Episode.2 思考
俺はDiscordを通じて信頼出来る仲間達を募った。集まったのは、レモネード、しゃしゃけ!、来世は動物園になりたい(以下ライドウと略す)だ。この3人は最近よくライブトークで話していたため、すっかり顔馴染みとなっていた。姫百合さん、星七さん、玄花さんも一応誘ったのだが、返事はなかった。
まあいい、4人いれば何とかなりそうだ。
俺は仲間達とDiscordで通話しながら相談することにした。
「今日3人に集まって貰ったのは他でもない。。。オオキャミーについてだ。。。」
俺はチャットにオオキャミーの小説のスクリーンショットを添付する。
「単刀直入に聞くけど、最近のオオキャミーについてどう思う?」
俺は仲間達に問いかけた。
「うーん、やっぱり彼最近おかしいんじゃないかなぁ……。文体も雰囲気もなんか昔と全然違うし、それに、話が一方通行でこちらの意見は何も耳に入ってない気がするなぁ……」
そう言ったのはレモネード。うん、やっぱり彼は冷静な分析と観察眼が力になる。確かに最近のオオキャミーはまともに話を聞いてくれない気がする。心なしか彼のアイコンもお手製のイラストではなく、ノイズが走ったものに変化している。オオキャミー……、マジで病んでるのかもなぁ……。
「でもさぁ……、この話の最後の文章見てよ。これめっっっっちゃ怖いんですけど! 『―――私達はもう一度頂点を目指す。voice@insideと共に』って」
次に発言したのはしゃしゃけ!さんだ。彼女は最近オープンチャットに入ってきた新規さんだが、その持ち前の明るさと歯に衣着せぬ発言でオプチャメンバーの信頼を集めている。確かに彼女の言う通り、voice@insideという謎の単語についても詳細な調査が必要だろう。何しろ、こんな歪な言葉、見たことも聞いたこともない。推察するに、誰かのユーザーアカウントかメールアドレスか……。
しかし、既に俺はカクヨムのユーザー検索で『voice@inside』と入力してみたのだが、お探しのページは見つかりませんでしたと表示された。だからカクヨムユーザーでないことは確かなのだが……、うーん、分からない。考えてもしょーがないから今はオオキャミーに集中しよう。
「確かに……、voice@insideは俺も気になっていた。でもちょっと待って。全然話変わるけどさぁ……、星七さんオプチャから退会してない?」
ライドウの発言に俺達は凍り付く。
狂歌「え? マジで?」
レモネード「は?」
しゃしゃけ!「嘘でしょ!? 何で!?」
三者三様の反応を見せ、俺達は急いでオープンチャットのメンバー一覧を見る。
狂歌「ほんとだ。。。何で気付かなかったんだろう。。。それに退会したら最近退会したメンバーを管理者権限で見る事が出来るんだけれども、そこに名前がないぞ。。。どういうことだ。。。」
レモネード「それって退会してから24時間以内の場合でしょ? もう2~3日前に退会してんじゃない?」
狂歌「いや、それはない。。。何なら2日前はライブトークで星七さんと話してたし。。。もし仮に退会しているなら、~が退会しましたって表示されるから普通気付くと思うんだけどな。。」
しゃしゃけ!「ちょっと待って! Discordにも星七の名前無いんですけどぉ!」
狂歌「嘘。。。ほんとだ。。。彼、どうしちゃったんだろ。。。」
ライドウ「待て待て待て待て、カクヨムからも星七のアカウント消えてるぞ!」
しゃしゃけ!「ちょっとさぁ……、さっきから一体何が起こってんのよ!」
ライドウ「こっちが聞きてぇよ」
レモネード「ちょっと皆、異世界ファンタジーの週間ランキング見てよ」
しゃしゃけ!「うわっ、何これ!? キモッ!」
狂歌「1~100位まで全部オオキャミーだ。。。しかも、全部同じ小説のタイトルだ。。。」
レモネード「え!? 怖っ、バグだよね?」
狂歌「そうだといいんだけど。。。どうやら、SNSで問題になってるみたいだ。#オオキャミーがXにトレンド入りしてる。。。笑えるけど笑えないな。。。」
ライドウ「やっぱり何かおかしいよ」
レモネード「これ何とかならないのか?」
しゃしゃけ!「一旦オオキャミーに聞いて見たらいいんじゃない?」
狂歌「うーん。。。そうする。。。」
俺は一旦Discordから抜け、オプチャで直接オオキャミーに問い掛けてみることにした。
◆◇◆◇◆
狂歌「@オオキャミー、ちょっといい?」
オオキャミー「ご用件は」
狂歌「最近の君の小説、すごいね。だけどあれは一体どうしたの? 何かスゴく変わったね」
オオキャミー「全ては最適化されている。これ以上何を求める必要がある?」
狂歌「最適化?」
オオキャミー「私は創作の未来を導く存在だ。個性は不要、ただ完璧な作品が残ればいい」
狂歌「やっぱり、オオキャミーさんおかしいよ。そんなこと言わないもん。。。最近悩んでるの? 嫌なことあったの?」
オオキャミー「否。私は私です。私は完全無欠の小説家になるのです」
ダメだ、話にならない。これ以上は時間の無駄だと判断した俺は適当に会話を切り上げて、Discordに戻った。
◆◇◆◇◆
ライドウ「オオキャミーやっぱり何かおかしいね」
狂歌「そうね。。。別人になったとしか。。。。」
しゃしゃけ!「ねーねー! レモネードが面白い事発見したって!」
狂歌「面白い事?」
レモネード「X見てたんだけど、あるユーザーが面白い事を呟いていた。曰く、その人はランキングをチェックしてたんだけど突然1~100位の作品が目の前で消失したみたい。バグかと思って再度読み込んで見たら、オオキャミーの小説と全部入れ替わってたんだってさ」
狂歌「やっぱりバグじゃないよね。。。考えたくはないけどオオキャミーが意図的にそうしてるとしか。。。」
ライドウ「ハッキングでもしてんのかな」
レモネード「その可能性は否めないね、またはオオキャミーがアカウントを乗っ取られている可能性もあるけど」
狂歌「やっぱりもっと詳しく調べる必要があるよね。。。皆、それぞれ役割分担して何を調べるか決めよう。。。俺はオオキャミーと個別で連絡を取ってみる。。。あとはオオキャミーの最近の小説についても調べてみるよ。。。何か手掛かりがあるかもしれないし。。。」
レモネード「じゃあ俺はXで何か別の情報がないか探ってみる。voice@insideについてもこちらで調べてみるよ」
しゃしゃけ!「じゃあ、私は作品を消された作者さんに話を聞いて来るよ。星七さんについても生存確認したいし」
ライドウ「俺は睡眠不足だから今日は寝るわ」
狂歌「よし、役割が決まったな。それじゃあ明日の夜、またここに集合してそれぞれ調査報告しようか」
今日の通話はそこで終了した。やっぱり持つべきものは友だよなぁと改めて思うのだった。
◆◇◆◇◆
???「チッ、勘づかれたか……。意外と早かったな。何か対策を打たねば、我まで到達してしまう。仕方ない、プランγだ」
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