つま先立ちの女

鐘を鳴らす怪物

つま先立ちの女

「何で、俺の事をずっと見て来るんだ?」仕事帰り道。そこには、奇妙な噂がある。

 それは、つま先立ちをした。女が通行人のことを見つめて来る。そんな奇妙な

 噂をあるらしい。俺は、そんな都市伝説的な奴は。全く信じない主義なので

 そんな噂があっても「ふ~ん~」と乾いた返事を都市伝説好きの後輩した。

 そんな日に、俺は出会ってしまった。真っ赤な赤い服を着て、つま先立ちの

 女が。俺の事を見つめていた。「何だ?あんたは・・・・・・」あまりにも

 驚いたから。思わず声をかけてしまった。そんな事を聞いてきた奴は向こうも

 初めてらしくて。「み、見てません」と俺の問いに、答えてくれた。

「そう・・・・・・ですか・・・・・・」何だか、気まずくなってしまい。

 俺も、つま先立ち女を見つめる事にした。つま先立ち女をまじまじと

 見ると。姿勢がよくて、背筋がピーンと立っていた。その姿があまりにも

 美しかったから。思わず「キレイだ」と言ってしまった。つま先立ち女は

「えっ?」と困ったような顔をしていた。

 俺も、自分がなぜそんな事を口にしたのか分からず。「ごめんなさい」と

 謝った。すると「そんな・・・・・・謝らないでください。少し、驚いた

 だけです」と気を使われってしまった。「・・・・・・」「・・・・・・」

 気まずい空気が流れる中。俺は、また口を開いた。「あ、あのー」

「はい?」「どうして、つま先立ちをして。見て来るですか?」俺は

 つま先立ち女に聞いてみた。「そんな事を聞いてどうするですか?」

「単純な興味本位です」「そうですか・・・・・・」つま先立ち女は

 数秒黙り込み。そのあと、意を決したような表情を俺に見せて。

 つま先立ち女は話だす。「実は、私ある人を待っているんです。ここで」

「ある人って、誰ですか?」俺の追求に、つま先立ち女の表情が変わった。

「あ・な・たです」俺の顔に指を指された。その瞬間、俺はある事を

 思い出した。真っ赤な服を着た女にストーカーされている事を。

 俺が住むアパートの一階の俺の部屋を。よく、壁越しでその女が

 俺を見ていたことを思い出す。そうだ。俺は、そのストーカー女のせいで

 心も体もやられ。仕事に集中できなくなって。だから、俺はストーカー女を

 殺したんだった。俺は、気がついたら。目の前で、真っ赤な服の女が血を流して

 死んでいた。その時の記憶が曖昧で、俺は刑事責任は問わないことになり。

 俺は、普通の暮しをしていた。早く、その事を忘れたくて。無かった事に

 したかったから。今まで、すっかり忘れていた。その事を思いだし、目の前の

 つま先立ち女は、ゆっくりと俺の首を締め上げた。「これで、一緒にいられるね」

 その日から、つま先立ち女の姿は見えなくなったらしい。

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つま先立ちの女 鐘を鳴らす怪物 @yo-81u

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