第6話

カツ、カツ、カツと、足音が魔王城にこだまする。

そして最後の扉が開いた。


そして薫がきた。

「・・・」

薫は何も言わない。


「やあ薫!ここまで来るのお疲れ様。少し休んだらどう?」

僕は軽い気持ちで声を出した。


「・・・ねえ?決心ついた?」

薫が聞いてきた。あのときの返事だろう。


「・・・ごめん。結局は僕は魔族を守る。守っていくんだ」

僕は慎重な声でかすれそうになりながら言った。

「・・・そう。じゃあ仕方ないね」


「薫・・・好きだよ」

僕はこの場で告白した。

彼女は一瞬驚き、顔が真っ赤になって、泣き始めた。


「うん・・・わたしも・・・!」

彼女が泣いているのには嬉し涙か、それとも別の感情なのか僕にはよくわからない。


「さあ、早く僕を殺して」

「・・・ごめん、できない。私は暗を殺したくない…!」


そうだよね。それが君の良いところでもあり、僕が好きなところだよ。でもごめん。僕はこうするしか無いんだ。


僕は彼女の近くに行き、彼女の剣を彼女に持たせ、僕の胸を貫かせた。


「・・・えっ・・・っあん!!」


彼女が必死に僕の胸を抑えているけど、もうどうにもならない。その本人だから分かる。

その時、扉がバンッって音をしながら開いた。


「魔王様!!」

あれ、彼女も来たみたい…。


「っ!!ま、魔王様…」

彼女はこの光景に呆然としているようだ。


「これで、いいよね…」

魔族も隠れることもできたし、人族は魔族の王を倒せたんだし、WIN-WINだよね?

「いいわけないじゃない!!何一人で勝手に死んでいるのよ!!私を置いていかないでよ…」


彼女は怒り、泣いた。僕が先に天国…いや地獄か。そもそもこっちにあるのか知らないけど、僕は悪い方に行くだろう。


「好きだよ…二人とも…」

「「っ!!」」


ああ2人の涙腺が崩れてしまった。まあしょうがないか。


「じゃあね…」


重かった瞼を下ろして、光を目にいれるのをやめた。

そうして、僕は僕の人生を終わらせた。

僕の人生は短かったが、色鮮やかであった。

僕は幸運だと思う。


僕を好いてくれた2人に見送られながら逝ったから。


魔王城の外から見える空は黒く淀んだ空ではなく、澄み切った青色の空であった。窓から眺めている一話の白い鳥がその広大な空へと旅立っていった。




【END?】



☆薫Side

「この後どうするの?」

不意に、魔族の人が聞いてきた。


「人族の王とその国を滅ぼす」

私は迷いなくそういった。


「私達、魔族も手伝う。魔王様への忠義を大切にするため。そして、私の恋を無惨にもなくさせた人族の王への復讐…」


私もそう思う。おの王だけは絶対許さない。私の恋を邪魔したんだから。

許しちゃいけないよね?


「ねえ、この世界って蘇生魔法ってあるの?」

私は少し聞いてみた。


「いえ、聞いたことはないんですが、四方の守り神のうちに【再生】を司る神様がいたはずです」


よし、有力な情報をゲットした。


「まずは人族の国を滅ぼして、その後に神様に会いに行く、これでよし!!」

「私もついていきます!!」


待っててね!暗!私達が目覚めさせてあげるから!


そうして、彼女達は暗を目覚めさせる旅へと向かったのであった。当然、人族の国は滅ぼされたが。


暗が復活するのもそう遠くはないのかも知れない。



【END】

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善の神を君が受け入れ、邪神を僕は受け入れてしまった。もう、君とは一緒に入れない。(短編風) サスライワシKKG所属 @komen114

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