第3話 教室にて

「……ということがあって、入学早々から友達ができたよ。咲ちゃん。」

「おーおめでとう。それで今日は部活見学行けそうなの?」

「あー…えーっと。」


咲ちゃんは少しだけ眉間に皺を寄せた。


「図書委員会?」


図星だ。私はコクンと頷いた。


「……ごめんね。まだたくさん整理しないと行けない本があって。今日の放課後には終わらせられると思うから!」


流石に昨日の一日じゃ作業は終わらなかった。一人での本の点検作業はちょっと無理があったみたいだ。後で麻里亜ちゃんにも手伝ってもらえるように声をかけよう。


二人でやれば今日中に片付くはず。そしたら明日には咲ちゃんと部活動巡りが出来る。


「志乃、あんた昔から無茶しがちだから、無理しちゃダメだよ。」

「分かってるよー。大丈夫。今日は私一人で作業するわけじゃないし。」

「それなら良いんだけど。」

「うん。明日こそ一緒に部活回ろう!私は文化部系が良いなー。文芸部とか!」


私が咲ちゃんに笑いかけると、咲ちゃんも笑顔で答えてくれた。


「私はテニス部が見たいな。」

「咲ちゃん運動得意だもんね。」

「志乃は本読むの好きだもんね。私は志乃は綺麗な声してるから合唱部とか演劇部とかも合うと思うよ。」

「人前で歌ったり演技をするのは抵抗が…。」

「人見知りだもんねー。知ってる。」

「もー!咲ちゃん!」


咲ちゃんは腕を組んでフフッと笑った。


「でも高校では人見知りを克服するんでしょう?」

「それはそうだけど…。うん、そうだよね!私頑張って見ようかな!」

「おーやる気じゃん志乃。なんて言うか猪っぽい。鼻息荒いし。」

「咲ちゃんからかわないでよ!」


咲ちゃんはイタズラっぽく笑った。


「はいはい。ほら次の授業は移動教室だから行くよー。」

「あ、待ってよ咲ちゃーん!」


パタパタと音を立てて私は咲ちゃんを追いかけた。

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