第8話 支えになるもの、なれないもの

統合失調症を抱えて生きる中で、支えとなるものとそうでないものの違いを身をもって感じてきました。それは人や言葉、行動だけでなく、自分の心の持ち方にも大きく関わっています。支えになるものに出会えたとき、少しだけ心が軽くなり、生きるエネルギーを取り戻せる気がします。でも、逆に支えになると思ったものが負担になることもあるのです。


支えになるもの


一番の支えは「ただ聞いてくれる人」の存在です。何もアドバイスをしなくてもいい。ただ私の話を否定せず、耳を傾けてくれる。それだけで心が救われることがあります。「そんなことを考えるのはおかしい」と言われるのではなく、「そうだったんだね」と言われること。それがどれほど心強いか、何度も経験しました。


また、無理に励まさない優しい言葉も支えになります。「頑張らなくてもいいよ」「今日は休んでいいんだよ」――こんな言葉をかけられると、自分の存在を肯定されたような気持ちになります。統合失調症を抱えていると、どうしても「もっと頑張らなければ」と自分を追い込んでしまうことが多いので、これらの言葉は大きな力を持ちます。


さらに、私が支えられたのは小さな楽しみです。お気に入りの音楽や映画、日記を書くことなど、自分だけの安心できる時間を持つことはとても重要です。それらがあれば、苦しい日々の中でも、少しだけ「自分らしさ」を感じることができます。


支えにならないもの


一方で、善意からの言葉が時に負担になることもあります。「もっとポジティブに考えなきゃ」「病気なんかに負けるな」という励ましが、私にとっては逆効果でした。これらの言葉は、「私がポジティブじゃないのが悪い」「もっと頑張らないといけない」と感じさせてしまうのです。


また、「それって本当に病気なの?」という無神経な発言や、「統合失調症の人は危ない」という偏見に満ちた言葉も、私を深く傷つけました。統合失調症について知らない人からの無理解な言葉は、支えどころか心に重くのしかかる負担になります。


私自身、支えとなるものと負担になるものの違いを知るまでに多くの時間がかかりました。それを理解するには、周囲の人たちとの対話が必要不可欠でした。自分が何を求めているのか、どんなことが負担になるのかを伝えるのは難しいですが、少しずつ共有することで支え合う関係が生まれました。


統合失調症を抱える人にとって、支えになるものは人それぞれです。でも、「無理に解決しようとせず、そばにいてくれる」それだけで救われることがあるのだと、私は信じています。


次回は、「未来への希望と恐れ」についてお話しします。病気と向き合いながら、未来をどう描くのか。その中にある希望と不安について語りたいと思います。

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