第9話 未来への希望と恐れ
統合失調症とともに生きる私にとって、未来を考えることはいつも希望と恐れが交錯する瞬間です。病気を抱えながら、どのように生きていくのか。将来を思い描くたびに、不安と期待が胸の中で入り混じります。
希望の光
未来への希望を感じる瞬間は、どんなに小さなことでも心を温かくしてくれます。たとえば、調子の良い日に少し散歩に出かけ、穏やかな空を見上げるとき。「今日はちゃんと外に出られた」と思えるだけで、自分を少しだけ認めてあげられる気がします。
また、誰かに感謝されたり、必要とされる場面に出会うと、自分の存在意義を感じます。それは、「病気があっても、自分は誰かの役に立てる」と実感できる貴重な瞬間です。日々の中で希望を見つけるのは簡単ではありませんが、それでも些細な一歩が未来の光に思えることがあります。
恐れと不安
それでも、恐れや不安は消えることはありません。病気の症状が悪化したらどうしよう、幻聴がもっと強くなったら、自分のことを支えてくれる人がいなくなったら――。そんな考えが頭をよぎるたびに、心が締め付けられるような感覚に襲われます。
特に辛いのは、「将来、自分はどんな自分でいられるのか」を考えたときです。仕事や社会とのつながり、家族や友人との関係、それらを保つことができるのかという不安。病気とともに歳を重ねたとき、自分の居場所があるのかという恐れ。それらが私の中に暗い影を落とすことがあります。
希望と恐れを抱えて生きる
希望も恐れも、私の中に同時に存在しています。そして、その両方を抱えながら生きることが、私にとっての「統合失調症とともに生きる」ということなのだと思います。
希望が見えにくいときは、小さな楽しみを見つけるようにしています。好きな音楽を聴いたり、短いエッセイを書くこともそのひとつです。そして、恐れを感じるときには、それを信頼できる人に少しだけ話してみる。言葉にすることで、不安が少しだけ和らぐことがあります。
未来は不確かであり、誰にもその全貌を知ることはできません。それでも、希望と恐れの間を揺れ動きながら、少しずつ自分らしい歩みを進める。それが今の私の生き方です。
次回は最終話として、「統合失調症と生きる私からのメッセージ」をお届けします。このエッセイを通じて伝えたかったことをまとめ、統合失調症を抱えるすべての人に向けてエールを送りたいと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます