第4話

村の人々と親睦を深めた翌朝、日本の大スター軍団一行は、お世話になった村長に別れの挨拶をしに行くことにした。


颯太やフレイムスターに懐いた犬が、興奮して彼らの周りを跳ね回り、すっかりkirara⭐︎のファンになった子供たちが、手を振りながら一行を見送る。村人のみんなが別れを惜しむように、優しい笑顔と、一部は涙で一行を囲んで見守っていた。


「またいつか、戻ってきます!」颯太やkirara⭐︎が元気に手を振ると、村人たちも同じように笑顔で手を振り返した。温かい別れの雰囲気が、村全体を包み込む。


その時、村長が一歩前に出て、手に持っていた謎の地図を差し出した。「タカ、ラココ」と言いながら、地図上のある1つのX印を指差し、彼の目はどこか神秘的な光を放っていた。


一行は地図を受け取るが、色々な絵や記号が描かれているものの、文字は読めない。翔一が不思議そうに地図を見つめ、「これ、何かの暗号かな?」と呟くと、宇宙がうなずきながらも「これが冒険の始まりになるかもしれないな」と期待を寄せた。


村長の優しい笑顔に見守られながら、一行は新たな旅路へと足を踏み出した。


少し歩くと、「難易度高いなー。言葉通じないし…でもうちには最強の頭脳担当がいるから安心やなー」と大地が颯太の方を見て言う。


「将棋以外あんまり分からないですけど…」と颯太は照れくさそうに微笑みながら、手にした地図をじっと見つめる。


地図の中央左側にはお城のような建物が描かれており、その荘厳な姿が目を引く。その建物から右上に目を移すと、馬が立っている姿があり、その下には湖のような水の流れが広がっている。湖の下には、弓や槍を持った人々がたくさん描かれており、まるで何かの儀式や戦いのシーンを表現しているかのようだ。その下には村長が指差したX印がある。


「ここが、何か特別な場所なんですかね?」颯太が眉をひそめながらつぶやくと、他のメンバーも興味津々で地図を覗き込んだ。


「気になるな、この湖の周りの人たち…もしかして、原始人?いや何かの守り神みたいな存在か?」宇宙が地図を指差し、真剣な表情で考え込んでいると、遼が口を開いた。


「待てよ、そんな事より村長が言ってたじゃん、『タカラココ』って。つまり『宝はここにある』って意味だろ?とにかく地図上のX印が示してる場所に行けばいいんじゃない?」


その言葉に全員が再び地図を覗き込み、X印の位置を確認する。翔一が興奮した様子で「そうか、村長が言ってたのはこの場所のことだったんだな!」と声を上げると、大地が頷き、「なるほどー、さすが遼ちゃんドリブルだけじゃなくて推理もキレッキレっすねー。よし、行ってみよかー!」と意気込んだ。


kirara⭐︎が笑顔で「じゃあ、みんなで一緒に行きましょう!」と励まし、フレイムスターも軽くいななきで応える。宇宙は少し考え込んだ表情をしていたが、「まあ、ここまで来たら行くしかないな」と肩をすくめた。


一行はカメラが回る中、地図のX印が示す場所を目指し、村の道を進んでいくことにした。メンバーの中にはカメラに向かって笑顔を振りまく者もいれば、緊張感を漂わせながらもカメラを意識して歩く者もいた。村人たちが興味津々に見送る中、風が吹き抜け、遠くの山々が一層輝きを増していた。そう、この時まではこの番組に関わる誰もが、お正月2日目にふさわしい、ただの金がかかりすぎた擬似冒険ドラマだと思っていたのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る