【ク】 大将による配慮

【美香】 百海ちゃんは、「障がい者雇⽤」で雇われていたのよね?


【百海】 うん、そうよ。だから、いろんな配慮をしていただきながら、働いていたのよ。


【美香】 そっか。その配慮って、例えばどんなの?


【百海】 例えば、これはめったになかったことだけど、あたしが障がいの症状で苦しくて、急に働けなくなったときに、⼤将があたしの抜けた⽳の分を、⾃らカバーしてくださったわ。


【美香】 そうかぁ。急な症状の時に、そういう対応をしていただけるとありがたいわね。ほかには?


【百海】 あたしが担当する仕事の数を、ほかの⼈に⽐べたら、ちょっと少なめにしていただいていたわ。例えば、「調理」の仕事は、あたしは基本的にはやっていなかったわね。


【美香】 なるほど。百海ちゃんの病気は、脳の障がいだから、覚えることは少しでも少ないほうがいいもんね。それから?


【百海】 ⼀⽇のうちに、休憩時間をこまめにくださっていたわ。あたしの病は、連続して⻑時間労働を続けると、脳に負担がかかって、症状が出やすくなるから。


【美香】 なるほどね。ほかにはある?


【百海】 あとは、「目に⾒えない配慮」をしていただいていたわ。同僚たちから、不満や苦情があったときに、直接的な攻撃を受けないように、うまくやってくださっていたの。


【美香】 そっかぁ。あたしたち、そういうのには、めっきり弱いもんね。


【百海】 そうね。ともかく、ほんと、いろんな配慮をしてくださっていたから、とても働きやすかったわね。


【美香】 そうなのね。今、働いているレストランでも、旦那さんから、同じような配慮をしていただいているのかしら?


【百海】 さすがに、あたしは副店主をやっているから、居酒屋の時と、全く同じようにはいかないけど、基本となる配慮は、同じようにしてもらっているわ。


【美香】 そっか。じゃあ、今も楽しく働けているのね。


【百海】 うん。



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