに背中でスゥスゥと寝ちまったんだけどな。
力が抜けた分、少しだけ重さを感じる様には成ったが、スゥスゥ寝息を立ててるのは、なんとも可愛らしくて癒される感じだ。
今の俺にとっては、沙那ちゃんが、唯一のオアシスなのかもしれない。
まぁ、そんな感じでチンタラと歩きながら、家に向って歩いていた。
すると、そこには思いも寄らなかった光景が……
「クラ……あっ、あぁっと、倉津君」
家に前にある電信柱の物陰から、申し訳なさそうな表情を浮かべた奈緒さんが、やや俯き加減で姿を現した。
でも、その姿は、普段の奈緒さんからは、絶対に考えられない様なぐらい乱れたままの姿。
この様子からして、あの後直ぐに、この場でにやって来て、寒さを堪えながら1人でズッと待っていたんだろう。
その証拠に、小刻みに体が震えてるし、顔色も唇も寒さに当てられて真っ青だ。
あんなに酷い事を言われた後だと言うのに、どうやら奈緒さんは、まだ俺に対しての好意を持ってくれてる様だ。
……考えてる事は、みんな一緒か。
「はぁ……なんッスかね?まだ俺になんか用ッスか?」
けど俺は、そんな奈緒さんの姿を見ても尚。
まだ対応策が全く練れてないのと、奈緒さんがあんな行為に至った経緯が全く分かってない状態だったので、ややツッケンドウな態度で冷たくあしらってしまう。
いや、正確に言えばな。
眞子の言葉の件があるから、奈緒さんを許す気持ちは大いにして有るんだが。
まだ、どこかで気持ちが割り切れてない部分があるだけに、こんなチグハグな対応に成ってしまった感じだろうと思われる。
そんな自分の気持ちにすらハッキリしない自分が、非常にもどかしい。
「あっ、あの……あのね……」
「なんッスか?用事が有るんなら、一応、話は聞きますけど。それって、子供の前で話す様な話なんッスか?もし、そうじゃないなら、今直ぐにでも聞きますが。そうなんだったら、明日にして貰って良いッスか?今、そう言う気分じゃないんで」
「えっ?」
「明日、改めて話を聞くって言ってるんッスよ。だから、今日はもぉ帰って下さい」
これが、今の俺に出来る最高の妥協案だと思う。
今の所、これ以上の妥協案は、精神的にも恐らく俺には無理だろう。
それに寝てるとは言え、流石に沙那ちゃんの前でする話じゃねぇしな。
話をするならするで、もうちょっとキッチリとした状況を作ってから話しをするのが筋道。
なら、この子が居ない日に、日を改めるのが妥当なラインってもんだろう。
ミットモナイ色恋沙汰は、子供の前でする訳にはいかないからな。
まぁけど、俺の為に、こんな姿を見せられたんじゃ。
後日にでも、奈緒さんの言い分を聞く位の事はしてあげないとな。
「聞いて……貰えるの?」
「ハァ……今日は無理ッスけど。取り敢えず、明日、必ず聞きますから。兎に角、今日は帰って下さい。まだ俺自身も心の整理が付いてないんで、今はまだ奈緒さんの話を聞く気には成れないッスから」
「押し掛けて……ごめんなさい……でも、ありがとう」
そんなに涙をポロポロ零されたんじゃ。
明日に、先送りするのさえ可哀想に成って来たなぁ。
事情が有るみたいだしよぉ。
だったらもぉ、この際だから、この場で許しちゃおうかなぁ?
いや、でもなぁ。
なんの事情も聞かずに許しちまっても、いい問題でもないしなぁ。
……とは言っても、このまま奈緒さんを帰らせて、1人で悩み続けさせるのもヤッパリ可哀想だしなぁ。
・・・・・・
あぁもぉ、悩んでても仕方がない。
そんな事をウジウジ考えてる暇があるんなら。
此処は1つ、サッパリと、もぅ一歩妥協した案を提示すりゃあ良いだけの話じゃんかよ。
俺みたいな脳タリンが、悩むだけ無駄だ無駄。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
そして、新年明けましておめでとうございますです♪
(((o(*゚▽゚*)o)))
奈緒さん、真冬の寒い最中、あれからズッと倉津君の家の前で待ってたみたいですね。
ブッチャケ言えば、今の奈緒さんの社会的な立場から考えたら。
倉津君にさえ拘らなければ、こんな真似をする必要もないのですが……そんな彼女が此処まですると言う事は、それ程までに倉津君と言う人間に惚れ込んでる証拠なのでしょうね。
好きであっても、中々此処まで出来ないと思いますよぉ♪
さてさて、そんな奈緒さんを見て。
改めて『自分の奈緒さんに対する気持ちがハッキリして来た』倉津君なのですが。
現状で、どの様な妥協案を提示してあげるつもりなのか?
そしてその妥協案に奈緒さんは、どの様な反応を見せるのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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