第5話 こんなの許せませんよ!?
夕方、暗くなってきたので私はキノコや果実を回収しながら洞窟に行きました。誰かが使っていたと思いますが、お借りします…。まずは焚き火に火をつけようと考えて…。
「私の猛毒の液体は『触れると燃えます』」
指先から液体が流れてぴちゃん!と焚き火跡に落とすと燃え始めました。この猛毒のカラダの使い方がわかってきたと喜んだ束の間、足元が熱いです…?!
「あ、あっつい!あつい!?」
足の裏から漏れ出た汗(?)が引火してきました。早く消化しなくては!
「私のカラダは『燃えないし火を消す液体』です!」
と炎を覆い被せるようにバシャン!と炎を鎮火させました。次からは指先と宣言しておかなければ危ないですよね…。
私は元に戻ってカラダの力でキノコに味付けをし焚き火で焼いて過ごしました。果実は美味しくて水分もいっぱい含んであったので喉が渇く心配はありませんでした。焚き火の火が消えた時には石段の上で横になって寝ていました…。
あれから数日ぐらい経ったのでしょうか?今日も子ワニたちと遊んでいると誰かの声が聞こえます。明らかに人の声でした。洞窟を使っていた人かなと思いましたが、子ワニたちは沼の中に急いで逃げて行きました。私も怖くなり沼から出て草木の中に隠れました。
「本当にここであってるのー?」
「間違いないって!地図通りに進んだら沼に着いたし」
「これで大金持ちになれるべ!」
沼の前に来たのは男性2人、女性1人の…漫画やテレビでよく見る衣装や道具を持っています。何しに来たんでしょうか?
「出てこーいドクロワニー!!」
「せっかくだから餌を投げちゃえば?」
「へーい!新鮮な餌だべ!」
大柄な男性が投げたのは私が最初に出会った大きな蛇でした。柄も独特だったので思い出しました。胴体が真っ二つになっており頭が潰れていました。あまりにショックに私は声を出しそうになりましたが堪えました…。
ザバァァッ!!!
「グルシュルルルルル!!」
母ワニが猛スピードで沼から現れました。すごく怒った目つきで3人を見ています。
「でっかいわねぇ!でもオスはもっとデカかったんでしょ?」
「既に殺されているオスと比べると…8割になるべか?」
「8割でも充分だ!やっちまおうぜ!!」
「ガァァァァァァァァッ!!」
既に殺されて…子育てしてたのは母ワニだけだったのは父ワニが誰かに殺されてたからなの…!?そして今…母ワニが狙われて…。
私は困惑していました…どうしてこんな酷いことをしてしまうのか…同じ人間とは思えない…。
「ギャガァァァァァァァァ!!」
「口を開けた!今だ!!」
「ほいっと!」
母ワニに一つの小瓶を投げつけられ口の中噛み砕かれました。すると母ワニはもがき苦しみだし口から血が流れていました。
「ガァ、ギャァァァウゥ!?」
「効いてる効いてる!」
「さすが魔女が作った対毒薬ね!」
「くたばるっぺ!オラァ!!」
大柄の男性はハンマーで母ワニの上顎を潰すように殴りました…。痛い…。
「アイスランサー!」
魔法使いのような女性は氷で出来た棘で手足と目を抉るように刺してきました…。痛すぎるよ…。
「獲物をあんまり傷つけ過ぎんなよ!」
リーダーみたいな男性が大きな槍を持って母ワニをひっくり返し胸の辺りを突いています…。胸が痛い…やめて…。
「くたばりやがれ!!」
ドスンッ!!
「ギャァァァァァァァァァッ!!」
今まで聞いたことない咆哮がジャングル中に響きます…。やめて…痛いのやめて…苦しいのやめて…やめてやめてやめて…ヤメテ。
その時の私は何かが外れたような感覚でした…。
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