第4話

人族は主に、歩兵が主として動いている。弓兵もいる。これは魔族が飛んで攻撃してこないようにしているのだろう。ただ、こちらには刀や鉄砲を用意している。


そして、勇者が現れたら勇者を攻撃するな、と伝えた。

まず、こちらは鶴翼の陣を構えた。急に陣形を取ったから、あちらはたじたじとなっていた。

こちらから攻めたら、相手はあっけなく敗走。こちらの勝利だった。


やはり刀は良いなと思った。


「魔王様、お疲れ様です」

「うん。ただ僕自身も鍛えないとな」

「いえいえ、今のままでもお強いですよ?」


僕は柔道・合気道剣道・空手・テコンドーを習っていた頃がある。ある程度はできるようには、なっていた。


「魔王様…」

時々、最初に会った彼女に熱い視線を送られている。どうにかならないかな…。

「まあこれでここらへんは魔族の領地になるんだね」

「はい!!」

魔族憲法では、犯罪者などを除き、基本的な人は全員受け入れろと書いてある。僕が作った条文だ。こちらはいつでもウェルカムだよと言っている証拠だ。


それを無視して攻めてくる人族の王はどういう性格をしているのだろう。

僕達は順調に領地を

――彼女が現れるまでは。そう、勇者が出てきたのだ。

僕は彼女を見たとき、ちょっと変わってしまっていることに気づいた。

殺す、ということに諦めが着いている顔だ。何年も一緒にいた僕だからこそわかる。彼女は優しいけど、その優しさが揺らぎ始めている。

「魔王様!!勇者が現れました!!」

「ああ、わかっている」

僕はそう言うと、彼女の下へ行った。

「薫!!」

「・・・暗?暗なの?」

「そうだよ!僕だよ!」

「・・・何で暗はそっちにいるの?」

「僕はジャヒデールという神様から転移させてもらったらこうなったんだ」

「・・・ねえ暗?今からでもこっちで暮らそうよ?ねえ?」

「「「「「「!!」」」」」」

周りがざわついた。でも僕は…

「・・・ごめん。僕はいけない。この人たちを救わないといけないから」

「・・・なんで…なんでなんでなんで!!」

「僕は彼女達を見捨てられない。だから僕は、そっちにはいけない」

「なら私が!!」

「…無理だよ。僕がそっちにいくと、君の国の王に殺されてしまう。どちらにせよ、僕はそっちにはいけない」

「・・・わかった。でも、私が魔王城にいくまで決めといてね」

「・・・」

僕は何も言わなかった。彼女を見ていると、僕は狂ってしまいそうだから。

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