第7話 1日寝るしかない日々の裏側
統合失調症とともに生きる日々には、どうしても何もできずに1日中寝て過ごすしかない日があります。それは怠けているわけでも、やる気がないわけでもありません。ただ、心も体も完全にエネルギーを失い、布団の中でじっとしていることが唯一の選択肢になるのです。
そんな日が訪れる理由はさまざまです。幻聴や妄想に耐え続けた心が限界を迎えたとき、社会の目や偏見に晒され続けたとき、または日々の小さなストレスが積み重なって爆発したとき――。気がつくと、自分の体が「動けない」という明確な信号を発しているのです。
私が最初に「1日寝るしかない」状態になったとき、自己嫌悪でいっぱいになりました。「なんでこんなに弱いんだろう」「普通の人みたいに頑張れない自分はダメだ」と自分を責め続けました。その上、家族や周囲の人から「また寝てるの?」「何かしたら?」と言われるたび、さらに追い詰められた気持ちになりました。
でも、病気と向き合いながら学んだのは、この「寝るしかない日」もまた、統合失調症の症状のひとつであり、体と心が回復を求めているサインだということです。無理をして動こうとすれば、症状が悪化するだけ。自分を守るために、何もしない日を受け入れることが必要なのだと理解するようになりました。
周囲にそれを説明するのは簡単ではありません。特に、統合失調症という病気自体が理解されにくい中で、「寝ている」という行動が何を意味するのかを正確に伝えることは難しいです。それでも、信頼できる人に少しずつ話してみることで、誤解を減らせる場面も増えてきました。
「今日は1日何もできないけれど、それは必要な休息なんだ」
そう自分に言い聞かせることで、少しだけ心が軽くなることがあります。そして、その休息の時間があるからこそ、次の日に少しでも前を向けるようになるのです。
1日寝て過ごす自分を許すこと。これは、統合失調症とともに生きる中で最も大切な自己防衛の一つだと思います。病気に対する偏見はまだまだ強いですが、自分自身を責めないこと、それがこの苦しい日々を乗り越える鍵なのです。
次回は、「支えになるもの、なれないもの」についてお話しします。統合失調症を抱える中で、どのような人や言葉が支えとなるのか、また逆にどんなものが負担になるのかを考えていきます。
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