第3話  私は詐欺のカモ

 

 そんなある日、隆久さんに呼び出された。場所はお洒落な人気のカフェだった。大切な話があるというので、高鳴る胸を抑えて出かけた。前日にはエステに行きフェイシャルの施術をしてもらった。メイクもばっちりだ。ワンピースも新しいものを選んだ。


「梨乃ちゃん、来てくれてありがとう。実は今日は大切な話があるんだ」


このカフェは、他のテーブルとは距離があるので少し込み入った話もできるのが特徴の店だ。



「お話ってなんですか?」

「僕が投資コンサルタントの仕事をしていることは前に話したよね。でね、今日はすごくいい投資話があるんだ」

 

――えっ、投資話? なにそれ。

 

「梨乃ちゃんみたいな学生の子でも簡単に始められる資産運用なんだけど――」 


 内容は難しくてよくわからなかったけれど高配当の金融商品らしい。

 告白されるかもしれないという淡い期待はここで木っ端こっぱみじんに砕かれた。



「とてもいい話だから梨乃ちゃんにも絶対にお勧めだよ」

「それって、損をしたりしないやつですか?」

「うん、それは大丈夫!」


隆久さんはにっこりと微笑んだ。




 

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