第2話 今の世界情勢
さて、今の世界を勉強しよう。まずは地理だ。
世界地図を見ると真っ先に目に止まったのはかつてロシア帝国があった場所だ。
「ソビエト社会主義共和国連邦…?ソビエト??なんだこの何とも言えないが不気味な響きは…ロシアのロの字も無いではないか!」
私の時代ではロシア帝国といえばヨーロッパにも多大な影響を持つ列強であった。まず帝政が崩壊したのも衝撃だし、ソビエトというよくわからない名前に変わっていたのも驚きである。しかし、ロシア帝国時代より、明らかに領土は縮小している。まあ政体が変わるほどの内乱があったなら無理もないだろう。
さて、私の愛したプロイセンはどうだろうか。
「ドイツ帝国…そうか、無事ドイツは統一されたのだな…」
私の死に際はプロイセンはフランスと戦争間近、というところであった。おそらくフランスに勝利し、ドイツ統一となったところだろう。出来れば生きているうちにその偉業を見たかったな…
つい感傷に浸ってしまう。
気持ちを切り替えよう。次は私の今いる日本を探そう。周りが黄色人種(多分私もだが)だったから、中東かアジアだろう。
まず中東を見ると
「トルコ…?オスマンはどうした。コンスタンティノーブルがイスタンブールとやらに変わってるし…」
よく見るとアフリカや中東に聞いたこともない国々がたくさんある。アフリカは英仏の植民地から脱却したのか…?本当に私の時代とは違いすぎるな…
いかんいかん、今は日本を探しているのだった。中東にはなかったからアジアだろう。
極東を探していると、あった。日本だ。
「ふむ…グレートブリテン同様、島国なのだな。こうして見ると小さいな」
周辺には日本のような島国…マレーシア、シンガポールなどといった国があった。この辺りもイギリスやオランダの植民地だったような記憶があるが、アフリカのように独立したのだろう。
私がアジアで唯一知っている国、清国は「中華帝国」という名前になっていた。
なるほど…とにかく色々変わったのだな…
よし、次は歴史についてだな、日本について学ぶか。
学んだ結果、わかったこと
・アジア有数の大国であること
・第二次世界大戦で敗戦した後、経済2位の大国にまで成長していたこと
・民主主義で、自民党という政党が強いということ
・今は混乱する世界の中、アメリカにとって変わる、民主主義のリーダーとして世界を牽引していること
他にも大体色々わかった。
「次はドイツについてだ…」
と本を探しているとと
ブルブルブル!
カバンの中から、振動したような音が聞こえる。
「な、なんだ!?」
その振動している物をカバンから取り出した。
それは長方形をした板状のもので少し眩しく光っており、そこには「原 信作」という文字があり、画面をタッチしてみると
「もしもし省吾か?元気してた?今は俺、北海道にいるんだけど、お土産に白い恋人買ってくるから楽しみにしとけよー!しゃあな!」
…なんの報告だ?てか誰だ?
しかし、これで離れた相手とも会話できる、ということなのか?はっきり言って信じられないが、ロシアがソビエトとかいう訳のわからない名前に変わっている世界なのだ、こんなことができてもおかしくない。
さて、この板は何だろうか、そういえばこれを持って友達と会話している人を見た気がする。スマホ…などと言ったか、ふむ、少し触ってみよう。
「ぐーぐる?Lime?ブル○カ?ヨーツベ?とりあえず、手当たり次第タッチしてみるか。」
ポチポチしているとこれは驚いた。Googleというものでは色々な情報が調べられるし、ヨーツベでは色々な映像を見ることができるのだ!これで今の世界情勢や歴史は大体把握できた。素晴らしい発明だ。
まずドイツはビスマルク宰相によってドイツ統一されたはいいものの、ビスマルクの死後、しばらくすると第一次世界大戦が勃発。オーストリアハンガリー帝国やオスマン帝国と共に英仏露に挑んだが、敗戦、ドイツの陣営はみんな解体されてしまったらしい。
また、勝った陣営のはずのロシアも戦争に経済が耐えきれず崩壊、社会主義というイデオロギーを掲げたソビエト連邦が成立したとのこと。
「だからオーストリアはこんな小さくなってしまったのかぁ…」
その後、ドイツはイタリアと日本を引き連れて第二次世界大戦を引き起こすも、またもやソビエトとイギリス、そしてアメリカに敗戦し、東西に分かれたとのこと。
「折角統一できたのに…」
紆余曲折があり、ドイツは再統一され、その後、再び民族主義が高揚し、ドイツ共和国は帝政復古、その後ポーランドに戦争を仕掛け、傀儡国にし、現在に至るとのこと。
しばらくは世界はアメリカが世界の覇権を握っていたものの、貧富の差が開きすぎて、内戦が勃発。再び世界は混沌を極めているらしい。
「なかなか複雑な世界だな…」
次はソビエト連邦だ。
ソビエトは第一次世界大戦、ロシア内戦を経て成立、第二次世界大戦ではドイツとの泥沼の絶滅戦争を繰り広げつつも勝利、社会主義というイデオロギーを東欧を中心に広め、アメリカに「冷戦」と呼ばれる軍拡、経済競争に挑むも、耐えきれず崩壊、ロシア連邦が成立した。しかし、2023年に始まったウクライナとの2度の戦争で戦争自体には辛うじて勝利したものの、またもや経済、国民が耐えきれず崩壊、ソビエトが復活し、現代に至るとのこと。
ふーむ複雑な歴史を辿っているのだな…
しかし、このスマホを使っていると目が痛い…
長時間の使用は目に毒だな…
そうこうしているうちに空は暗くなっていった。
この時代には驚きだらけだ…
しかし、どうやら今、世界情勢はともかく、この日本は比較的平和だといえるだろう。
私はどのような世界、時代でも前世で果たせなかった
「平和にひっそり暮らす」という目標のため頑張るだけだ。
ヨーロッパでひっそり暮らしていた元軍人の俺は日本?という国でもひっそりと暮らす まめざかたろう @Monday25
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