第4話 頼りになるのは幼馴染
***
「お前、馬鹿か!?」
幼馴染の健太の第一声は怒りと諦めの入り混じったような声だった。もうどうしたらいいのかわからず幼馴染の健太に電話したのだ。
「お前、それ詐欺だぞ、もう渡したのか? いくら渡したんだ?」
「まだ渡してないけど70万円渡すことになった」
「70万って! いつ?」
「来週」
「本気で渡すのか? 絶対戻ってこないぞ! だいたい学生にそんな投資話を持ち掛けるなんて、その男絶対変だぞ」
さすがにおかしいと思うけれど、ここで断ったら隆久さんに失望されるのではないかという心配もあった。正直もう考えるのをもう放棄したいくらいだ。
「そいつまともじゃない、詐欺師だぞ、もう会うな」
「無理、明日も遊びに行く約束しちゃったし」
健太は大きくため息をつくと、
「その佐藤隆久とかいうオッサンはな、お前を完全にカモにしてる」
やっぱりそうか、という気持ちと隆久さんをまだ信じたい気持ちが交じり合って私はもう泣けてきた。そうだよね。
ただ、70万円という金額は貯金とかをかき集めたら出せるのだ。多分、私と一緒に遊びに行ったり会話をする中で、隆久さんは私の出せる限度額を正確に予測したのだろう。
「私どうしたらいい? 健太ならなんて言う?」
「とにかく断れ、怪しい投資を断るのに理由はいらん」
*
サークルの子達に聞いたところ、隆久さんから投資話を持ちかけられていた子が何人かいたことがわかった。全員女子で平均50万円ほど出資していた。肝心の配当は最初はきちんと貰えていたがここ数か月は支払われていないという。理由を尋ねたらよくわからない理由が返ってきたという。
全員、隆久さんを疑いたくない気持ちが大きく、彼に少なからず好意を抱いていた。
私と一緒じゃん。
つまり彼は自分の投資話を受け入れてくれそうなカモをサークルを通じて探していたのだ。
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