第6話 翌日
今日は朝から教室へ来訪者が来た。昨日会ったことを咲ちゃんに報告しようと思った矢先のこと、隣のクラスの生徒から呼び出しされたのだ。
呼び出したのは麻里亜ちゃん。そしてその隣にはもう一人。ショートボブに大きな髪飾りが特徴的な私の知らない生徒だった。
「おはよう。私は山本ナナ。麻里亜の幼馴染だよ。クラスは麻里亜と一緒の三組。今日は葉月さんに謝りに来たんだ。ほら、麻里亜。ちゃんと謝らないと駄目だよ。」
「うん。」
山本さんに促されるようにして、麻里亜ちゃんは申し訳なさそうに口を開いた。
「志乃、ごめんね。昨日図書委員会の手伝いに行けなくて。」
麻里亜ちゃんは文字文字しながら小さな声で言葉を続けた。
「言い訳に聞こえると思うんだけど、昨日の放課後に体調崩しちゃって。図書室に行けなかったんだ。連絡しようと思ったんだけど、志乃の連絡先知らなくて。本当にごめんね。」
深々と頭を下げる麻里亜ちゃんの隣で、山本さんも口を開いた。
「麻里亜が言ってることは本当だよ。昨日の午後の授業くらいからかな。麻里亜調子が悪そうで、放課後は私が付き添って家まで送ったの。それで図書委員の仕事があったことを昨日の夜に麻里亜から聞いて、葉月さんに悪いことをしたと思って謝りに来たんだよ。」
「今日は図書室作業できるから…ううん、昨日は志乃一人で作業させちゃったから、今日は私が一人でやるよ。」
麻里亜ちゃんは何度もペコペコと頭を下げた。本当に申し訳なさそうに何度も頭を下げてくれている。山本さんも麻里亜ちゃんと一緒になって頭を下げてくれている。廊下を通る生徒たちが不思議そうな顔でこっちを見てきて…なんだか視線が痛い。
「もういいよ。二人ともそんなに頭下げないで。それに、昨日は偶然図書室に来た先輩に手伝ってもらったの。もう作業も終わってるから大丈夫だよ。麻里亜ちゃんはまだ病み上がりでしょ?無理せずゆっくり体調整えてね。」
「志乃ー!」
「わあっ。」
目を潤ませて麻里亜ちゃんが抱きついてきた。その衝撃で私は教室の窓に軽く後頭部を打ってしまった。たんこぶできてないといいな。
「本当に本当にごめんね。代わりに明日の図書当番代わるよ!」
「いいよいいよ。」
「悪いのは私だもん。せめて図書当番は代わらせて。」
「大丈夫だよ。私図書当番の仕事好きだし。」
というのは建前で、図書当番をしてたら先輩に会ってお礼を言えるかなって思ったりしてる訳で。先輩、また今度返却しにくるって言ってたし。
「そう?じゃあ、せめてこれ!私のバイト先の割引券だよ!今日から使えるから!」
「ありがとう。」
「ねえ、葉月さん、麻里亜。今後こんなことがないように連絡先交換しておいたら?」
山本さんの提案も会って、私と麻里亜ちゃんで連絡先を交換した。後、ついでに山本さんも登録させてもらた。
そしていいタイミングで予鈴が鳴り始めた。
「じゃあ、麻里亜で困ったことがあったら相談してね。」
「ナナ!!」
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