第2話 えっ、家族無し……? まさかね。

 白銀の龍が見えなくなっても少しの放心を続けてしまったが、気を持ち直して現状把握に努めた。

 なにせ白銀の龍が居るのだ。もしかしたら、ここはあの夢にまで見た異世界なのかもしれない……っ!



 てことで色々と状況を整理した結果、とんでもないことが分かった。

 実は俺……幼体とはいえ、ずっと求めてやまなかった龍へと転生していたのだ!


 つまり俺を覆っていた物は俺の身を護るための卵の殻というわけだ。……生まれるって、あんな感覚なんだな。

 俺の見た目はよくある西洋風ドラゴンを手のひらサイズにまで小っちゃくした感じ。ドラゴンっぽい翼とトカゲっぽい身体らしいから多分西洋のドラゴンだと思う。なにせ鏡とか無いから全身の確認が出来ないのだ。

 体色は全体的に灰色。鱗とか外殻はほぼ全部灰色なのが確認できる。


 そして、もう一つ異世界で、俺が転生したと断定できる要素が見つかった。

 それが……これ、ステータスだ。


 ▲▽▲


【種族:幼龍】


 名前:『未設定』

 レベル:0/5

 体力:20/20

 魔力:20/20

 攻撃力:10

 防御力:15

 魔法防御力:5


【スキル】

 鑑定 言語翻訳 取得経験値量増加 ブレス(微)


【称号】

 異世界の魂


 ▲▽▲


 強さで言えば多分だけど相当弱いと思う。なんせ、ちょっと離れたところにある木を鑑定してみた結果、防御力が400くらいだった。今の俺じゃ恐らくかすり傷付けれたら上々も上々だと思う。


 ちなみにこのステータスの細部にも鑑定を掛けることが出来て、こんな感じで表示された。


【幼龍】

 産まれたばかりの龍。

 人間どころか、最弱の魔物の一種とも言われるゴブリンにすら囲まれたら負けてしまう。

 しかし竜種ではあるため、潜在的な能力は計り知れない。



 とまぁ、こんな感じで表示される。俺が卵を突き破って出て来たばっかりだから幼龍なのは当然なのだが、最弱の魔物の一種に負けるって言うのが怖い。なんせ周りを見ても兄弟らしき存在も、母親らしい存在も居ないのだ。……出来るだけ早く帰ってきてくれると助かるんだけど。


 流石にこのまま待ち続けるのも暇だから他のスキルも鑑定していくわけだが……まぁ、一つずつ鑑定していくのが良いかな?

 てことでとりあず鑑定スキルを鑑定にかけてみる。



【鑑定】

 生物や物の情報をこの世界の管理システムを通して表示するスキル。

 相手のレベルが自身のレベルを大きく上回っているか、強力な隠蔽が掛けられている場合は鑑定が阻害され、情報の表示がされなくなる。



 管理システム……? この世界にはネットサーバーとかがあるのだろうか。スキルとかと紐付けされるサーバーとか全然想像できない訳だが。

 便利なのは便利だから全然使わせてもらうが。

 次は……言語翻訳かな?



【言語翻訳】

 人種族が使用する言語を読み聞き出来る用に翻訳する。

 あくまで翻訳するだけであり、書くことは不可。


 これまた異世界物ラノベとかならよく見かけそうなスキルだなと思う。わざわざこの世界の言語を一から学ばなくていいと思うと結構ありがたい。


 ……まぁ、そもそも今の龍の身体だと人間の言葉なんて発することは出来ないんだけどもね。


『クル、ゥゥゥ……』


 こんな感じで生まれたばかりの動物っぽい声しか出ない。……いつか言葉を喋れるようになるのだろうか? 龍の言語すら知らない訳だけども。

 多分きっと何とかなると思いたい。って事で次は取得経験値量増加を鑑定してみる。



【取得経験値量増加】

 様々な事によって得る経験値を増加させるスキル。

 増加量は少量ではあるが、生物の命を奪った場合は大きな倍率が掛かる。また、命を奪った生物と自身のレベル差によって掛かる倍率が変わる。



 なんともまぁ、字面通りの内容だと思う。掛かる倍率とかは一切分からないけれども、とにかく俺よりもレベルが上の生物を倒せばより多くの経験値を得ることが出来るって事だろう。……うん、本当にそのままの意味だな。


 次はブレス(微)だな。ブレスと言ったらやっぱりドラゴンの象徴って感じだけれども、(微)とは……?


 と、こんな感じでステータスとかを見て現状把握をしているうちに……



 ────夜が明けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る