嫌な予感

放課後、僕はもやもやしていた。どうしてかというと、テストが返されたというのに杠さんが学校を休んでいたからだ。最初の2日間くらいだったらテストの出来が悪くてショックだったのかな、とか風邪をひいたのかなとかと思っていたと思うが、彼女はもう1週間は休んでいた。

「どしたの~」

それを言ったのはまさしだった。まさしとはテスト勉強で大分一緒に頑張ったおかげでお互いに成績はもの凄く上がっていた。自慢ではないが特に僕が教えていたまさしの数学の成績の上がり具合はすごくて、半分よりちょっと下くらいだったまさしは今回トップ10に入っていた。

「英語伸びたんでしょ~?」

杠さんに教えてもらった英語もまさしほどではないが、凄く上がっていてこれが恋の力か、なんて思ったりしている。でも、まだ本当にこれが恋愛の好きかどうかは分かっていない自分もいた。

「何黙って...そいえばさ。」

「ん?」

「告白したの?」

「うるせぇ」

まさしは本当に声が大きい。

「というか...」

そういうと、僕の右の机に目を落としながらまさしはその持ち味である大声を封じながらこっちに目線を戻しながら言った。

「どしたの?」

あえて僕が出さなかったのに...

「わかんない...」

「テストはさ、受けてたよね?」

「うん、テスト受けてからずっと来てない。」

「ちなみにウキウキで交換したって言ってたLINEは?」

「そんなウキウキだった?」

そうだったのか?

「それはいいからさ、どうだったの」

「いや、返ってきてないね。」

それは明らかに最近の僕のテンションが低い理由の一つだった。

「テストは受けてたんでしょ?そいつ」

「そいつはひどいwまぁそうだね。」

「あぁわりわり、人の好きな子を」

「まだ好きかどうかわかんないから!」

そういった時ちょっとだけ視線が集まった気がして恥ずかしかった。気のせいかもしれないが。

「大丈夫なの?杠さん」

「だからわかんないって...」

「あ、そっか返ってきてないのか。」

それだけ言ってまさしは急に自分の席のほうに戻ってしまった。

「あのさ、」

僕が急にかけられた声にびっくりして後ろを向くとそこには...女の子が立っていた。確か...

「どうしたの?井口さん。」

「あなた、なつはが好きなの?」

「え?」

否定するべきか?いや、でもそんな否定したら逆に失礼か。

「まぁそれは良いんだけどさ。」

いいのか、じゃあどうして僕なんかに話しかけているのか。

「なつはからの返信ってまだ返ってきてないの?」

「え?なんで連絡したことを知ってるの?」

「あんな大声で喋ってるからでしょ?」

そうか。うるさかったか。

「それでどうなのよ、返信。」

この子はちょっと気が強い子なのか。

「来てないね。」

「そうなの」

そんなことを言うと彼女は一瞬浮かない顔になった気がした。

「まぁならいいわ。」

そういうと彼女は去っていった。なんだアイツ。

「それでも、どうしてなんだろうな。」

結局その日も返信はこなかった。


杠さんが学校に来たのはその次の日だった。

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