的中?
「おはよう」
そう小さな声で言ったのはマスクをつけた杠さんだった。
「おはよう、風邪大丈夫?」
結局杠さんは風邪だったらしい。1週間もなんて相当な風だったのではないだろうか、でもマスクこそはつけているものの元気そうで何よりだった。
「大丈夫~?なつは!」
そんなことを言いながら来たのは女子グループ数人だった。てか、杠さんがこんな時間帯に来るなんて珍しいな。時計は8時を少し過ぎていた。朝礼まではまだあと10分以上あるが、いつも7時過ぎ(もっと早いかもしれない)に来る杠さんしか知らない僕からするとかなり遅く感じてしまったのだった。
「全然大丈夫だよ!」
そう話す杠さんを横目に僕は単語帳を開くのだった。
「あ、そういえば」
そんなことを思いながら僕はまさしのもとへ向かう。
「お~!おはよう」
そんなことを言ってのんきに彼は背負っていたカバンを地面に置いた。
「後ろ見ればわかるけど杠さん復活したんだね。」
「そう。」
先にその話題を出されるとは思わなかった。
「そして、返信が勿論来ている。」
「マジで!」
「うるさい、てか場所変えるぞ」
実は、昨日の夜にLINEは返信を返してくれていた。先週に体調大丈夫?と聞いたものだ。そうして僕たちは避難用階段というか、踊り場というか、そんな場所まで来た。
「なんて言ったんだっけ?」
「あんなに夜相談したのに?」
その画面の文言を見せた。
『明日には学校行けそうだよ、ありがとう。』
『そう、ならよかった!』
問題はここからだ。
『ところでなんだけどさ、』
『なに?』
『よかったら今度お礼してくんない?』
「あ~これか」
そんなことをにやけながら言ってくる。
「そういえば静かにしろよ。」
「はいはい」
本当にこいつは
「そんでそんでっと」
そう言って続きを読み始めるまさし。
『いやさ、数学これまででたぶん1番できたからさ。もし数学の点数伸びてたらお礼したいなって』
「ふーん」
お前はもう知ってるだろ。
『マジで!ならよかったわ。』
『うん、じゃぁまた明日!』
「なるほどね」
「なるほどねじゃないだろ!」
「ちょっと~なんでこんな感じになってるわけ?」
「知らんのよ!」
「羨ましいね。ところで、」
そう言ってアイツは僕の時計の時刻を指さす。
「あと一分だよ。」
それだけ言うとアイツは猛スピードで走りだした。
「え?」
キーンコーンカーンコーン
アイツ!
そう思いながら僕も全速力で彼の後を追うのだった。
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