第5話 テンプレ最弱魔物
唐突な草の音にビックリして俺が産まれた卵の殻に隠れる。ビビりだとか思われて仕方がないかもだけれども、何が生息してるか分からない現状……しっかりと相手を確認してから行動した方が良いと思う。
そんな感じで卵の殻の陰から音が鳴った方を確認する事数秒後……音の原因となった生物が現れた。
姿はまん丸としていて、ぷよぷよとした質感が視覚から伝わってきて触ると非常に心地よさそうだ。
色合いは綺麗に澄んだ青色で、保護色でも無いから非常に目立っている。あれで自然界で生きていけるのかは甚だ疑問だ……
そんな生物を見て思い当たる名前は──
──うん、スライムだね。まごうこと無きスライムだ。
異世界物テンプレとでも言うべきか、初心者向け代表とでも言うべきか……とりあえずあのスライムだ。
念のため暫定スライムを鑑定してみたけれども、スライムで間違いないらしい。
名前は【ブルースライムベビー】、レベルは15で格上ではあるけれども、ステータスを見る感じだと種族値的なアレで俺の方が数値は上回っている。
スキルも耐性も諸々レベルが低くて、ガッツリ警戒するほどじゃなさそう……?
そう思いながらもスライムの動向を確認していると……スライムが巣に入り込んできて数少ない食料の方へと一直線に向かっていった。
まさか、食料目当てで……?
となると急いで対処しないと! そう思ってスライム方へと駆け寄って前脚っで押さえつけながら爪を食い込ませる。
ぷよぷよとした粘性だからかぐにゅっと爪が吞み込まれる感覚があり、慌てて引き抜こうとする……前になにかコリッとしたものを潰した感じがあった。
潰した感触を感じた瞬間、スライムが『ビクンッ!』と跳ねたかと思えばベチャリと力なく崩れていってただの水たまりっぽくなってしまった。
えっ……もしかして倒した?
あんまりにもあっさりと倒してしまって実感が沸かない。この世界のスライムは思った以上に弱いっぽい……? これがテンプレ最弱魔物の一種の弱さ、か。龍の種族値的なのが高いっていうのもありそうだけども。
ま、まぁ数少ない食料を盗られなかったし良いか。
そう思っていると身体がまた温かい感覚で包まれた。……もう進化? かなり頻度が高くないか? と思ってステータスを覗いてみれば、しっかりと次の進化をする為のラインであるレベル15になっていた。
これが経験値取得量増加の効果か……思った以上に効果を実感出来ることに驚きだ。
一応あのスライムが俺よりもレベルが上だったとは言え、まさか現在のレベル上限に到達するとは思わなかった。上がってもレベル1程度かと……
でもこのレベルアップは純粋に嬉しい。周囲の探索をする前に出来るだけ強くなって身の安全を保障しておきたいからな。
せっかく龍に転生したんだから強さを目指したいけど……死んでしまったら元も子も無い。
だからこそ万全を期す為にも今の内に進化をしとくべき……かな。てことで次の進化先はこんな感じだった。
▲▽▲
『進化先を選んでください』
【レッサードラゴン】
『竜種正統進化先』
産まれてから少しの経験を得た事で多少は一匹で行動出来るほどに力を得たドラゴン。
しかしまだまだ能力が低く、安全に成長するためには親同伴で狩りを行う必要がある。
【レッサーアイスドラゴン】
『氷属性竜種正統進化先』
氷属性に適正を持ったレッサードラゴン。レッサードラゴンと比べても氷属性の技を使える事以外はそこまで変化は無い。
【怠惰ノ幼龍】
『大罪龍種特殊進化先』
産まれてからまともに移動せずに過ごしたことで怠惰の力に目覚めた変異龍種。
自身は動かずして生物を制圧し、無力化させる怠惰の権能を扱い、戦闘を避ける能力が非常に高い。
※状態異常【怠惰】が付与されます。
【堕ちたレッサードラゴン】
『邪堕竜種特殊進化先』
堕ちた幼龍が成長した姿。成長してなお世界を憎み、力を求めている。
※状態異常【精神汚染】が付与されます。
▲▽▲
色々と進化先はあるけれども……とりあえず上から確認していく。
まずはレッサードラゴン。これはベビーレッサードラゴンが成長した種族なのは分かる。分かるけれども……あんまり惹かれない。
【ただのドラゴン】を目指すならばこの進化先を進めば良いのだろうけれども、俺が成りたいのはドラゴンはドラゴンでも唯一無二のな【龍】なのだ。
ついでに言えば多分今後親とかが姿を現すことは無い気がする。
安全に成長するのに親同伴で狩りが必要と言うのなら、親が居ない今の俺だとこの進化先を踏むのは危険に飛び込むような物な気がする。
そもそもレッサードラゴンを選ぶなら派生っぽいレッサーアイスドラゴンの方を選ぶだろうし。
とは言ってもレッサーアイスドラゴンも大体はレッサードラゴンと同じらしいし、親同伴で狩りを行う所もおそらく一緒だろう。
確かに氷を扱える技というのもなんとも魅力的だとは思うけれども、もっと安全択を取りたいところ。
てことで次は【怠惰ノ幼龍】だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます